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ドイツ環境街道をゆく 連載-第4回- ドイツ、環境NPOのちから(2)−BUNDのシステム−

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BUNDラインラント・ファルツ州の会員数の伸び

BUNDは1973年に州レベルで発足し、75年に連邦レベルBUNDが組織された。それからこれまでの間、巨大な組織と、それを支えるシステムを作り上げてきた。現在では、連邦レベルのBUND e.v.の下に16の州毎に州支部があり、その下に市町村支部、地域グループまである。
この連邦レベル、州レベル、市町村レベルの構造は次のとおりである。ラインラント・ファルツ州の場合、まず、市町村支部毎に役員が決定され、年に1回、市町村支部の役員、約80名が集まり、州レベルの総会が開催される。その総会では、州役員10名、年間予算、年間の活動計画などが決定される。
州の代表1名が連邦レベルの会議に出席し、州の活動についての報告や、連邦レベルの年間予算、年間の活動計画などが決定される。というように、この部分については、完全なボトムアップの方式である。
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BUNDの予算内訳(ラインラント・ファルツ州)

一方、お金の流れになると若干、話が異なる。会員を管理しているのは、州事務局である。つまり、会員からの会費は州に納められる。その会費総額の30%が、連邦レベルのBUND e.v.に流れ、5%が市町村支部に配られる。ただし、これは会費に限った話で、寄付については、連邦、州、市町村それぞれに直接寄付が行われる。そしてその寄付金は全額、その寄付を集めた組織単位で使用できる。こうして、各レベルの組織は、収入を確保し、連邦、州、市町村レベルのそれぞれの組織は、基本的に独立採算で運営されている。
こう考えると「組織としては、全額を自由に使用できる寄付集めに力を注いだ方がいいな」なんて思ってしまう。それは確かにそうなのだろうが、会費は、連邦、州、市町村すべてにメリットをもたらす共通の関心事項でもある。それゆえ、会員獲得は、連邦、州、市町村が強力に連携できる部分なのである。
前回は、BUNDのラインラント・ファルツ州の年間予算とその内訳を紹介したので、今回は、BUND e.v.の年間予算とその内訳を紹介しよう。ちなみに、この資料は、研修時に入手したものでなく、帰国後、BUND e.v.のホームページを調べて入手したものである。
2003年度の収入は1,3329,872EU(約18.6億円)である。その内訳は、一時的な寄付39.2%、会費41.5%、交通違反者等からの罰金1.8%、プロジェクトに対する連邦の各省からの助成4.1%、その他13.4%である。
この「会費」が、各州の会費収入の30%が集められたものというわけである。
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BUNDの予算内訳(連邦)

こうしたシステムに対して、純粋に「すごいなぁ」と思う反面、「なぜここまでのシステムや規模を作る必要があるのだろう?」という疑問も生じる。だが、こう考えてはどうだろうか。前回、紹介した、「裁判所の判断により、交通違反者等の罰金がNPOに支払われる(場合もある)」という制度。こうした制度は、強力なNPOの強力なロビー活動によって実現した、としたらどうだろう。
この罰金制度が成立した経緯については詳しく聞いていないが、ドイツでは、NPOの提案によって実現した政策や制度は確かにある。わが国に目を向ければ、政策を提案する能力のあるNPOはあっても、政策を実現する能力のあるNPOはほとんどない。
NPOの力の差がこんなところに現れている。




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