セブン-イレブン みどりの基金 一般財団法人セブン-イレブン記念財団

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環境ボランティアリーダー海外研修

2007年(平成19年)第10回環境ボランティアリーダー海外研修レポート

海外研修レポート 感想 「地球に謙虚に」運動
仲津 英治 さん

訪問先の活動や、マネージメントなど、どの部分が日本のボランテイアリーダーとして生かせるか。

1−1人、物、金
 環境問題に限らず、NPOの悩みは人、物、金の3点である。ドイツでもその点は共通するところがあることを伺った。しかし人に関してはドイツの方が相当規模的に大きい。

1−1−1会員増強
 BUND、NABUといった代表的環境NPOにしても一朝一夕に40万人を越える会員に拡大した訳ではない。一歩一歩着実な歩みを続けてきた結果である。特にテーマに応じて会員を増やしてきた。信頼関係を維持発展が最も大事である。そのために案内、情報発信が大切であり、自分が行ってきた実践は改めて正しいと思った。そこでややもすれば自分たちの殻にこもりがちな趣味の延長線にあるNPOに対し、外へ出ることを薦めて生きたい。特にBUNDのように歴史は新しいが(1973年頃設立)、多方面の環境問題に輪を広げ、つないできて拡充発展を遂げてきた姿は、色んな環境NPOに属して一分野に閉じこまらないよう取り組んできた私にとっては良い手本となった。案内、お願い、自ら考えるところなどのE-Mail発信を続けたい。
 またタイミングも大事であることを新ためて痛感した。大きな環境問題に関する組織的、国家的イベントの時、あるいは人災とも言うべき災害が生じたりしたときは、環境対策が必要であるとの認識を人々に持ってもらう絶好の機会であり、生かすようにしたい。

1−1−2物
 NPOを続ける条件として、事務所などのハードウエアの他に、事業を展開する企業と同様、規程、組織、Programなどソフトウエアの整備拡充も大事であると痛感した。組織的に活動を行い、部外者も信頼を得て、NPO活動を発展させるためにもこれらの整備と周知を行って行きたい。

1−1−3金
 基本は会員の確保、拡充であろう。積極的活動はできないが、環境NPOの主旨に賛同し、支援したい人は潜在的にいることは普段から感じているところである。地道な活動を通じて、地域の人達にPRし、地理的に離れている人でも主旨に賛同していただくよう情報発信を続けることが効果的だと改めて思った。会員を増やすことにより会費収入を拡大することが近道であると思った。
 また寄付金は、特に遺産金などを通じて支援方をお願いするには、日本ではまだまだこれからのことであろう。やはりまず会員から、そして会員の知り合いを通じて寄付金などを要請していくことが大事であると思う。遺産金活用の実践は、今回大いに刺激を受けた情報であった。
 日本人は表に出ることを避ける傾向が強く、名前を残すこと、生前死後を通じ名誉的行為に意義を感じたりする人は少ないし、あまりに特定個人の名前が出ることを周りの人も歓迎しない。道路や広場等に個人名を被せたものは殆ど無いのは其の表れである。やはり宗教的行事など同列に寄付して戴く方向(金額は別)にまずは取り組むべきかなと思う。
 また相続税が日本でも大きな税収になっており、財政当局などの行政と必ずや関わってくる。遺産を国家の収入にするだけでなく、一部でも本人の遺志に報いるような制度を導入されるよう、働きかけて行きたい。税額免除なども絶対必要である。知り合いの政治家に働きかけることとしたい。

 今回、ドイツの環境NPOの人達から話を伺って改めて痛感したことは、運動を展開し、発展させるには崇高な理想が原点として必要であるということである。「地球に謙虚に」という言葉に今回知り合ったドイツ人が共鳴してくれたことから、大いに自信を持った。これからも環境NPO活動に邁進するなかで、「地球に謙虚に」という言葉を「地球にやさしく」の替わりに使われるよう運動を続けて行きたい。


