セブン-イレブン みどりの基金 一般財団法人セブン-イレブン記念財団

※こちらはアーカイブ記事です。

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活動のご紹介

環境ボランティアリーダー海外研修

2009年(平成21年)第12回環境ボランティアリーダー海外研修レポート

海外研修レポート 感想その2


日程表 感想 その1 その2
  【7】10月24日(土)午前 ドイツ環境保護連盟(BUND)ヘッセン州支部
会員数47万7千人。自然保護だけではなく、エネルギー問題や環境問題にも力を入れているドイツでも最大級のNGOのひとつであるBUND。そのヘッセン州支部を訪れました。
主な活動内容としては、環境保護に関する広報や環境政策に対する評価、環境教育、自然保護活動。他にもデモを行ったり、行政が間違った行動を起こしたときには、裁判を起こしたりすることも役割のひとつだそうです。NABUとの違いとして印象に残ったことは、行政に対して意見を言うことができる関係であるために、行政と常にコンタクトをとり親密にするのではなく、一定の距離を置いているということです。例えば、行政の事業に協力をしたとしても、行政側から謝礼や委託料をもらうことはないそうです。活動資金は会費と寄付でほとんどまかなうことができている。それは、例えば理事会のあとには必ず記者会見をするという、団体からのメッセージ・広報に力を入れているからだろうと感じました。
(山田 勇)
BUND州事務所で
活動全体の話を聞く
州支部広報担当のアンドレア・グラフ女史
環境教育のイベントで使う教材

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  【8】10月24日(土)午後 フェルゼンメア・ナショナルジオパーク
ヘッセン州フェルゼンメア町にあるナショナルジオパーク、人類がまだ存在していなかった、遙か太古の地球の歴史のひとこまを見せてくれるのがこの公園です。3億年前の大陸の移動による、大噴火で、火口からふきあげられた巨大な石や溶岩が地を滑り落ちて、山の斜面を覆い、それが数万年の間に風化していった。そして氷河期の去った後の溝に残った何千、何万という御影石の広がる光景は、「石の海」「巌の海」と呼ばれています。山の斜面一面に大きな川のように流れる巨大な石の群れはまさに圧巻で、自然の神秘を感じられずにはいられません。その石の川を子どもたちが嬉々として、上っていきます。自然の偉大さを肌で感じ、生き生きとした姿はまるで妖精たちのようでした。もちろんこのジオパーク、貴重な町の観光資源で町の振興の大きな要です。私たちの訪問時には町長も駆けつけ、翌日のヘッセン州の新聞にも取り上げられました。PRにひと役かえたようです。なんとこの駆けつけた町長、無給だそうです。ドイツにはまだ名誉職という考え方があり、町をよくするために誇りを持って重責についていられるそうです。見習うべきリーダーの姿を偉大な自然の中で見ることができました。大感謝!
(原 淳一)
岩石群の出来た歴史を学ぶ

石のサンプルを見る研修生

急傾斜の山に
広がる岩石群
裏山にも広がる
岩石群
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  【9】10月25日(日)午前 ドイツ自然保護連盟(NABU)ラインナウアー自然保護センター
センターのプロジェクトの説明を聞く

昨日とは変わってうららかな陽気のなか、バスに揺られドイツ自然保護連盟(NABU)ラインナウアー自然保護センターを訪問。ライン川に面したこの施設は25年前に地域ボランティアの要望を受け建てられた施設で、洪水時は水浸しになるとか!2名の常勤スタッフとパートさん(ナイスな昼食をご馳走頂く!)、そして2名の研修生が、各自誇りを持ち仕事に携わっていた。EU指定の自然保護地域のライン川岸を、鳥をはじめとする多様な野生動物の生息地をと確保するため、人口の護岸を自然型の護岸に復元する自然再生活動や、地域幼稚園への環境教育の出張授業、施設周辺に点在するミニビオトープなど魅力的な諸設備を用いた市民への自然環境を大切にする意識の普及啓発などを、地域の約1800人のボランティアとともに推進。どの活動も成果を可視化し、積極的に広報活動を行っていた。
左:センター内のビオトープにはいろんな生物が生息している 右:センターで写真を撮るときは、常にスポンサーの商品を入れて撮る
連邦本部や州支部では広報手法や各専門の知識を深める各種セミナーを開催しスタッフの人材育成を行ったり、各活動内容に即した専門家を斡旋したりと、地域の自然保護活動が質の高い活動を継続できるように、万全なバックアップ体制が敷かれていたのがとても印象的だった。
(石井 玲子)
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  【10】10月25日(日)午後 ドイツ自然保護連盟(NABU)ラインナウアー自然保護センター
カラフルな列車は子どもたちの環境教育の教室になる

