セブン-イレブン みどりの基金 一般財団法人セブン-イレブン記念財団

※こちらはアーカイブ記事です。

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活動のご紹介

環境ボランティアリーダー海外研修

2007年(平成19年)第10回環境ボランティアリーダー海外研修レポート

海外研修レポート 感想その1


日程表 感想 その1 その2
  【1】ラインランド・ファルツ州 州環境情報センター
州環境情報センターの入り口に展示してある「環境学習の製作物」

1、ドイツの環境保護の歴史
セブン-イレブンみどり基金のドイツ環境研修団一行とともに、ラインランド・ファルツ州政府環境、森林・消費者省の環境情報センターを訪ねました。応対してくれたローラント・ホルネ所長は、実に謙虚な姿勢で、失敗を重ねてようやく一定の成果を得る段階まで来たことをお話してくれました。以下に要約してみます。
ドイツで自然保護の概念が生まれ、取組みが始まったのは、18世紀のザクセン王国(旧東ドイツ内)の森林管理人の問題提起からとの事です。農工業などの進展から森林の伐採量が自然成長量を上回るようになったので、危機を感じた森林管理人が、国王に訴え、森林の安定性確保の政策が採用されたのです。これは古代ローマと18世紀以降のイギリスなどのような完璧な森林破壊型国家建設とは異なった道を、ドイツ内のある一国が辿ったことを意味します。
ドイツの環境の歴史を学ぶ研修生

しかしそのドイツも第2次大戦後の経済発展で、環境汚染が進みます。その象徴的な事件が1971年夏に発生しました。ドイツの象徴ライン川が死の川となって眼前に現れたのです。中流のマインツ付近で100キロに渡って大量の魚の死骸が川面を埋めたのです。長年にわたる未処理の生活排水、農薬を含んだ農業廃水、とりわけ上流の世界的化学工業会社BASFからの工場排水などが、ライン川の生態系を破壊に追い込んだのです。自然環境は耐えるだけ耐えて、ある日突然 奈落の底を示します。
この事件でドイツ国民、ラインラント州政府、西ドイツ政府が目覚めたのです。母なるライン川の危機がやって来たからです。本格的な排水規制、水質処理対策が行われるようになりました。下水設備、農業廃水処理設備、工場排水処理設備が導入されて行ったのです。

70年代時のライン川の様子

続いて、大気汚染対策が採られることとなりました。大気汚染は、州境、国境を越えます。全国的に煙突などにフィルターを取付ける対策が実施され、成果を挙げ始めました。
さらに有形のごみ対策です。家庭ごみ、産業廃棄物もただ集められては森や谷に埋立てるだけの処理が行われていたのです。有毒廃棄物が地下水に溶け込み、水道の水源を汚染し始めたのです。分別収集が始まり、再利用、再資源化が遂行されるようになりました。
今日、これら対策は相当のレベルに達しましたが、どうしても残るものは、熱源化つまり燃料として活用されています。典型的な例はプラスチックです。試行錯誤の結果、多くのプラスチックは燃料として処理するのがベストとの結論を出したとのことです。
ドイツは過ちを重ねて、対策を試行錯誤して一定のレベルに達しましたが、まだまだ改善の余地があるとのことでした。

2、エネルギー問題
化石燃料などを使い続けた結果、地球温暖化などの環境影響が本格化しています。そして学んだことは、太陽がエネルギー資源の原点だということです。太陽光が降り注いで、この地上にもたらしてくれるものを活用しない限り、持続する社会は実現できないということです。
州環境情報センターのローラント・ホルネ所長

風力、太陽光、水力、バイオなどにエネルギー源を重点化する政策をドイツ連邦政府が取り始め、急速な進展を見せています。これら再生可能エネルギーを高額で買取り、普及させていずれは安価なエネルギー源とする政策です。ラインラントファルツ州政府は、連邦政府以上の省エネ・省資源政策を展開しています。省エネ・省資源こそエネルギーと資源を生み出すとの考えが原点にあるようです。具体的実践例として省エネ住宅の導入があります。
最後に名刺を交換したとき、私の名刺に印字している「地球に謙虚に」という言葉のドイツ語訳を指して、「まさにこの生き方が正しい」という主旨の発言をホルネ氏から戴きました。
ラインランド・ファルツ州政府環境、森林・消費者省の建物の横壁に大きな看板が掲げられていました。屋外広告規制の厳しいドイツでは珍しい大きな看板です。そこには 「省エネこそ最良のエネルギーである」とのスローガンが記されていました。
(仲津さん)
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  【2】マインツ市環境局
マインツ市環境情報センター訪問:マインツ市ローカルアジェンダ21担当のDr.グレッシュ女史とMr.パムズから、主にセンターでの活動についてのお話を伺った。ここは市街地の中にあり、市民に環境に関する情報を知らせるとともに、市民活動団体などのキー・ステーションの役割を果たしている。

左から Dr.グレッシュ女史とMr.パムズから活動詳細を聴く / トナー回収箱 / 情報センター受付け

成人に対しての環境セミナーや子どもたちに対しての体験型のプログラム、イベントなどの提供を初めとするさまざまな工夫により、市民に足を運んでもらいながら情報発信を行っている。こういった施設が、市の中心部に近い位置に、きちんと存在しているというあたりが、さりげなく市側の関心の高さを証明しているように思えた。


