セブン-イレブン みどりの基金 一般財団法人セブン-イレブン記念財団

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ドイツ環境街道をゆく 連載-第14回- 走れ!環境バス

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ミミズの絵が施された環境バス。ドイツではミミズは環境保全の象徴なのだ。
(写真提供:佐藤 剛史)


ドイツには環境バスなるものが走っている。ハイブリッド・システムを搭載していて燃費が良いとか、町並みにとけ込むような落ち着いたカラーリングを施してあるとか、そんなものではない。むしろ、紫色のミミズが、車体いっぱいに描かれており、とても目立つバスだ。
この環境バスにはさまざまな実験器具が搭載されており、州内を走り回り、調査・実験をつうじた環境教育を行うためのバスなのである。この環境バスがあれば、現場で、そこの森や小川などの環境を科学的な視点から調べ、その環境をよりよく知ることができるのだ。
搭載されている実験器具は多彩である。顕微鏡、ビデオ、太陽光発電装置、水生生物他の専門書、環境上を示した各種地図、水の透明度を測る器具、スコップ、胴長…ハイテクからローテクまでさまざまだ。これらの実験器具で、<1>土壌環境、<2>水環境、<3>騒音に関する調査・実験ができるようになっている。定員は30名弱だ。
この環境バスは、ノルトライン・ヴェストファーレン州立の「自然環境保護アカデミー」が所有している。
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環境バスのオペレーター。後ろにバスの中とは思えない装置が並ぶ。
(写真提供:佐藤 剛史)


環境バスの歴史を紐解いてみると、もともとは1978年にスイスで作られたWWFのパンダ・モバイルがその元祖だそうだ。ドイツでは、1987年に環境バスに関する実験事業がいくつかの州で行われ、ノルトライン・ヴェストファーレン州では、1992年にダイムラー・ベンツとIBMの協力で環境バスが作られ、自然環境保護アカデミーに提供されたそうだ。2001年にはもう1台提供され現在2台の環境バスが、ノルトライン・ヴェストファーレン州を走り回っていると言うことだ。ドイツ全土では27台の環境バスが環境教育のために活躍している。
提供…?だとすれば、気になるのは、そのお値段だ。環境バスにもさまざまあって、NGOが所有しているような数千EUの環境バスもあれば、自然環境保護アカデミーが所有しているような大型の環境バスは100万EUを超える。…1億円以上だ。
自然環境保護アカデミーでは、要請をうけて環境バスを派遣している。派遣先の70〜80%は学校で、地域の社会教育活動やNGO活動にも派遣している。環境バスの派遣料金、利用料金は無料であり、費用は州が負担している。派遣回数は、3月から10月までの約半年で170回、かなりの稼働率だと思う。
興味深いのは、政治家等のところにもバスを派遣するということである。政治家に対して啓発活動を行ったり、事業の成果報告を行ったりして、環境バスの意義について理解してもらい、活動資金(予算)を確保するためである。
なるほど、環境バスもファンドレージングは重要なのだ
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こうして環境バスの中で調査・実験を行う。大人が乗ると20名も入らないかも。
(写真提供:佐藤 剛史)

(ファンドレージングについては次回紹介しよう)。
実は、この環境バス、ドイツ独自の取り組みではなく、世界的にひろがっている取り組みなのだという。ルクセンブルク、スイス、オーストリア、フランス、スペイン、スウェーデン、アメリカ、中国…。日本には無いのか…と思って調べてみたら、群馬県、香川県、高知県に環境バスがあり、その情報がドイツの環境バスのホームページに掲載されていた。
自動車王国日本、しかも環境保全的な自動車技術では世界を大きくリードしている日本。そんな日本にもっともっと環境バスを走らせたいものだ。




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