NABUラインナウアー自然保護センターが関わっているインフォメーションセンターが、昨年、州がガーデンショーを開催した広い公園の一角にある。当番制のボランティアさんがセンター内にいて、地域の歴史や自然について案内をしていました。
1800年代の鉄道技術室を改良した建物の中に、NABUが企画段階から関わった自然をテーマにした展示があります。展示物は、自分の手で動かしながら情報を得ることができる仕組みになっており、子どもも大人も楽しく学べる工夫がありました。「あのセンターは楽しいから行った方がいいよ」と通りがかりの人が教えてくれた通り、狭いスペースでしたが、十分に楽しむことができました。
多様な貝が生息していることを理解できるコーナーもある
公園を管理している市としては、「人と自然の仲介者として認めることができるNABUにセンターで発信する情報を考えてほしい」という考えがありました。NABUとしても「多くの市民に、地域の自然を紹介したい。そして、NABUのことも知ってもらえる機会になる」というお互いにとってメリットがあり、思いが一致ししたため、引き受けたとのことです。
(山田 勇)
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  【11】10月26日(月)午前 自然保護センター(NaturschutzZentrum)
エコに徹底した
自然保護センター

環境教育の手法の一例
を体験する研修生

かつて砂利の採石場であったこの土地で、人々が憩い、感じながら自然について学べる空間を作りたいというゲルルト・エプラー氏の夢が実現したのは、今からおよそ5年前。2000年に構想を練り始め、2004年には施行という異例のスピードで成し遂げた事業。エプラー氏の母校の建築学科の学生にエコハウスの設計を依頼し、広大な敷地のあらゆるところに、「自然を体感できる仕掛け」がちりばめられている(建設費130万ユーロ)。エプラー氏がホストとなり、さまざまな分野の情熱を持った専門家が集まり、五感で感じる環境学習のアイデアがもちよられ、ハードとソフトの両面から話し合うという、有機的なプロセスを経ることで、真に人の感性を刺激する、普遍的な仕掛けがつくられていた(70〜80種のハーブや野菜が植えられた畑、ビオトープ、さまざまな岩が埋め込まれた壁のオブジェ、古代パン焼き窯など)。
新しく養蜂プロジェクトが
始まっていた

資金調達の取り組みとしては、物販(ハチミツ)や年間を通じて行われるイベントプログラムの参加費がある。年間のイベントスケジュールを公開するために、なんと一年以上前から講師のアポ取りをしているそうだ。行政との10カ年契約は、年々助成額が減少していく形態。寄付や会費収入だけに依存せず、クオリティの高いプログラムを開発することで、事業収入を安定的に確保していく姿勢が強く感じられた。
(中鉢妙子)
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  【12】10月26日(月)午後 マインツ市環境情報センター
環境情報センターの目的・意義の説明を受ける

ごみに関する情報が
沢山展示されている

マインツ市の中心にある商店街の一角にある情報センターは市民への「環境問題の啓発の場」「ごみ問題など市民の相談の場」として1999年につくられた。市の環境行政についての情報やNABUなどの民間団体の情報誌を置くスペースも設けられていた。話し合いの場としても団体に貸し出している。リサイクルされるごみのボックスもあり、このセンターには休日にもかかわらず多くの市民が訪れていた。ごみ袋はこういった市のいくつかの施設で配布されており、それをもらいにくる機会に環境問題に関心を持ってもらおうという配慮があって作られた。展示は2カ月に1回の割で変えているとこのこと。(展示をゆっくり見る市民はほとんどなくー展示のやり方は日本同様考えさせられた)。
NPOの情報や市の環境情報パンフが置いてある

