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ドイツ研修奮闘記 連載-第8回- 小さな団体間のゆるいネットワーク

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 正直言って…。
研修開始早々にNABUやBUNDを訪れ、私が普段から関わっている琵琶湖の活動と規模が違いすぎてピンとこないことが多かった。また、「政治」と「環境」との関わりが多くの場面で登場し、ドイツどころか日本についてもわからないために、意見を言うこともできずにつらかった。さらに、この研修で得たことを、帰国してから自分の活動の中でどう生かすのか、どう生かすのか…常にプレッシャーで、どうしたらいいのかわからなくなっていた。

海外研修
FUgEの事務局兼
フェアトレードショップ
(写真提供:口井さん)
海外研修
散在果樹園のリンゴのジュース
(写真提供:口井さん)

 この研修中、これまで私が活動してきた経験はほとんど役に立たず、一度も自信を持てる時はなかった。だんだん自分の意見さえもうまく話せず、常に混乱し、そんな自分が情けなかった。一緒に行ったメンバーはそんな私をいつも気にかけ、成長を見守ってくれた。今後の私のためを思って、さらに追い込むように問いかけ、考えさせられた場面もあった。そんなメンバーに私はいつもストレートに感情を出し、たくさん迷惑をかけていた。ごめんなさいと感謝の気持ちはいつまでも忘れないだろう。

 ただ、どんなにどん底の気持ちでその日を終えても、今日こそは…今日こそは…、と必死で切り替え、毎日リセットしてその日の研修に臨んでいた。

 そして研修4日目。2・3日目に訪れたNABUとBUNDが大企業だとすれば、4日目に訪れたFUgEは複数の小売店がそれぞれの課題を保管しあうための組合(ネットワーク)のようなもの。そこでは、熱い想いで活動するたくさんの人達が出迎えてくれた。

 
FUgEは、「環境と公正な発展フォーラム」と訳され、もともと地域で活動していた約30グループが加盟している。各グループは環境問題や平和活動、人権問題などに取り組み、ゆるい横のつながりを保っている。具体的には、共同事務所を構え、そこでフェアトレードショップを開店し、ディスカッションの場としても使用する。
 フェアトレード(公平貿易)とは、世界各地の途上国に暮らす人々の貧困問題を改善するために、NGO、NPOが途上国の生産者団体と直接取り引きを行い、生産者が不当な社会的搾取を受けることを防ぎ、生産者が適正な収入を得るための社会的措置。フェアトレードショップではこれらの商品を扱っている。また、FUgEでは地域のコーディネート役として常勤の事務局長を一人雇い、情報発信も戦略的に行なっている。
 基本的に各グループはそれぞれのテーマでそれぞれのプロジェクトに取り組んでおり、会員である各グループは活動の拠点として事務所を自由に使うことが出来る。コピーや電話などの事務的な設備を共有し、FUgEの名前で広報を行なうこともできる(会員の活動テーマは幅広く、地域を巻き込むには効果的)。
 また、市や政府との窓口にもなる。事務局の運営費用はフェアトレードショップの売り上げや会費、寄付でまかなわれているとのことだ。有給のスタッフは1名だが、事務局には常に会員の誰かが気軽な感じで立ち寄って、わいわいがやがや楽しくやっているのかな、と感じる、そんな雰囲気の事務局兼お店だった。

海外研修
エコセンターでの
レクチャーと交流
(写真提供:口井さん)

 これらの地域のグループは、私の知っている活動グループとよく似ており、グループ同士が顔の見えるネットワークとしてつながっていることは想像しやすい。また、そのネットワークによって運営面での共通の課題をいくらかクリアしていて効率的だと感じた。
 しかし一方で、活動に若い人が入ってくれないことをとても悩んでいた。あれ?日本とおんなじやん…。どちらの国も、若手が活動に必要とされる一方で、若手は活動に興味を持ちにくいらしい。いかに若手を巻き込むか…。私自身はまだ若手といってもいい年のはず。私はなんで活動をはじめたんやったけ?普通の学生や若手に活動をアピールして大人の団体と一緒に活動するためには?日本に帰ってから、あの手この手を使っていろいろ試してみよう、と思った。

 
もう1つ印象に残っていることがある。それはFUgE がある意味“攻撃的”であること。それはこんな言葉で感じられた。

 「政府に目を付けられることは“ほこり”である」

 とにかく目立つことをして行政に目を付けられたら、とことん話し合う。それほど彼らは自信と想いをもって活動しているのだ。

 はぁ…私も頑張らなきゃ。




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