竹筒トラップネスト


現在、自然学校の畑では「竹筒トラップネスト」というものを設置しています。

トラップネスト(ネストトラップ)とは、「トラップ=わな」、「ネスト=巣」を組み合わせた造語のこと。

竹筒トラップネストでは、竹筒などの管状のものに巣を作る「狩りバチ」をおびき寄せます。

色々なハチが使えるように竹筒の直径は様々
畑のそばに設置した竹筒トラップネスト

狩りバチはこの竹筒にイモムシやバッタなどの獲物を運び入れ、近くに卵を産みつけ、枯れ草などでフタをします。

産まれた幼虫はこの獲物を食べて成長し、成虫となって出てきます。

 

設置して数週間後、竹筒を出入りするハチに出会いました。

竹筒を出入りするフタスジスズバチ

腹部の黄色い2本ラインが特徴のこのハチは、フタスジスズバチというハチのようです。

巣を作るのに丁度よい竹筒を選んでいるのか、しきりに筒への出入りを繰り返していました。

 

その後も周辺を飛んでいるハチがいたり、入口が枯れ草で塞がれていたりと竹筒トラップネストはハチたちで大賑わい。

トラップとはいえ、自分で作ったものをハチたちが使ってくれると嬉しいものです。

枯れ草で竹筒が塞がれている様子

これらの狩りバチは作物を食べるイモムシやバッタなどを食べるため、益虫(えきちゅう)と呼ばれることもあります。

竹筒トラップネストは簡単に作れて、庭先などでも楽しむことができますので皆さんも設置してみてはいかがでしょうか?

(竹筒を使用するドロバチ類やアナバチ類は比較的おとなしく、ほとんど人間を刺すことはありません。ただし、ハチや巣に危害を加えると攻撃してくることがありますのでご注意ください。)

 

さて、これからは夏本番。どんなハチに出会えるのでしょうか、楽しみです。(宮本)

マタタビ


この季節、道路沿いの木立にからむツルの葉っぱが白く目立つようになります。

葉っぱの半分ほどが白くなります

この植物は「猫にマタタビ」でおなじみのマタタビです。
普段は目立たないのですが、枝先の葉が白くなることで急に存在感を増します。

花の時期を過ぎて小さな実がついていました

白くなるのは、ちょうど花が咲く頃から。
葉の下に隠れている花の存在を昆虫たちに知らせる役目があるそうです。

実がつく場所にごつごつした塊がついています

マタタビの実とは形の違う塊を見つけました。
虫こぶといい、中でマタタビミタマバエの幼虫が育っています。
この虫こぶは漢方薬「木天蓼(もくてんりょう)」として重宝されます。
マタタビは猫だけでなく、人にとっても魅力的な植物なのですね。(川野)

コラボ


梅雨空が続きますが、野鳥たちは繁殖シーズン真っただ中で
忙しい毎日を送っています。
この時期の貴重な晴れ間に観察したいのが野鳥と花の組み合わせ。
自然学校の草原ではオオヨシキリとハナウドがオススメです。
なかなか期待通りの場所には現れてくれませんが、
しばらく待っているといい場所に止まってくれました。
皆さんのオススメは何ですか?(阿部)

ハナウドでさえずるオオヨシキリ

ツルかゾウか


毎年、この時期になると探してしまう花のひとつ、マイヅルテンナンショウに出会いました。
鶴が羽を広げて舞っているような佇まいから名付けられた、サトイモ科の植物です。
舌のような形に変形した葉っぱは仏炎苞(ぶつえんほう)と呼ばれ、そこから天へと伸びる花の先端が何ともクール!

私にはゾウが鼻で水浴びしてるようにも見えます

自然学校の林のそばの、ちょっと暗い所がすみかです。
周りの草の緑にまぎれて、ひっそり生育しています。
辺りをじっくり観察しながら、鶴が舞う姿を探してみてください。
どうしても「ポイントを教えて欲しい~!」という方は、スタッフまで。(指原)

翅がまだらのあの昆虫


この時期になると野原などで見かけるこの昆虫。

皆さんは何のなかまだと思いますか?

チョウ?、ガ?、あるいはハチ?

 

まだら模様の翅で、体色は黒と黄色。

ひらひらと草むらや花を飛びまわるこの昆虫の正体は、「カノコガ」という名前のガのなかまです。

 

カノコガは「チョウは昼に飛び、ガは夜に飛ぶ」というイメージを打ち破る代表的な昼行性のガです。

カノコというのは「鹿の子」のことで、翅の模様を子鹿の背中の白い斑点(鹿の子模様)に見立てたことが名前の由来となっています。

ちなみにこの白く見える斑点は半透明なので見つけた際は、ぜひ観察してみてください。

 

またハチのような体色は、擬態しているからだと言われています。

たしかに黄色の帯はハチにそっくりですね。

カノコガが擬態していると言われるドロバチの一種

 

このように身近な昆虫にも、意外と知らないことや興味深い生態がいっぱいあります。

やっぱり生きものの世界は面白いですね。(宮本)