セブン-イレブン みどりの基金 一般財団法人セブン-イレブン記念財団

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環境ボランティアリーダー海外研修

2006年(平成18年)第9回環境ボランティアリーダー海外研修レポート

海外研修レポート 感想 特定非営利活動法人 パートナーシップオフィス
佐藤 丈晴 さん

1.訪問団体の内容でどの部分を日本のボランティアリーダーとして活かせるか。
【ドイツと日本の違い】
ドイツでのそれぞれの訪問先は、どこも共通して、組織マネジメントがしっかりとしているということが言える。それは、おそらく自発的、自立的市民活動から始まったドイツと、法律により、政策的に組織化された日本との違いなのではないか。さらに、ドイツはそれら市民活動を支える政策が、後からついてくるというまさに、理想的な形として進められていると感じた。
こういった流れの違いは、組織の業務の進め方、課題解決の対応においても異なり、より高次な次元での活動を遂行しているように感じられた。高次なという言い方は大げさかもしれないが、“大きな社会変革をもたらすほどの市民活動を進めるドイツ”という印象を強く受けた。
【マネジメントシステムの必要性】
 日本の市民活動に不足していることとして、マネジメントシステムがあげられるであろう。そもそも組織化された活動は、このマネジメントシステムを必要とするにもかかわらず、日本の市民活動は、会員の思いだけで組織を運営してきたきらいがあり、ドイツとの違いを感じる一つであった。
 これからの日本における市民活動を活性化させるためには、まず、このマネジメントシステムを構築することが必要であると強く感じる研修であったので、ぜひ、このことを周りの市民活動団体に伝えるとともに、どのようなマネジメントシステムを構築すればよいのか、自分なりに研究し、日本社会に会うシステム構築を進めていきたいと思う。
【市民活動を支える行政の役割】
 ドイツにおいて市民活動を支えるセクターの一つとして、連邦、州などの行政がある。先にも記述したように、日本では特定非営利活動促進法(NPO法)ができ、それによって、法律に規定された活動が組織化されていった。しかし、ドイツにおいては、市民活動を支えるようにして、連邦や州が、自然保護法などの法律を整備することによって、直接的、間接的に市民活動を支えるしくみを整備していった。このことは、大きな違いであり、活動の広がりと深さを生んでいる気がする。自分が、現在政治の世界に身を置いていることは、こういった制度設計をする役割をも持ちえているわけなので、時間がかかっても市民活動を支えるしくみを構築していきたいと思っている。
【市民活動を支える非営利セクターの役割】
 ドイツでは、組織化された市民活動に必要な資源の提供が、しっかりと行われている。たとえば、ファンドレイザーのような役割を担う人材が活躍しているということ。また、若年層を環境保護の活動に参画させるための人材育成制度があるということ。これら役割を担う人材やしくみは、日本においても必要であり、特に、中間支援NPOに関わってきた身として、そういった役割を担って来れなかったのは、残念であり、ふがいないと感じている。今後、特にファンドレイジングの手法は、自分自身が身につけ、他団体に個人として組織として貢献することが必要であると痛切に感じた。どこまで独学で身につけられるか分からないが、ハンズ氏の教えを振り返り、日本の市民活動に貢献できるファンドレイジングの流れを構築していきたいと思う。

