セブン-イレブン みどりの基金 一般財団法人セブン-イレブン記念財団

※こちらはアーカイブ記事です。

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活動のご紹介

環境ボランティアリーダー海外研修

2008年(平成20年)第11回環境ボランティアリーダー海外研修レポート

海外研修レポート 感想その2


日程表 感想 その1 その2
  【8】10月6日(月)午前 マインツ市環境情報センター
訪問先:マインツ市環境情報センター(Umwelt Information)/ラインラント-プファルツ州マインツ市(Rheinland-Pfalz State, Mainz Urban district)
対応者:キャースティン ヤコブさん(マインツ市環境局職員ごみ処理担当)Frau Ycoub/トーマス ペンシェル氏(マインツ市環境局職員エネルギー部門担当)Thomas Pensel
HP:www.eb-mainz.de

マインツ市環境情報センター

マインツ市環境情報センターは1999年に市民向きのごみ分別や環境問題全般について相談ができる場所として設立されました。このセンターは市民が立ち寄りやすい都心の商店街に開設し、設立当初は主に電話相談を行いました。ミュンヘン市が、1980年代ドイツで最初にこのような環境情報センターを始めたそうです。マインツ市の環境情報センターは開設初年度の来訪者数が9,000人だったが、現在、年間に4万人までに増加しているとのこと。センターに2カ月間交代で環境をテーマとした展示を行っており、3回程度は環境保護について、残り3回はごみ分別についてだそうです。マインツ市のごみ分別は分類が数多くあり、環境展示以外に主にごみ分別について情報を提供しているそうです。1990年、ホットラインの電話システムをはじめ、電話で相談があった場合は、3日間以内に質問に対しての返事をします。当センターと他に市内20カ所では無料で黄色いごみ袋(ミルクやヨーグルトパックなど専用ごみ袋)を配布しています。ごみ分別を徹底的に行っているためごみ収集全体のコストが減少しているそうです。一般ごみの回収は有料です。再生ごみの回収は無料です。都心部の回収頻度は週に1回程度で郊外の住宅地では2週に1回となっています。センターのスタッフの人数は8名で、常勤スタッフが2名。エネルギーをテーマとして活動している環境団体との意見交換会も定期的にこのセンターで行っているそうです。
(デワンカー・バート・ジュリエン)
左から 市の環境政策の話を聞く研修生 / キャースティン ヤコブさん / トーマス ペンシェル氏 / 環境情報センター内
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  【9】10月6日(月)午前 エコガーデン
訪問先:エコガーデン(Naturnahe Grun)/ラインラント-プファルツ州マインツ市(Rheinland-Pfalz State, Mainz Urban district)
対応者:カールハインツ エントレス氏(ナトゥールナッヘ グルンNaturnahe Grun代表)Karlheinz Endres

エコガーデン

15名のメンバーから構成しているNaturnahe Grunという環境団体は、マインツ市内に3400km2の小さなエコガーデンを自分たちの手で作り上げ、管理している環境団体です。マインツ市が土地を提供し、園芸専門の大型店舗から材料をもらい、またNABU(自然保護環境団体)から一部の植栽、主に薬草を提供してもらったそうです。ガーデンの目的は、在来野生植物を育て、一般市民や地域の学校と連携し、環境教育の一環で外来植物の問題を教えること。ガーデンでの作業は一部の草刈り以外は、ガーデンの管理が簡単であり、読書会や音楽会を開催できる場を提供する計画もあるそうです。維持管理費はあまりかからないため、助成金を申請するなど、収入源を増やすことはあまり考えていないとのこと。地域密着で活動しているこのような小さな団体が多く存在していますが、他団体との交流はほとんどないそうです。活動を広めるために、広報活動に力を入れています。新聞記者に声をかけ、新聞に記事を掲載してもらうのが効果的だと教えてもらいました。私たちの団体訪問も新聞記者が取材にきていて、数日後に地元の新聞に団体活動の紹介記事が掲載されました。
(デワンカー・バート・ジュリエン)
左から 在来野生植物の話を聞く研修生 / 活動の成り立ちの説明を聞く / 活動の説明をするカールハインツ エントレス氏(中央) / マインツ市の新聞に掲載される
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  【10】10月6日(日)午後 NABU ユーゲンハイム地域
訪問先:NABU JUGENHEIM地域/ラインラント-プファルツ州マインツ-ビンゲン郡ラインヘッセン市ユーゲンハイム(Rheinland-Pfalz State, Mainz-Bingen District, Jugenheim in Rheinhessen)
対応者:ライナー ミシャルスキー氏(NABUのラインラント-プファルツ州職員)Rainer Michalski
HP:www.mainz-naturnah.de

