セブン-イレブン みどりの基金 一般財団法人セブン-イレブン記念財団

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がんばろう日本!〜ドイツから日本へ〜 連載-第3回- 「環境と経済 〜ドイツで学んだこと〜」

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 環境活動をやってきた方々が必ずぶつかる壁。それが環境保全と経済発展の矛盾だと思います。人間は歴史の中で、自然との共生を心がけながら、一方では地球の資源を掘りつくし産業発展、文明を進化させてきました。現在もその両立の間で生きているのが私たち地球人ではないでしょうか。
 3月11日東日本大震災が起こり、人災ともいえる原子力発電の放射能の問題は、未だ世界に衝撃を与えています。日本はこの問題を抱えつつ、これからどう進んでいくべきか?ドイツから学んだことをこのコラムでは考えていきたいと思います。
ドイツの歴史から学ぶ
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 研修初日にラインランド・フォルツ州環境省の環境情報センターにてドイツの環境活動の歴史と現状を学びました。ドイツの環境の歴史を学ぶ中で、ライン川、チェルノブイリ事故の影響はかなり大きいと教えていただきました。ライン川は、日本の川と異なりいくつもの国をまたぎ、州をまたいで流れています。ドイツではライン川保全のために、試行錯誤しながら現状を維持し、縦割りではなく、横のつながりを持って保全をしています。また、大気汚染に関しても、煙突を高くしたり、フィルターを改善したり、改善を繰り返しながら、現在の飛行機規制等も行われています。
 過去の歴史に学び、地球全体規模で物事を考える事により、経済の発展が環境の発展につながるという考え方を持つこと、さらに競争から協働の精神を持つことが今後重要になってくると教えていただきました。実際に、上の写真のようにヘッセン州ラインランド・ファルツ州、マインツ市、ビィスバーデン市が協働でライン川の環境保全を行っている様子がわかるパネルを見る事ができました。
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 ただ、ドイツにもまだまだ課題があります。火力発電のため、燃焼効率の悪い石炭を広大な面積に渡って露天掘りしている炭抗を見学することができました。ドイツでは約100年前に施行された鉱山法という法律がいまなお効力をもっており、国道も民家もお構いなしに開発が進んでいくという現実があります。それに対し、会員50万人もいるドイツでも大きな環境団体のBUNDが専門家を持って訴訟していますが、法のもと未だ炭坑の掘削は進められています。そんなジレンマの中、福島の原発事故がきっかけとなり自然エネルギーへの転換へドイツ社会全体が大きく動きました。BUNDでは、地球温暖化防止、放射能汚染防止のため、原子力でも火力発電でもない自然エネルギーへの転換に向けて、新たに法律改正訴訟を行う準備が行われていました。
 もう一つドイツで大きな環境団体NABUでは、なかなか環境保全に理解しない、社会の大きな流れに対応できない企業に恐竜のモニュメントをプレゼントするそうです。とても面白いドイツジョークだと思いました。
 恐竜のように小さな脳で、目の前のことしか考える事ができないといつかは滅びてしまう。そのことを訴えたいのだと思います。人間は地球規模の大きな視点で、長期的に物事が考えることができる生物のはずです。
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 ドイツでは、間近にこのように環境問題を考えさせられる炭抗やライン川があります。だから日本の環境団体と比べ規模や活動の規模が異なるのでしょうか?それは一概に否定できないと思います。日本でも、公害がおこった地域では強力な環境団体が存在しています。では、公害がおこらないと活動しないのでしょうか?それでは、先ほど話した人間としての取組みではないと思います。先を見越し、他者とコミュニケーションを図りながら進化していくのが人間なのではないでしょうか。それを考えると、やはり地球規模、未来を見据えて、協働で何ができるのかを考える視点を持つことが、今後更に求められてくるはずです。日本は震災後、どのように変化していくべきか?一人一人が自らを見つめ直し、地球規模の視点を持つことができるように。私たち環境ボランティアリーダーとして、一人一人を繋ぐ場、地球規模の視点を持つことができるような環境づくりが求められてくるのだと、改めて実感しました。それには、リーダーとしてどうあるべきか?が求められてくるのだと。
企業と環境団体との協働
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 最近では、日本でも企業と環境団体との協働も増えてきています。自然エネルギー活用のための技術開発を行っている企業もたくさん出てきました。環境と経済の両立を目指す企業が増えてきていることは喜ばしい限りです。
 ドイツでは、自然保護地域の保全にも企業が協力しています。嬉しいことに、日本の企業名もありました。
 日本の環境団体もこれからたくさんの企業との連携が必要になってきます。その際に重要なのは、『企業と連携し環境保全活動を行っていくにはどうしたらよいのか?』、『企業のメリット、環境と経済の共生をどのように図っていくのか?』という視点を持つことです。
 研修の中で、ファンドレ—ジングや環境団体の広報力を学ぶことができました。学んだことを、日本に戻ってどのように生かせるか?そのことを課題として考えされられました。
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 まずは、企業と環境団体が協働で環境活動を実施していくためには、『顧客(対象)が誰なのか?』『顧客を満足させるにはどのような広報の方法があるのか?』『一目でわかる表現力』『感謝の気持ちを伝える方法とは?』、これらを常に頭におきながら活動することが大切です。そうすれば、自然とやるべきことはわかってくるはずです。
 また、ただやみくもに寄付をお願いするだけではなく、マーケティングをしっかり行い、環境団体も経済的にも人的にもしっかりと基盤を固める事により、企業との協働ができてくると実感しました。

