蝉時雨(せみしぐれ)


夏も深まり、あちらこちらからセミの鳴き声が聞こえてくる今日この頃。

木の幹や草の葉をよく探してみると、ありました!セミの抜け殻。

来園されるお子さんが大事そうに持っている光景をよく見かけますが、自分で探すと中々見つからない…

目線の違いでしょうか? 面白いものです。

△セミの抜け殻

ところで、「蝉時雨」という夏の季語は知っていますか?

蝉時雨とは、多くのセミ(蝉)が一斉に鳴きたてる声を時雨の降る音に見立てた言葉のことです。

 

セミは種類によって、好む環境や棲んでいる地域が異なります。

さあ、皆さんのイメージする蝉時雨はどんな音色でしょう?

「ミーンミーン♪」、「ジージージリジリジリ♪」

 

九重ふるさと自然学校では、夕暮れ時の「カナカナカナカナカナ♪」

鳴き声の主はヒグラシです。

△ヒグラシ

また、昼間には「チーーニーー♪」とニイニイゼミがよく鳴いています。

△ニイニイゼミ

ちなみに私の育った地域では、クマゼミの「シャワシャワシャワシャワ♪」という騒がしいほどの鳴き声が蝉時雨と呼ぶにふさわしい音色でした。

 

よく聞くと様々な音色で鳴いているセミたち。

時には複数の鳴き声が一斉に聞こえることもあります。

夏休みに出掛けた旅先や帰省先で耳をすませ、その地域の蝉時雨を感じてみてはいかがでしょうか。

ミズタマソウ


雨が降ったり止んだりと落ち着かない天候の中、
散策路を歩くと、ガラス玉のようにキラキラ光る小さな実を見つけました。

キラキラ光る実が目立ちます

名前はミズタマソウ(水玉草)。
花が咲いたあとの実に生える細かい毛に雨粒や朝露が付き、
水玉状になるのです。これが名前の由来、実は初めて目にしました。

細かい毛が生えていることで、実の周りに水玉が出来ます

普段はあまり目に留まらない地味めな植物ですが、
雨をまとうことでキラキラと一気に存在感を増しています。
雨の日に見つけた小さな野草の大きな発見でした。(川野)

抜け殻


梅雨の中休み。
草原の散策路で、バッタの抜け殻を見つけました。
セミやヘビの抜け殻は見かけても、バッタは意外に?目にする機会はないのではないでしょうか。

さて、透明感のある抜け殻は、とても柔らかい触り心地です。
あまりの軽さに、そよ風で飛んでいってしまいそうなほど。
なんだか脱皮後の姿だけ見ると、飛ばされまいと必死にススキの葉をつかんでいるようにも見えます。

バッタの仲間は卵から孵化して成虫になるまで、4~8回は脱皮すると言われます。
しかし、殻を上手に脱げなかったり、時間がかかりすぎると死んでしまうことも。
脱皮はまさに命がけです。
殻を破り続け、一人前の大人になって子孫を残すことは、自然界を生き抜く厳しさを教えてくれます。(指原)

初夏の落とし物


この時期、散策路上には木の葉を巻いたものが所々に落ちています。

丁寧に巻かれたクリやケヤキの葉。

この落とし物の持ち主は「オトシブミ」という虫の仲間です。

中には卵が入っており、「ゆりかご」や「揺籃(ようらん)」と呼ばれます。

△オトシブミのゆりかご

 

落ちていたゆりかごの上を見てみると、せっせと葉を巻いている彼女らに出会えました。

ゆりかごを作っているのがメスで、メスに乗っているのがオス。

こんな小さな虫が自分より大きな葉を丁寧に巻いているのだから驚きです。

一方、オスはというと他のオスからメスを奪われないように見張っています。

ここに他のオスが来ると取っ組み合いのケンカをはじめるのだとか。

△ゆりかごを作るオトシブミ

 

そしてゆりかごの中で産まれた幼虫は包まれていた葉を食べ、成虫へと育っていきます。

まさに「小さなムシの大きな世界」ですね。(宮本)

エゴノキは洗濯上手?


枝いっぱいに花を咲かせ、エゴノキが見頃を迎えています。
エゴノキの仲間は、花がうつむいて咲く美しい姿から、ヨーロッパで「スノードロップ」とも呼ばれます。
ちなみに、日本名に付けられた“エゴ”は「エグい」が起源とも。
日本と欧州では、名付け方がずいぶん違いますね。

ところで、エゴノキのエグさは、その果実にあります。
果実は7月頃、緑色に色づいて枝にぶら下がります。

その皮にサポニンと呼ばれる成分が含まれ、それがエグ味の正体です。
このサポニン。
なんと水に溶かして混ぜると泡が生まれます。
いわば天然の石鹸です。
今のような石鹸ができる前は、エゴノキの果実で石鹸液を作っていたそうです。
暮らしの中で自然のものを上手に使っていたんですね。
初めて気づいた人、すごいですよね。

果実の収穫までは、あと1か月ほど。
手に入ったら、エゴノキの泡あわ実験をしてみたいと思います。
汚れの落ち具合はいかほど!?(指原)