2.研修を通して、日本の環境ボランティアリーダーを支援するために、どのようなしくみが考えられるか。
【真の意味での支援センターの必要性】
 日本の市民活動の社会において、中間支援NPOは存在しているが、ドイツのような、活動を支えるしくみにはなりえていない。このことは、ただ単に組織の維持に関わることだけでなく、環境や自然を保護するということに直接的に関わってくることである。たとえば、ファンドレイジングについて必要な知恵と工夫を与えてくれる、人と組織をつなぐ役割を担ってくれる、スケールメリットで、自由なそして成果の上がる活動を展開できるなど数多くの点で、求められる役割にもかかわらず、それを果たせる組織に成長していないのが現状である。
 日本においても、今回の研修で訪問した組織のそれぞれのノウハウを結集した日本版環境NPO支援センターが必要なのではないかと思う。これまで、中間支援NPOで実際に働き、地域の中でFace to Faceの関係を築いてきた自分にとって、ゼロからのスタートになるわけではないので、ぜひ、これらのことについてもみどりの基金と協働で進めていけたらと思っている。
【具体的な支援の方法】
 組織の経営において、経営資源を単純に挙げるとしたら、“ひと・もの・かね”がある。自分のこれまでの経験から考えると、この経営資源のうち、“もの”はなんとかなると思われる。重要なのは、“ひと”であり、“かね”である。“ひと”についてもう少し詳しく言えば、事務局の存在であり、専門家の存在である。事務局の存在は、あるかどうかで大きく事業展開が異なり、現状日本の中で、必要な事務局を持ちえている市民活動団体は極めて少ない。また、環境などのきわめて専門性の要求される活動を行う団体が、必要な専門家との連携、あるいは、内部に取り込むことができていない。
 これらのことを考えれば、必然的に支援のあり方は見えてくるのではないかと思う。あいまいな緩やかなネットワークの存在自体を否定はしないが、これからの環境保護の歴史を築いていく上では、強力なサポート力を持った組織が必要であると思う。そして、その組織において、直接的、間接的にリーダーが育成され、各地域で活躍できることが求められているのではないだろうか。
【具体的な支援の方法その2】
 次に必要なこととして、ファンドレイジングのことが挙げられる。経営資源の一つとして、“かね”の充実は必要なものの一つで、これは、経験からも言えることである。お金に色はついていないわけであるが、どんなお金を引っ張ってくるかということは、研修の中でも明らかだったと思う。そして、ファンドレイジングは、ただ単に資金を調達することではなく、その組織の強み、弱みを見極め、必要に応じて、そのことに対処し、継続的な活動を行うことのために必要不可欠なものであると言い切れる。ただ単に、組織をコンサルティングすることではなく、戦略的に組織を動かしていく上では必要なことの一つではないか。一朝一夕にこういったことは身につけられないが、ぜひ、チャレンジしていきたいと思っている。

3.全体を通しての感想
あらためて書くが、日本の市民活動は、これまで団体、個人の思いが先行し、しっかりとマネジメントをするような動きはなかった。そのため、活動の継続性や社会的な影響力を行使できず、ある意味で行き当たりばったりな活動に終始してきた。
 そういった意味でも、これからの求められるリーダー像としては、マネジメント能力を向上させ、自身の組織はもちろんのこと、他の組織に対してもそのような能力を発揮することは必要不可欠なことだと思う。そのために、スキルと経験を積み重ねることを自分自身に課し、地域に貢献できるリーダー像を描いて努力していきたい。
 また、ソーシャルマーケティングの考え方が、日本の市民活動に欠けているということも、今回の研修を通じて、あらためて思ったところです。
ドイツの各団体は、このマネジメントとマーケティングの発想がしっかりとベースに置かれており、より組織の目指すべき方向性がはっきりと分かるようになっていました。そのため、課題が生じても、それらが“見える化”された組織においては、対処の方法や方向性が明確で、解決の道が見えやすいようになっており、日本の市民活動団体においても、それらドイツの手法を学び、活かしていくことが持続性を持った活動を行っていく上で、不可欠なことだと思う。
自分の今後のテーマは、そういった意味でも、
  ①組織のマネジメント
  ②ソーシャルマーケティング
の技術を磨き、地域に貢献できる存在となることを目標としていきたい。ただ、マネジメントの意識を持ったときに、組織のマネジメントということだけにこだわらず、地域をマネジメントするということにも視点を置いて活動をしていきたいと思う。
 また、自分自身が議会というところに身をおく一人であるので、ドイツのような法制度の整備をする役割も担っていかなければならないと思う。時間はかかるかもしれないが、地道にやっていきたいと思う。
 この研修で出会った、樋口さん、口井さん、浅井さん、桃井さん、平山さんそして、通訳・コーディネートしてくださった柳沢さん、セブン-イレブンみどりの基金から、研修の団長井下さん、事務局の小野さん、JTBの安斉さんすべての方に感謝します。特に、みどりの基金におきましては、費用をかけ、私たちにこのような機会をいただきましたことに、重ねて感謝します。
 Danke!



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