研修を通じて日本の環境ボランテイアーを支援するために、どのような仕組みが考えられるか。

2−1公的支援
 ドイツが戦後、義務教育を終えた若者に対し、まず男子に国民義務として兵役(今9ヶ月)を課すほか、社会的役務に自由意志に基づいて研修に参加する制度(手当ても出す)を設けた意義は大きい。社会的役務は女子も対象としている。そして当初から良心的兵役忌避者に社会福祉分野において兵役の代替制度を導入している。続いて環境問題の発生とともに環境分野にも兵役の替わりに、環境NPO,環境部局等での任務をこなすことを認めたことは、国民の環境問題への認識を高め、また環境NPOへの人材供給の意味で大きな成果を生んでいるとの印象を受けた。
 今回訪問した環境NPO団体の方々が、いずれの立場、レベルにおいても異口同音にこの制度の有意義さを認めていたからである。日本から参加している菅沼倫代嬢が、自由意志一年研修制度に参加し、生き生きと活動している姿は、同制度によるドイツの若者、フランスの若者も含め、同制度を評価できる象徴的シーンであると私は思った。
 兵役には異論も大いにあろうが(私は兵役の必要性を感じている一人である)、国家なり地方自治体が責任を果たしている義務教育を受けた青少年に対して、社会福祉、環境部門などにおいて一定期間、社会的役務を課す制度は日本においても導入されてよい制度である。


2−2環境に関わる制度、Projectなどへの環境NPOの参画
 行政が制度を作るあるいは変える、またProjectを計画する際、それらが自然環境などに影響を与える場合は、諮問機関として環境NPOを招聘し、意見を求める仕組みはぜひ制度化したいところである。今回環境保護法などの条文そのものを依頼して入手することができた。原点を入手しておくことは、説得する時、照会を受けたとき有力な情報となる。
 もっとも日本の環境NPOも行政に並び立って説明し、企画立案能力を備える努力をしなければならない。

2−3宗教団体あるいは地場の寺院の役割
 今回、環境問題に関して、ドイツ連邦の数十年後の有るべき姿を、環境NPOであるBUNDとキリスト教団体(カソリック系?)が一冊の本にまとめ、提示していることに、驚くとともに大いに共感を覚えた。長い間人々の心の世界に関わって来た宗教が、いい意味での精神的リーダーになる資格、義務があっても良いと思っているからである。
 葬式仏教化した日本仏教、正月や祈願をするときだけ拝まれる神社ではなく、例として日本の環境問題を如何に捉え、解決して行くか、宗教関係者も考え、方向を示し、行動して欲しいと思う。また環境NPOも宗教関係者に連携するよう働きかけが必要であろう。精神的、実質的後援者になってくれる可能性があると考えている。


全体を通じての感想

 若い頃、留学しその後何度か行き来したドイツであるが、今回自由と民主主義が根付いた国として改めて認識することができた。自らの伝統も大事にし、戦後もたらされた民主主義を発展させているとも感じた。
 戦前日本は、あまりに国家なり公共団体が国民に義務を課し、それらが強調されすぎた社会であって、戦後日本ではその反動で権利が強調されすぎて、精神的に乱れた社会になっていると思う。その点ドイツは、国民に権利は義務を伴うものであり、それを制度的に具現していると思った。
 ドイツは環境先進国として世界的に喧伝されている国家であるが、構成員である国民において相当の見識と胆識(見識を持ち、かつ行動に移せる知識の段階)を持った国であると思える。そして自らもPRしている。
 日本もそれなりの努力をし、実力を備えた国であると思うが、実践項目は羅列できるにしてもそのレベル、量において彼我の差は相当大きいと言わざるを得ないと思う。
 足元を固めつつ、実践を通じて実績を着実に重ね、内外に認められ、規範、ルールを具現化できる地域、国になって行きたいし、その可能性はあると思える。
 以前からの所属している環境NPOの人達に機会を捉え、情報を提供して地場のレベル、実績を少しでも高めて行きたい。その意味で今回1週間強に渡って寝食を共にした諸氏とはこれからの連携を保ちたい。
 また、大切な要素として、個人、組織のメリットが挙げられる。多数の人に環境改善に取組んでもらうには、自らへの見返りがあることが肝要である。これは彼我に共通する原点である。奉仕精神で動く人は数パーセントまでであろう。ソーラー発電装置を村の公民館に設置した村人の話を伺い、道中林立する風力発電用風車の林立する情景を眺めて改めて痛感したところである。
 最後になるが、日本語のみならず世界共通語となりつつある英語を持って自己発信を心がけようと思う。これは半分願望を含んでいるが。その意味で英語発信を手伝って戴ける個人、団体の皆様方のご協力をお願いしたい。



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