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ドイツ研修奮闘記 連載-第4回- 「主役は地域! 地域の活動を盛り上げたい、サポートしたい」

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NABUの外観
(写真提供:口井さん)


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NABUの財政について説明する
アンヤ・ラース女史
(写真提供:佐藤さん)


 研修2日目。私たちはドイツの代表的な環境保護団体の1つである「NABU」の連邦本部(午前)と地域支援事務局(午後)を訪れた。

 今回のドイツ研修を通して、私が最も興味を持ったのがNABUの地域支援事務局である。なぜなら、この事務局が担っている働きは、私の身近な活動においても大変重要で、ドイツ(NABU)ではそれを実践していたからである。

 まず、NABUの概要から紹介する。NABUの活動は1899年、野鳥保護の活動に始まり、生態系の保護、環境保護へと活動が広がってきた。団体の組織体制としては「連邦‐州‐地域」の3層構造となっており、私たちが訪れた連邦事務局の他に15の州事務局、1500以上の地域活動グループを持つ。連邦の主な活動は、キャンペーン広報や全体のマーケティングとファンドレージングによる会員(会費)集め、財政管理、国際的テーマの活動などである。州事務局では自然保護法に関するロビー活動をはじめとする独自のプロジェクト、地域グループは地域に根ざした環境保全や環境教育活動などを行なっている。

NABUが“ミッション”として掲げているのは以下4点。
① 全ての国民に環境保護が大切であると認識してもらう
② 国内・国外の生物多様性の維持
③ 次世代の人々が生活していくための環境をなるべく多く残す
④ 多くの人たちの活動をサポートする

 これらのミッションに基づき、絶滅危惧種の生物とその生息空間を保護、再生可能エネルギーの推進、野鳥の学術研究などをはじめとする様々な活動を展開している。また、活動地域はドイツ国内全体に点在するため、地域の社会条件によってテーマは異なり、ケニアの森林保護など国際的な活動にも積極的に取り組んでいる。

 NABUでは、同様の組織体制と活動内容で「NAJU」という青年部の活動が自立しており、次世代の育成にも力を入れている。さらに近年、経済界の有力なパートナーと連携するなど財政確保においても様々な工夫がなされているようだ。
 この、次世代育成、財政・会員確保、広報術などについてはドイツの他の団体と比較し、ドイツの環境保護団体の全体像として詳しく述べることとする。

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地域グループの一つが
保全している湿地帯
(写真提供:口井さん)


 さて、ここからが本題。

 先に述べた3層構造のうち「州‐地域」の間の中間支援を行なっているのが地域支援事務局である。ここでは、2006年5月から2年間の試行期間において、州とNABUが1人の有給スタッフ(マヤさん)を雇い、3つの地域グループの活動を支援している(試行期間終了後は地域グループがスタッフの給料を支払う)。地域グループの支援とは、新会員の獲得、会員の活動率を上げる(活動していない会員に活動してもらう・個々の活動する時間を増やす)、3つの地域グループ間・地域グループと州事務局との調整、などがある。具体的には、活動を外部にアピールするための手法としてプレスリリースや広報の仕方を教える、活動資金を増やすためにスポンサーや寄付を集める、各グループを運営するために必要な講座を開く、などを行なっている。

 しかし、決められた業務というより、それぞれの地域グループで活動している人達と接しながら、顔の見える関係で活動に幸福感を作っていくことが大切、そのための支援をしている、というマヤさん(スタッフ)の言葉が印象に残っている。

 活動している人たちに対して感謝の気持ちを目に見える形で表現し、活動を気持ちよく継続してもらう、また、活動にあまり参加していない会員に対して、○○であなたの力が必要です、などのようにコミュニケーションを大切にしながら活動に関わってもらう、などの人間身のあふれるお付き合いの上に活動があるのは地域ならではの支援であると感じた。
 最後に、マヤさんにこの地域支援事務局での仕事についてどのように感じているかを聞いた。すると、3つの地域グループと州事務局の代表者である4人のボスとの調整は複雑で難しいがとてもやりがいがある、また、この事務局は未だ試行段階なので、自分で新しいものを組み立てていくおもしろさがある、とのこと。

 マヤさんの地域とのかかわり方は私にとって非常に理想的で、地域の活動で問題となっていることも日本の団体と大きく違わない。ここで紹介したケースはNABUという大きな団体における地域の活動支援であるから仕事として成り立っている・・・と考えずに、日本でのあり方を考える上で非常に参考になった。

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地域支援事務局の
スタッフマヤさん
(写真提供:桃井さん)


 ドイツの環境活動の歴史に対する私の印象として、活動の多くは野鳥の保護という感情的な愛護に始まり、近年では、野鳥をはじめとする人間を取り巻く環境は、結局のところ人間自身に影響を及ぼすこととなる、という考え方の元に現在の様々な環境保全活動が行なわれているのかな、と感じました(確か、日本での環境活動のきっかけは公害だったはず)。

 さらに、現在と同じように、1900年代の野鳥保護活動においても広報や啓発に工夫がされていたり、いくつかの保全地域をつなげて大きな力に発展させる、また、学術研究を政治的なものにつなげていく、などの事例を見ることが出来ました。
 このことから過去の活動から学ぶことは多く、現在の活動にも生かせる情報が多く詰まっていることがわかりました。このミュージアムを案内してくださった研究者の方も、過去の活動によって、活動の戦略やコンセプトなどを参考にすることが出来る、とおっしゃっていました。
 さてここで、過去の活動や他団体の活動など、数知れない活動がありますが、自分の活動以外について知る機会はどれくらいあるでしょうか。また、その知識や学びが自信の活動に生かされるケースはどれくらいあるでしょうか。
 私自身の今後の活動では、地域や分野に限りがあるかもしれないけれども、出来るだけ多くの人に出会って、実になる情報を得て、さらに活動を充実させていけたらなぁ・・・と夢が膨らみました。




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