鳥の保護活動で連携
している教会の入口

今回訪問したNABUのライラント-プファルツ州の活動は、12世紀に建てられた教会にコウモリやフクロウなどの鳥が巣をつくれるように巣箱の設置や、壁の工夫などの動物の保護に加え、NABUで土地を買い、そこに羊を放つことで草刈りを行うなど、そこに生える在来種など植物の保護に特に熱心に活動していました。
ミシャルスキーさん自身は違う仕事で生計をたてており、NABUの中では新聞、広報担当として活動をしていました。活動に参加する人は、8割は会員、2割は非会員で交通違反をした人などが作業に加わることが多いようでした。田舎で若者が足りないのかと思いきや、若い人材は地域にも根付いている他、街からも参加していました。特に驚かされたのは、大工さんの息子である15歳の少年たちが立派な蜂ホテルを自分たちで作成していたことでした。
左から 鳥の生息地を示す看板が教会入口についている / 教会内でせつめいをするライナー ミシャルスキー氏 / 鳥の出入り口(教会中から) / ビオトープ内に建てられた昆虫用ホテル

見学をさせていただいた丘には大きな十字架がたてられており、この地域、この風景をくれた神様に感謝する、自然を慈しむ人々の文化が見えた訪問でした。
(榎本純子)
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  【11】10月7日(火)午前 BUNDラインラントファルツ州支部
訪問先:BUNDラインラントファルツ州支部/ラインラント-プファルツ州マインツ市(Rheinland-Pfalz State, Mainz Urban district)
対応者:ミヒャエル ウルリッヒ氏(BUNDラインラント-プファルツ州職員)Michael Ullrich
HP:www.bund-rlp.de

研修前に綿密な打合せ
をする研修生

マインツ市内にあるBUNDのラインラント-プファルツ州の州支部事務所を訪問し、ミヒャエル氏からBUNDの組織構造や運営、活動についてお話いただきました。
事業は、子どもたちへの環境学習、行政のプロジェクトへの公聴会への参加、土地の買収、自然保護、研究があげられました。特に、行政のプロジェクトへの公聴会への参加については、法律の中で、何か開発行為を行う際は団体に声をかけることが義務づけられており、それはBUNDやNABUの会員の多さ故の説得力に、行政側も無視できない状況が存在するようでした。
地域で問題がおこった場合は、地域の一番小さな単位のグループにおろして、地域の問題は地域で解決するという行政区域にあった組織作りがなされていました。また連邦、州、地域、村とそれぞれの規模の団体がありますが、上位の規模の団体が、地域や村の規模の団体をコントロールせず、それぞれが地域の課題に対して活動するという信用で成り立っているとのことでした。
また、スタッフ一人ひとりがとても高い専門性をもっており、広報などでその力を発揮する反面、隣の仕事は全く知らないという面をあわせもっていて、日本では一人のスタッフがいろんな仕事をこなすことが多い中で、研修生みんなが驚かされました。
(榎本純子)
左から BUNDの活動を聞く研修生 / ミヒャエル ウルリッヒ氏 / 常にメモを取る研修生 / 研修生も真剣
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  【12】10月7日(火)午後 州ガーデンショー
訪問先:州ガーデンショー(BUNDの蝶の庭)/ラインラント-プファルツ州マインツ ビンゲン郡ビンゲン市(Rheinland-Pfalz State, Mainz-Bingen District, Bingen am Rhein)
対応者:アレクサンドラ ステーブンスさん(BUNDビンゲン地域支部職員)Alexandra Stevens

ライン川沿いで開催された州ガーデンショー

マインツ市から電車で30分ほどの小さな町ビンゲン(Bingen am Rhein)では、州主催のガーデンショーを2008年4月から10月までの半年間開催しています。このようなガーデンショーはドイツで頻繁に行われ、日本の花博のような歴史のあるイベントです。今回の対象地域は、ライン川沿いの数百メートルの細長い地域で、ライン川と電車の線路に挟まれた場所でした。展示ゾーンは主に次のようでした、クラインガーデン(ドイツの市民農園)のゾーン、大きな芝生広場、環境に配慮した遊具の遊び公園、在来植物ゾーン、など。市民農園の一角でBUNDやNABUのような環境団体が環境に配慮した園芸ガーデンの作り方を紹介していました。BUNDのガーデンのテーマは蝶の庭でした。蝶が好む植物が数多く植えられていて、小さな庭小屋に蝶について簡単な展示も行っていました。庭のデザイン、施工、そして展示期間中の解説はすべてBUNDに所属している地元の環境団体が行っていました。予算をあまり持っていないローカル団体は、主にボランティア活動員の力を借りてこのようなイベントに参加しています。
(デワンカー・バート・ジュリエン)
左から ガーデンショーではさまざまな団体が出展をしている / アレクサンドラ ステーブンスさん / BUNDの地域での活動説明を聞く / 蝶のリンプン(麟粉)を顕微鏡で覗き込む菊地さん
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  【13】10月8日(水)午前 ファンドレイジングアカデミー
訪問先:ファンドレイジングアカデミー(FUNDRAISING AKADEMIE)/ヘッセン州フランクフルト市(Hessen State, Frankfurt am Main Urban district)
対応者:リットーショッフェル氏(ファンドレイジングアカデミー講師、考古学博士)Karl-F Rittershofer

