セブン-イレブン みどりの基金 一般財団法人セブン-イレブン記念財団

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日本の国立公園
山男と可憐な花を抱く氷河の奇跡 中部山岳国立公園
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近代アルピニズムの幕開け
日本アルプスの名を世界に広めたのはイギリス人宣教師のウォルター・ウェストンでした。近代登山の父と呼ばれており、まだ登山が普及していない時代に、狩猟や信仰登山、研究などの目的ではなく、山に登ることを楽しむスポーツ登山「近代アルピニズム」を日本に開いた先駆者の一人です。日本の自然風土を愛したウェストンは彼の案内人を務めた上条嘉門次と親交を深め、杣人(そまびと=キコリ)で猟師であった嘉門次は登山案内人として名が知られることになりました。

以前は山男たちの拠点として賑わった上高地北アルプスの名が世に知られると同時に訪れる人も徐々に増え始め、より高く困難な登山を目指しそこに喜びを感じる山男たちが集まる場所となりました。なかでも槍ヶ岳は、ウェストンが「日本のマッターホルン」と称賛したほどで数々の登山者が憧れ登ってきました。

こうしてかつては情熱を持った山男たちが多く挑んだ自然環境の厳しい北アルプスの登山も、施設が整い比較的身近なものと考えられるようになりました。登山者の熟年度や年齢の幅も広がり、近年の入山者の事故は以前に比べると、滑落などの大きいものは減り捻挫などの小さいものは増える傾向にあるようです。多くの人が訪れ自然の美しさに触れるのは良いことですが、山へ入る際には天候や自らの健康状態を把握し、体力にあったコース選びをしましょう。自然の世界は美しいだけでなく厳しさもあわせもっており、時には私たちの命を奪いかねません。自然のなかに足を踏み入れるからにはそのルールを守り、楽しい旅となるよう心がけたいものです。

 

私たちを受け入れてくれる自然との共存
清掃活動はシーズン中の隔週水曜日に行われる貴重な自然を残そうと立ち入りが制限される自然がある一方で、古くから人々に開放されてきたこの地では、ゴミのポイ捨てや登山者の踏み荒らしなどの問題を抱えてきました。
昭和40年代、上高地は乗り入れた車であふれはじめ、林内に侵入する車が増えたり、渋滞の慢性化による排気ガスなどで、車道周辺の植生が脅かされていきました。これを救うために上高地では全国に先駆けて1975年(昭和50年)から「マイカー規制」を行い一般車での乗り入れを規制しています。現在、中の湯(釜トンネル)から上高地の間は、冬季通行止めの期間も合わせると、年間を通じて通行することができず、以前に比べれば自然環境は改善されつつあります。

“小梨(ズミ)”の実を食べるサル人が集まる場所には共通して浮かび上がる課題にゴミのポイ捨てがありますが、上高地では1963年(昭和38年)より地元の住民が中心となって活動する「上高地を美しくする会」が清掃活動を行い、観光客に呼びかける運動をしています。山小屋でも持ち帰り運動を行っており、以前に比べればゴミのポイ捨ては目立たなくなってきています。
また、今後心配されていることの一つにゴミの管理の問題があがっています。近年、野生動物と人との距離が近くなり、日光のサルのようにいたずらをする問題が各地で起こっています。以前より山に棲む野生生物の姿が見られるようになった上高地では、サルやクマがゴミのエサを求めて近づかないよう、集積所の管理を強化するよう呼びかけています。

 

お花畑はみんなのものゴミの問題と共に取り上げられてきた踏み荒らしは、登山道が整備されたことや関係施設の呼びかけなどによって減ってきています。その一方新たな問題として、心ない人による高山植物の盗掘が続いています。高山植物のかわいらしい姿を目にするとついそのお花畑に踏み入れて写真を撮ってしまったり、押し花にしようと摘んでしまいそうになるかもしれませんが、次の世代にも可憐な姿を見せ続けてくれるように、小さな命も大切に見守りましょう。


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