ドイツでは市町村が実際の事業を行っている。現在の市の重要課題は「ごみ問題」「エネルギー問題」である。ごみはCD、生ごみなどのリサイクルも行われている。
エネルギーは地場でつくる。市の政策はEU-連邦─州の方針もと行われ、政権が代わって経済性も優先しようという動きになっていので難しい点もあるようだ。研修中マインツ市に滞在し、町のあちこちにごみが捨てられていたので「市民は拾わないか?」と尋ねたところ、以前は市民やボランテイアでやっていたが、現在はやっていないとのこと。「制度は作っても、実際は難しい」との相談員ライナー氏の答えであったが、やはりどこでも、生活の中での実行は難しいようだ。その点は日本のほうがまだできているのかもしれない。
(宮原 美智子)
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  【13】10月27日(火)午前 ファンドレイジングアカデミー
資金調達の手法を学ぶ研修生

研修生共通課題である資金
調達を真剣に考える

キリスト教機関GEZとドイツファンドレイジング連盟などによって設立された教育機関。元はキリスト教の布教にまつわるファンドレイジングが対象であったが、今ではNPO全般を対象に広げている。20年来の傾向として、個人の寄付額、懲戒金、企業や行政の助成金額はすべて減少傾向にあり、戦略的なファンドレイジングがNPOに求められている。日本においても参考になると思われるヒントを下に挙げる。
  1. 会員数の確保:あらゆるNPOが似たようなパンフレットをつくる傾向があり、受け取る側からするとどこも同じに見える。いかにその団体にしかない独創性を強調し、訴求できるかがポイント。会員をやめる人の理由をしっかり把握し、マーケティングデータとして活用する。
  2. 有名人を活用する:イベントへの参加、応援コメントなどをHPに掲載するなど
  3. 高額寄付者をどう獲得するか:ロータリークラブなどの知的サロンとのコネクションを持つ
  4. すべてのステークホルダーとの絆を大切にする:手紙、報告書、イベントへの招待、個人訪問など、支援してくれる人々とのタッチポイントを断続的に確保する。

(中鉢 妙子)

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  【14】10月27日(火)午後
   ヘッセン州環境ボランティア研修制度運営事務局/パルメンガルテン(熱帯温帯植物園)
ドイツには16〜26歳の青年を対象に、ボランティア奉仕のためのボランティア研修制度(FÖJ)が20年前に制定された。これを利用し多くの青年がさまざまなボランティアに一定期間奉仕後、就職や大学に入学する。ヘッセン州ではこのうち環境ボランティアを希望する人の受け入れ斡旋をHMUELV(環境保護アカデミー・州の環境省の資金で運営)とNZHe.V. (ヘッセン州自然保護センター・環境保護に関連する連盟クラブ)とが行っており、この制度を利用しpalmen Gardenという植物園で研修生として環境教育を担当するジェシーさんと、NZHe.V.の担当官のヘッセルさん、植物園のダンディな所長さんからお話を伺った。

広い敷地のパルメンガルテン

子どもたちに行う体験
教育を行う研修生

環境ボランティア研修制度
について説明を聞く

この州の環境ボランティアの受け入れは概ね年間100人、NZHe.V.ではそのうち60人の受入を行う(倍率は4倍にもなるため受け入れ先を探すのが今後の課題とのこと)。希望者と受入施設とのマッチング合同説明会を開催後、受入先が決まると1〜2ヵ月間の研修後、ボランティア活動を開始。また、研修生は各職場で活かせる技術を学ぶ、農業や自然保護など5つのカテゴリに分かれた集中セミナーに5日間参加、事務局は活動へのフォローや社会常識をも教える。なお、研修期間の研修生の生活資金や保険代等は、州と受け入れ施設とが負担し、外国からの研修生の受け入れにも対応!
将来環境分野で働くための知識や技術を学ぶ機会となる以上に、社会経験を通じ将来の方向や進路を決める大きな糧となり、青年達が自信を持ち専門分野への大学進学や就職する動機付けとなっている。国家戦略としてのこうした制度を日本でも導入できないものかと思った一日だった。
(石井 玲子)
日程表 感想 その1 その2



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