セブン-イレブン みどりの基金 一般財団法人セブン-イレブン記念財団

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ドイツで感じた、日本の環境NPOの道標(みちしるべ) 連載-第4回- NPOがお金を集めるということ 〜ドイツにあって日本にないもの〜

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海外研修
ファンドレイジングアカデミー
でお話を聞く研修生
海外研修
一番大切なことは人とのコミュニケーションと強く言うアカデミーの先生
 今回の私たちの訪問ではドイツのNPOに対して、ファンドレイジング(資金調達)を教えているファンドレイジングアカデミーという専門学校を訪れました。そんな専門学校があること自体が驚きでしたが、この学校についてはドイツ環境見聞録の第11回に、設立背景や目的については、ドイツ環境なるほど紀行の第10回のコラムに紹介されているのでご覧ください。

 私がここで聞いた心に響いた一言を紹介します。
ファンドレイジングをするにあたって、一番に大切にしたいことは 「人とのコミュニケーション」であり、ファンドレイザーには、 「肯定的な考えが最も必要である」と強くおっしゃっていました。

NPOにとってどんな方法で誰から資金をいただいたとしても、感謝の気持ちを忘れずにコミュニケーションをとっていくことが大切であるという意味であると思います。
日本と違うところ
 とはいっても、日本のNPOを取り囲む社会がファンドレイジングをはじめとした、経営感覚の意識がないわけではないと思います。私は20代ですが、私たちの年代で「NPOはお金儲けをしちゃダメ」と思っている人は、上の世代の人たちと比較すると圧倒的に少なくなっていると思います。小学校の社会科の時間にNPO、NGOという言葉を習いました。そういったところでも、NPOの資金調達に関する意識の変革は日本でも起こっているといえると思います。
 また、日本に寄付文化がないと一概に言えるものではなく、昔から日本でも神社の建立のために寄付を集めるといった寄付の文化が存在します。では、ドイツにあって日本にないものはなんだろう?という疑問はドイツ研修中私の中にずっとあったものでした。
国がNPOの活動を支援するということ、なんと法律が!
 私の心が動いたものの一つにNPOの寄付に関する行為についての法律が存在するということです。NPOが会員獲得のためや寄付のお願いの電話勧誘を一般の市民にすることについて情報開示の義務が法律によって定められています。ドイツのNPOはどんな寄付の電話をしたかを国に報告せねばなりません。一見NPOにとって負担が増えているように思いました。しかし、国によってNPOの活動が守られているともいえます。なぜなら、それによってドイツ国民は安心してNPOの勧誘の電話を受けることができるからです。怪しい勧誘の電話と信用できるNPOの勧誘との電話を区別することができるのです。そして、信用できるNPOの勧誘に安心して応じることができます。
 これは国民が安心してNPOに関われる法律といえるでしょう。そしてNPOにとっては会員や寄付を集めやすくすることはもちろんのこと、多くの市民がNPOに関われることを推奨していることとなります。
 ファンドレイジングの基本である、人とのコミュニケーション、NPOにとっては顧客とのコミュニケーションを円滑にしてくれる法律です。
 その話を聞きながら、「そうか。そういった仕組み、法律をつくるのが国をはじめとした行政の一つの役割なのだな。」と感じました。ドイツでは、そういったそれぞれの役割をしっかりと認識し、様々な機関がその任務をしっかりと遂行しているのだと感じ、これには心を動かされました。
NPOの「お金をいただくこと」についての考え
 ではNPO側ではどうでしょうか。様々な研修先に伺う中で、寄付をたくさんいただいている団体もありました。

 「自分たちの活動が、本当にいただいたお金にみあうだけの価値があることなのか。」

 を考えさせられました。会費やイベントでの参加費、寄付金・・・
 私もNPOで活動していく中でこういったお金をいただく機会がありました。本当にその分のサービスを提供でき、満足度を得てもらえているのか。その都度考えていなかったことを反省しました。
海外研修
ドイツのNPOの活動に参加する研修生
 特に会費やイベントでの参加費と違って寄付金というお金を払う理由は、この活動を応援したい!という純粋な思いだと思います。そう思ってもらえるには、まず、それだけ価値のある活動をしていかなければならない。根本的に、どう寄付を集めるかという手法だけでなく、自分たちの活動をいつも見直し、世の中に必要なのか、役に立っているのかを見つめていかなければならないと思いました。それが寄付を開拓するはじめの一歩だと思います。
 どんなに組織が大きくなっても、その疑問は常に持ち続けておきたい。そして自分たちの活動を応援してくださる方に感謝の気持ちを忘れないでおきたいと強く思いました。

 また、次回のコラムも私がNPOの資金調達についてお伝えします。
 ファンドレイジングに関する過去のコラムはドイツ環境街道をゆく第15回第16回にもあります。




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