 環境と経済の共生。それは、私たち人間の心がけが変われば必ずできる事だと思います。ただ、それを実践できるようになるには、出来るだけ小さい時から自然・森に親しみ、共に生きる事を学ぶ体験をさせることが重要です。体験により育まれた『自然を愛する心』が、環境と経済の共生の根源を担うと思います。そして、『相手を思いやる心』があれば、顧客を満足させるにはどうすればよいのか?を常に考えることが出来るようになると思います。
 日本でも幼児期からの環境教育が充実してきています。環境教育基本法の改正もありました。幼児期から自然に触れ、生活の中でも環境の取組みが当たり前のこととして実践できる人が増えてくると、大人になって経済発展思考の中に、環境の取組みが当たり前のこととして組み込まれてくるはずです。これからの日本を背負う子どもたちが環境思考を持った大人になってくれることを願っています。

がんばろう!ニッポン!

 ドイツでは法律や規制を施行することにより、企業の環境の取組みもすすんでいます。分別BOXやデポジットの機械などはどのお店にも設置されていました。日本では、法律改正となると、浸透するのに時間がかかったり、罰則などの規制を強くできないため、環境への取組みは企業努力に任せられているところが大きいです。しかし、先に挙げた炭抗のように法律に縛られることにより、社会の変化に対応できなくなることも考えるべき事だと思います。

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 もちろん、公共による規制が必要な部分もあると思います。しかし、何よりも市民一人一人、企業がそれぞれ自主的に共に手を取り合って活動を行うことが大きな影響力をもっていると思います。原子力発電の問題についても、行政に頼るのではなく、私たち一人一人が節電を行い、自然エネルギーだけで賄える電力供給量であることを示すことが大事ですし、今後どうあるべきかをもっと考え、もっと声をあげる事も必要だと思います。
 日本は四季があり、自然の素晴らしい国だと思います。そして、日本には環境と経済が共生した歴史もあります。今回ドイツで学んだことを生かして出来る事。それは、環境活動はボランティアではなく、企業と同様の影響力を持つこと。そのためのマーケティング、広報力、企画力を強化していくことだと実感しました。
 日本もドイツに負けていません。日本の良いところを生かして、ドイツの良いところを真似し、日本が環境先進国になりますように。みんなで力を合わせていけば、必ず環境と経済の発展があるはずです。がんばろう!ニッポン!





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