セブン-イレブン みどりの基金 一般財団法人セブン-イレブン記念財団

※こちらはアーカイブ記事です。

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活動のご紹介

環境ボランティアリーダー海外研修

2005年(平成17年)第7回環境ボランティアリーダー海外研修レポート

海外研修レポート 感想その1


日程表 感想 その1 その2
  【1】カウリ博物館(The Kauri Museum)

カウリの巨木


博物館スタッフからの説明


過去の巨木の大きさを外周で展示
カウリはニュージーランド原産の巨木です。現存するものには、直径が5.2m、樹齢2000年というものもあります。カウリは低い位置に生える枝を自らの意思で落としながら成長するため、真っすぐで節の少ない木になります。入植者がその良質の材を得るために、森を次々と伐採し、その跡地を牧場へと変えていったことで、巨木の森は4%まで減ってしまいました。現在では、カウリの伐採は禁止され、代わりに植樹が行われるようになりました。実際にカウリに触れることのできる場所では、根を傷つけないような木道をつくるなどして、手厚く保護しています。
ここカウリミュージアムでは、このようなカウリの歴史を学べるほかに、入植者がカウリの伐採に使った道具やカウリガム(枝を落とした際に、傷口を覆う樹液が固まったもの=琥珀)の展示が行われています。ミュージアムの運営は、カウリガムなど特産物品販売のほかに、コミュニティーからの助成で資金面を賄い、多くのボランティアスタッフが関わることで成り立っています。そのため専従の職員が、そのコーディネートやスキルアップの講習を行っているとのことです。
関わったボランティアが転職する際、推薦状を発行していることから、コミュニティーに根付いた活動が社会的に認知されている現状を学びました。(菅原さん)
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  【2】プホイ地区の河川保護団体(Puhoi Landcare group)

プホイ川での活動の説明を受ける

代表のワーナー・フィッシャーさん


写真右側が牧畜のため木を伐採
偶然にも今回の研修生全員が川での活動をメインに行っていることから、オークランド北部のプーホイ川の環境保護をしている「プーホイ・ランド・ケア・グループ」のワーナー・フィッシャーさんにフィールドを案内してもらいました。
ここでの活動は3つあり、1つはポッサム・コントロールと呼ばれる外来動物種の駆除です。ポッサムはもともと毛皮をとる目的で移入されたのですが、逃げ出して野生化したものが増殖し、その旺盛な食欲で在来の植物を食べつくしてしまいます。これ以上の被害を防ぎ、そして自然を本来の状態に戻すため、毒薬を用いてポッサムを駆除しています。2つ目は、まだ計画段階ということでしたが、プーホイ川沿いに遊歩道をつくることです。3つ目が川の保護で、人間の手によってハゲ山にされた源流部の森や川沿いに植林することで、川への土砂の流入を防ぎ、魚のためのシェードをつくろうという取り組みです。
最後に、ワーナーさんのおすすめのビューポイントであるプーホイ川河口に案内してもらいました。原生林の緑と干潟の土色、そして海と空の青色がとても美しく、会の皆さんが熱心に活動をする理由がちょっと分かった気がしました。(菅原さん)
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  【3】 インターナショナル・パシフィック大学講義(1)

IPC講堂での講義


講義に聞き入る研修者


1m以上あるミミズの標本を持つIPC大学スティーブ教授
IPCはニュージーランド初の国際教育の大学です。学生のほとんどは日本人で、ニュージーランドで生の英語を身につける事ができます。1年次の授業で英語を専門に勉強し、2年次からは全て英語での授業になるそうです。
まずここではスティーブ教授からニュージーランドの歴史、貴重な生態系に関しての講義がありました。
1億8000年万年前、ニュージーランドはゴンドラ大陸の一部でした。6000年前に大陸から離れ島となりました。その早くから大陸と離れ島になった事が今の様々な貴重な生態系を生み出したそうです。しかし、もともと哺乳類がいなかった土地に人々が羊、牛などの動物を連れてきました。そのときに持ち込まれたイノシシ、ヤギ、ウサギ、ポッサム(オーストラリアから)などがもともといた鳥や昆虫を絶滅の危機にさらしてしまいました。だからニュージーランドでは壊してしまった自然・生態系を取り戻そうと活動をしています。絶滅危惧種を保護する方法として、野鳥を哺乳類のいない島に移すという対策も行っているとの事でした。スティーブ先生は同じ絶滅危惧種でも人々が寄っていく「キーウィ」だけでなくとても貴重な「ミミズ」などの保護にも取り組んでいました。この授業を受けて、ニュージーランドの歴史と現在の状況を勉強しました。(柿内さん)
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  【4】インターナショナル・パシフィック大学講義(2)

IPC大学院生ジェーンの講義

現地のごみ問題の取組みについてIPC大学の院生ジェーンより講義を受けました。
パーマストンノース市では「ごみゼロ運動」という活動が行われています。ごみゼロというのはごみの削減、再利用、再生(reduce/reuse/recycle)を意味し、1年に3回ごみゼロの日を設定しています。この日に家庭で不要となったごみを病院、教会、大学などに持ってきてもらい、その中で気に入ったものがあれば安い金額(1$くらい)で買取り、再利用するシステムです。当日残った物は最終的に埋立処分するそうです。活動は全てボランティアで運営されています。また、「みどりの自転車」という活動も行っています。不要になった自転車を集めて、その自転車を緑色に塗り替えます。その緑色の自転車は市内のどこにでもあり、自由に乗る事が出来るのです。自転車は駐輪場に停めておけば良いので、乗り捨て自由です。(柿内さん)
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  【5】地域森林保護団体(Barber's Bush neighborhood Group)