市の中心を走る路面電車

市民ボランティアの手
で作った自然観察園

自然観察園訪問:市街地から路面電車で10分ほど、穏やかな広い原っぱを持つ公園に出られる。
もともとは市の土地をであったものを借り受けて、市民ボランティアが公園にしたというが、駅を降りて1分という便利な土地が提供されるということも、やはり行政の視点の高さであると思う。ここで特筆すべきなのは、コンセプトが「庭園」であるということ。マインツ市の森林よりも、家庭の庭の面積の合計のほうが広いということに着目し、この「庭」をどう活用すれば環境にとって良いものができるかと考えたあたりだろう。ドイツの普通の庭は、芝がきれいに刈り込まれ、外来の花々で飾られているが、この庭園は土地本来の多様な植物にこだわっている。その土地固有の植物を育て、多様な環境を作り出し、多くの人に訪れてもらい、外来種なしでも十分に美しい庭が作れること、そして、そういった多様な植生を復活させることによって、ハチや昆虫、野鳥も訪れるようになり、豊かな生態系が復活できるという実例を示しているところに、この庭園の大きな意義があると言えるだろう。


屋外でのミーティング
これを行政と市民ボランティアが連携して行っているが、主な経費は市が負担するのではなく、市民の寄付によって成り立っているという。それで成り立つあたりは、やはり日本とは違うところである。
(三枝さん)
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  【3】 NABU (ドイツ自然保護連盟)州支部(午前)
NABUラインラント・ファルツ州代表のシュッフ氏

今日は前半の“山場”、自然保護分野で最大規模、100年以上の歴史を持ち、会員数420,000人のドイツ自然保護連盟NABUへの訪問だ。お邪魔したのはラインラント・ファルツ州支部。州の代表であるシュッフさんがお忙しい時間を裂いて説明してくださった。
会の趣旨は、「一人の百歩より、みんなの一歩。次世代によりよい環境を。」みたいな、どこでもよく聞くものだったが、発言力(実績)がすごい!
ドイツでは、行政が行う開発計画や実際の開発行為に対してNPOが意見を言う場が与えられている。NABUの州支部では、年間700〜1000のこうした公聴会で意見を述べているそうである。そのバックにある専門性・人材の豊富さ等をうかがい知ることができた。
また、地域の環境に関するアイデアを吸い上げ、実際に行政と折衝して実現化させていくというシステムを持っていることに驚きとうらやましさを感じた。
NABUの歴史の講義を
聴く
携帯電話回収を利用した募金システム
その一方で、420,000人いる会員の中で積極的に実際の活動に参加してくれるのは一部の人達であり、それが悩みの一つであるということもお聞きしたが、私たちと同じ悩みを持っていることを知り安心もした。
(矢野さん)

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  【4】NABU (ドイツ自然保護連盟)州支部(午後)
熱心にメモをとる研修

12日の午後、私たちはNABUの州支部の活動概要とファイナンスについての講義を受けました。
NABUの全てのグループは「自然は個人が楽しむものではなく、みんなで一緒に楽しむもの」、「自然が与えてくれる資源を次世代へ引き継ぐ」という2つの視点を重視しており、この2つの視点の達成のため、我々の足元、すなわち郷土を大切にすることを最も重要なポイントとして位置づけているとのことでした。州支部が取り組む活動は、他のグループと同じく、地域の人からの提案を受け、地域の課題を取り上げ、それに対しプロジェクト毎に1人の責任者が配置され実行されていました。具体的にはコウノトリの保護や子どもグループの活動支援などでした。

一方、ファイナンスの話しでは、全活動費の3/4を支える会費のための「会員の獲得」と、残り1/4を占める「寄付の獲得」を重視しているとの説明がありました。具体的な手法として、年間スケジュールの作成やインフォメーションスタンドの設置などが挙げられていました。
(山本さん)
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  【5】 環境ボランテイア研修制度(FÖJ) 運営事務局(午前)

制度の説明に全員が聞き入る

研修も3日目。事前に資料はいただくのですが,研修メンバーのことがなんとなく分かりはじめて,もう折り返し地点といった感じです。

さて、次世代リーダーの育成について、環境ボランティア研修制度FOJの州事務所を訪問しました。16から26歳の青少年が、環境に関する仕事を1年間、生活資金も支給を受けて実習します。FOJ州事務所は、研修生の申込を受け付け、環境団体に様々な派遣先の手配を依頼します。派遣先1箇所に1〜3名が派遣されます。
日本人研修生の管沼さん
FOJ職員はホームシックや派遣先の変更等について、研修生を支援します。森の幼稚園で研修している日本の研修生「みち(管沼倫世)」さんが、私たちの研修を手伝ってくれました。この研修制度では期間中に5回、5日間のグループ研修があり、他の研修生の活動内容を知ることが出来たり、“楽しくとても勉強になる”と、活き活きと語ってくれました。

進路に悩む日本の青年のため、この制度が日本にもあると良いなと感じました。
(三浦さん)
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  【6】 環境ボランテイア研修制度(FÖJ) 運営事務局(午後)
事務所の広さを実感した研修生草野さん

13日の午後は、午前に引き続き環境ボランティア研修制度運営事務局で、実際にこの研修制度に日本から単身参加している管沼倫世さんに「森の幼稚園」での実習についてお話を伺いました。小さい頃の自然体験やドイツへの憧れ、子ども好きであったこと等が理由で、ホームページへのアクセスがきっかけとなり、この研修に応募されたそうです。8月から実習先へ1年間の期限で派遣され、朝8時から13時まで、12人の子どもたちと一緒に森の中で過ごされているとのこと。
事務所で研修事務局員と撮影
毎日の活動では、保護者の怪我への寛容な態度や、幼い子に刃物を持たせる活動等に驚きながら、デメリットは言葉の壁だけで、今後開催されるゼミへの参加も楽しみと、とても有意義な時間をすごしていらっしゃる様子が伝わってきました。また通訳として同行して頂いた伊藤信子さんにも、長きに渡りドイツで生活されている立場からのお話しを加えて頂き、ドイツの実情について理解が深まりました。
(今永さん)
日程表 感想 その1 その2



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