研修前の打合せ

ファンドレイジングアカデミーは、1993年に資金確保活動の人材育成を行なう学校として設立された、資金調達に関する学習ができるドイツ唯一の専門学校です。市民団体内で資金調達のプロであるファンドレイザーを育成することが大きな目的であり、約400名が巣立っています。2年間の教育が終わると「ファンドレイジング・マネージャーFA」という民間認定の資格がもらえるそうです。近年では日本の市民団体においてもファンドレイジングという言葉は認知され、資金調達が小さな団体の運営や維持の鍵となるキーワードであり、研修生は皆真剣に話に聞き入りました。

左:リットーショッフェル氏 右:一番知りたい資金調達の情報に聞き入る

研修の内容では、アカデミーの内容から近年の傾向、そして、具体的に資金の種類からどのように集めていくのかという手法を学びました。突然寄付が集まるわけではなく、情報を提供して信頼を得て、そして寄付につながること、遺産相続が収入も成長もとても大きく将来性の非常に高いものであること、アプローチをシステム的にきちんと論理展開しなければならないということを学びました。
左:常に資金調達にはマーケティングが絡んでくる 右:講師と研修生

日本には定着していませんが、遺産相続の分野は大きなチャンスである、しかしきちんとした報告や感謝の意を伝えることが大事であると感じました。また、今回は詳しく聞くことは出来ませんでしたが、データベース・ファンドレージングという考え方があります。例えば、寄付に対する感謝の言葉を書いた手紙を、印刷しただけの文章で発送をしたときと、手書きの文章で発送したときでは、受け取り手の気持ちが違います。これは、次回も寄付をしてくれるかどうか、ということにまで違いがでてきます。この違いを調査し、より効果的な方法をデータベース化していく手法が、データベース・ファンドレージングであり、この考え方は発展的な段階にありますが、十分日本でも生かせるものであると思いました。
リットーショッフェル氏の「寄付は、心が動かなければ頭は動かない」という言葉がとても心に響きました。
(菊地格夫)
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  【14】10月8日(水)午後 環境ボランティア研修制度ラインラント-プファルツ州運営事務局
訪問先:環境ボランティア研修制度ラインラント-プファルツ州運営事務局/ラインラント-プファルツ州マインツ市(Rheinland-Pfalz State, Mainz Urban district)
対応者:ヨハン フライ氏(環境ボランティア研修制度ラインラント-プファルツ州事務局長) Jochen Frey
HP:www.foej-rlp.de


上:制度の説明を聞く研修生
下左:ヨハン フライ氏
下右:制度費用の説明
今回の研修で最後の訪問先となる環境ボランティア研修制度(FÖJ)のラインラント-プファルツ(Rheinland-Pfalz)州の運営事務局は、10月7日に訪れたBUNDのラインラント-プファルツ(Rheinland-Pfalz)州事務所内にありました。環境ボランティア研修制度について説明をしていただいたのはDr.ヨハン・フライ事務局長。この制度は16才から26才までの若い世代に環境に対する意識を根付かせるために整備されました。2008年現在、ドイツ国内の約1900人の青年が環境保護に関する分野の団体で1年間の研修を受けます。一口に環境保護に関する分野とは言っても環境教育、自然保護活動、環境に配慮した農業などさまざまな受け入れ団体があり、今回のヒアリングで驚いたのは日本とドイツ間で研修生の交換が行われ、日本からの研修生をドイツのFÖJが受入れ、必要となる経費の一部についてドイツ政府の税金から支払われたということでした。もちろんドイツから日本に訪れた研修生についても同様に経費の一部が支払われたといいます。この様なドイツ政府の徹底した環境保護活動のための人材育成制度については、今後の日本も見習わなくてはならないと思いました。
(今村和志)
日程表 感想 その1 その2



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