植樹作業を手伝う研修生


植樹作業を手伝う研修生


植樹作業全員で撮影
パーマストンノース市の16団体で構成するネットワークに所属し、森の再生を目指し保護管理をする団体です。7年前から外来種の除去と植林活動をIPCの学生達とも一緒に行っています。リーダーのバーバーさんは大地主さん。閑静な住宅地の自宅と裏地に雑木林(Barbers Bush)を持っています。私達一行はシンボルツリー、ユーカリの巨木をくぐり森に入りました。樹齢何十年も経つ在来種の木々の中に蔓性の植物もあります。日本ではそれらは他の木々の成長に影響するため除去しますが、ニュージーランドでは在来種なら掃いません。外来種を悪とし極度に嫌っているとしか思えない外来種除去作業後、私達は植樹を体験しました。か細いレモン系の苗木は地表の硬い、鬱そうとした場所に植えました。イバラ系の外来種は除草剤を散布しに、行政が来るそうです。その中、多少の疑問を持ちながらも、ニュージーランドの良いところが見えてきました。“この森をニュージーランドに本来いた鳥達のさえずりでいっぱいにして、昔のニュージーランドの原風景を夢見て仲間が集まる。”ネイティブ・フォレスト・ガーデン(?!)をつくっているような活動に感じます。
目的、目標が明確で参加したくなるような、何より楽しくて、何よりこの森を愛してやまぬ人々の顔がありました。誰もが、My Forest!(右田さん)
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  【6】 カフテラワ地区ボランティア団体(Kafuterawa Back Track Committee)

カフテラ・トレッキングコース


トレッキングコース途中、説明を聞く


地図でコースの確認する

2003年パーマストンノース南部の昔炭坑として利用した古道を、ボランティアグループが5年の歳月をかけ完成させたトレッキングコースです。市が道路計画をたてたのですが、市民が代替案を提示し、ボランティアが作業を引き受けました。15人のメンバーでシフトを組み、陽が暮れるまで道を造り続けた姿は、まるでドラマのようです。市は資金面の援助は多少しましたが、現在もほとんどグループの実費で管理を行っているそうです。原生林の中はニュージーランドのシンボルである在来種のシダ、ブラックファーンがおおい茂り、日本の森との違いを見せていました。川の淵は木の樹液が白く溜り、瀬には流れる美しい水と水生昆虫。木の橋がかけられ、危険な箇所にはフェンスが付けられていました。深い緑の森を歩くと・・・明るく陽が入りました。山の上層部に外来種の木が植林され、こんな所にも経済的開発の兆しが見えました。驚いた事に古道延長計画は、これからも続くらしいです・・・。 (右田さん)
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  【7】 タンギモアナ海岸での外来種除去作業(Tangimoana Beach)

タンギモアナ海岸でスティーブ教授から外来種の話を聞く


外来種除去作業


きれいな花だが外来種
Tangimoana Beachはサラサラとした砂の砂丘でした。この海岸には、この場所しかない貴重な植物が2種類存在しています。またここでは、1年に2回大規模な外来種植物の除去作業を行っています。私たちが除去・回収した外来植物は、花がピンク色でとても美しく、日本では「綺麗だね」と人々から好かれる植物です。しかしニュージーランドの環境には外来種で駆除の対象です。除去作業は根から抜かないといけないのですが、根がかなり深くあり、作業はとても大変でした。(柿内さん)
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  【8】 ニュージーランド環境法/RMA(The Resource Management Act)

IPC研究室でNZ環境法講義


IPC大学のフィッシャー教授

IPC大学院の教授で、弁護士も勤めるフィッシャーさんのご配慮で、急きょRMAと呼ばれる環境に関する法律についての講義を受けました。
RMAは、それまで水質や鉱山など個別の分野のみを制限していた環境に関わる法律を、連動して管理する総括的な環境法に修正し、1991年に制定されました。(1)規制緩和 (2)持続可能な発展 (3)手法(ゾーニング、住民参加、合意形成) の3つがRMAの柱となっています。例えば、ビルの建設などによって日照が悪くなる可能性がある場合、ビルを建設する人は、影響があるであろう周辺地域の住民の合意を得たうえで、市町村の許可を得なければならないし、水や空気など広範囲に影響を及ぼす可能性がある事業は、さらに広いエリアの住民の合意を得て、地方相当の行政に届けを出さなければなりません。広いエリアの合意を得る場合の告知は、新聞などに掲載され、すべての住民がこれに対して意見を述べることができます。この意見のもと行政が「OK」「NO」もしくは「計画変更」の判断をします。
このように、環境に何らかの影響を与える可能性のある行為の全てが、住民によって監視されることは、非常に有効な手法でありますが、その反面、大規模な国家プロジェクトも一人の「NO」でストップしてしまう可能性があることから、現在法律の見直しが行われているそうです。「まだまだ実験段階」といったフィッシャーさんの言葉が印象的でした。(菅原さん)
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  【9】 マヌアツ環境ネットワーク交流会

ENMメンバーの方々


ティータイム中も活発な情報交換を行う

ENM(Environment Network Manuwatu)は現地マヌワツ地区の様々な環境保全団体をネットワークしている組織です。IPCの大学院生であり、このネットワークのコーディネーターでもあるエディさんから所属団体の説明を受けました。ニュージーランドの原生の木を山から海まで繋げて植林し、動植物がそこで生活できるように3年間で6万本を植樹している団体や産業廃棄物処理場を公園にする活動を行っている団体など計16団体が所属しています。交流会後にコーディネーターのエディさんに「様々な団体をまとめていくために必要なことは?」と質問しました。「まず、人の話をよく聞くこと、そして相手の気持ちを受け止めること、その後に今の状況をふまえてこれからどうするかを導いていく。」とアドバイスを頂きました。(柿内さん)
日程表 感想 その1 その2



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