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ドイツ環境街道をゆく 連載-第9回- 文化と草花にあふれた空間−BUND・マインツ市支部の活動拠点−

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BUNDのマインツ市支部はこの建物の中にある
(写真提供:佐藤 剛史)

マインツ市近郊には、アルテ・ツィーゲライという空間がある。敷地面積は18ha。そこは、1971年まではレンガ工場として使用されていたが、工場が閉鎖されることになり取り壊しの案が持ち上がった。しかし、文化的な視点からしても非常に価値の高い建造物であったので、保存に向けた市民活動がおき、保存されることになった。現在では、マインツ市が所有する工業文化遺産に指定され、シアターやボランティア団体の事務所、環境教育のフィールド等として活用されている。
一歩、アルテ・ツィーゲライに足を踏み込めば、その美しさに心奪われる。ただし、美術品のように、緊張感のある美しさではない。人の手が加わり続けた、そして人の営みが感じられる、あたたかさとやさしさのある美しさだ。わが国でいえば、古民家とか棚田とか、そんなものに共通する美しさだ。
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草地ビオトープの草花たち
(写真提供:佐藤 剛史)

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草地ビオトープの草花たち
(写真提供:佐藤 剛史)

BUND・マインツ市支部はこのアルテ・ツィーゲライに事務所を構えている1。マインツ市支部の会員数は約500名、そのうち実際の活動に参加しているのは約20名である。それ以外は、会費や寄付などの形で、活動を支援しているということだ。マインツ市支部の年間の活動予算は5,000〜10,000EU(70万円〜140万円)で、その主な収入源は、会費、寄付、プロジェクトに対する助成金などである2
BUND・マインツ市支部の活動の一つは、アルテ・ツィーゲライ内にある、ビオトープとしての価値が高い伝統的な果樹園の管理である。粗放的な管理を行いながら、40年前の生態系の復元を目指していると言うことだ。
また、これらのフィールドを利用して、小学校のクラス等を受け入れての環境教育も行っている。2003年度は35クラスを受け入れ、ネイチャーゲームなどを取り入れたプログラムを実践した。厳密にいえば、ドイツの場合、冬は寒いのでフィールドでのプログラムは行えないから、4月から10月までの7ヶ月間に35クラスである。実は、受け入れ依頼はその倍以上あるが、本職を他に持ちながらのボランティアであるため、今以上の受け入れは困難なのである。
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草地ビオトープの草花たち
(写真提供:佐藤 剛史)

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草地ビオトープの草花たち
(写真提供:佐藤 剛史)

このアルテ・ツィーゲライは、ドイツで多く見られるような自然保護センターとは異なって都市部にある。それゆえ、多くの市民が気軽にこのセンターを利用でき、その意味で、非常に重要な役割を果たしているのだ。
その他、BUND・マインツ市支部では、[1]企業との協力による植林事業(木の苗自体を寄付してもらう)、[2]環境保全型農業の普及事業、[3]再生可能なエネルギーの普及に関する事業、[4]ローカル・アジェンダ21に関する事業、[5]行政による自然開発事業に対する意見声明、等も行っている。
ヒアリング後、アルテ・ツィーゲライを散策した。文化的に価値の高い建造物も興味深かったし、何より印象的だったのは、伝統的果樹園の下草として生える色とりどりの花々である。荒れ地にみえる空間もドイツでは乾燥草地ビオトープとして適切に管理されている。この空間や草花を支えているのは、BUND・マインツ市支部のボランティア活動なのである。

1 以前紹介したように(バックナンバー4を参照)、BUNDは、連邦レベル−州レベル−市町村レベルという階層構造になっている。ここで紹介するマインツ市支部とは、市町村レベルに位置づけられる。

2 以前紹介したように、会費については、州事務局に納められた会費の一部が、市町村支部に下りてくるという仕組みである。一方、寄付は、マインツ市支部に直接行われる。




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