セブン-イレブン みどりの基金 一般財団法人セブン-イレブン記念財団

※こちらはアーカイブ記事です。

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Let's ボランティア


日本の国立公園
自然と人が織りなす日光の今昔物語 日光国立公園
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首都圏の水源 中禅寺湖
日光を代表する風景の一つに中禅寺湖があります。中禅寺湖は雄大な男体山の麓、標高1,270メートルにあり、古くから避暑地として栄えてきました。陽の光に照らされてキラキラと輝く湖面。心地よい軽やかな音を立てて打ち寄せる波。秋の中禅寺湖は冬の厳しさとは違って穏やかな顔を見せていました。そんな中禅寺湖ですが、実は環境問題に悩まされています。

湯川の現状 その原因の一つが下水問題です。周辺地域で発生した生活廃水や温泉廃水は完全に下水処理されているといわれていますが、観光客の増加や上流のワンポイント 富栄養化などにより水質が悪化しているそうです。実際に湯川の川辺を歩くと異臭のする泡がどんよりと溜まっているところが見られました。

もう一つの原因はコカナダモという水棲の帰化植物の繁茂です。この植物は繁殖力が強く、夏に生い茂り、冬になると枯れて湖底に沈殿します。それが多すぎて分解されずに腐敗したものがヘドロ化し、湖の富栄養化となっていくのです。

コカナダモ 中禅寺湖では、こうした現状に積極的に取り組んでいこうというボランティア活動が盛んです。湖畔の清掃活動やコカナダモの除去作業のボランティア活動を行っている「湯ノ湖・中禅寺湖をきれいにする会」会長の石森正さんによると「昔はね、中禅寺湖の水で顔を洗ったり、歯を磨いたりしてたんですよ。最近は水の色が青いんだよねえ」と、中禅寺湖はかつては透明度が18メートルもあったそうですが、現在は約7〜8メートルまで落ちているため青く見えるそうです。石森さんの会では、毎年2回、総勢100人ほどで湖畔の清掃活動を行っています。

この中禅寺湖の水は大谷川や鬼怒川を流れ、やがて利根川へと流れて行きます。つまり、ここは首都圏の水源の一つになっているのです。中善寺湖の環境問題はその地域だけの問題ではなく、その水の恩恵を受けるみんなの問題でもあります。


シカの食害に取り組む
樹皮をシカに食べられ無惨な木(神奈川) ボランティアがネットを巻く活動をしている 日光の森をハイキングしていると、ネットで幹をまかれた樹木を目にしたことはありませんか?実はシカのワンポイント 食害を防ぐためにボランティアの人たちが一枚一枚巻いていったものなんです。シカの食害とは、シカが貴重な高山植物や木の樹皮を大量に食べてしまい、周辺地域の生態系を著しく変えてしまうことをいいます。シカの数が昔に比べ増えてきたことや、シカが同じ場所で餌を食べつづけることが直接的な要因とされています。しかし、その原因は ワンポイント 温暖化の影響といわれています。以前と比べて気温の低下が緩くなったため積雪量が減り、冬の自然淘汰や寒さを避けて移動することが少なくなってしまった、ということです。

ノアザミ アヤメ シラネオアイ シカの食害について日光湯元ビジターセンターの宮地信良さんにお話をお伺いしました。 「日光では特にシラネアオイやアヤメ、ノアザミといったシカの嗜好に合う草本がほとんど食べ尽くされています。そして、これらの植物をエサとしているコヒョウモンモドキといったチョウなどの昆虫と、その昆虫をエサとしている鳥が少なくなってきています。一方では、シカの好まないシロヨメナやハンゴンソウ、マルバダケブキが増えています」と宮地さんはいいます。

シロヨメナ マルバダケブキ 温暖化からシカの食害に始まり、微妙なバランスで成り立っている生態系が崩れ、貴重な生物が生存の危機にさらされているという現状です。地元では、この問題に対処するため、シカの駆除を行って個体数を抑えたり、保護する地域をフェンスでぐるりと囲ったりしています。また、減ってしまった草本の増殖や樹木に防御ネットを張るなどの活動がボランティアによって行われています。


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