意外と身近な富士山
普段、何気なく手にする五千円札。描かれている絵柄を質問したらほとんどの人が「新渡戸稲造」と答えることでしょう。では裏面を思い出してみて下さい。…なかなか思い出せないという方も多いのでは？　答えは富士山、本栖湖からの眺めなんですって。

また、富士見台・富士見坂・富士見が丘など全国各地に富士山にまつわる地名が多いのは、かつて、その場所から富士山が見えた、あるいは人々が見たがったことに由来するそうです。

昔から日本人が富士山に特別の親しみと憧れを持っていたことが伺えますね。

静岡県と山梨県にまたがる日本一の山『富士山』。年間、富士山周辺には延べ5000万人の観光客が訪れます。入山シーズンの2ヶ月間に5合目まで登る人は約500万人、登頂者は約30万人と言われています。

そして登山者達が標高3776mの山頂に立った時に、その感動を身近な人に伝えられるようにと郵便局があり、昨年には携帯電話のアンテナまで設置されたというから驚きです。

自然の中で都会と同じ便利さを求めていませんか？
富士山をもっと身近に、且つ快適な登山を楽しんでもらおうと64年に富士スバルライン、70年には富士山スカイラインが開通 。また5合目付近と山頂には飲料水の自動販売機が設置されました。でも、便利になった反面 、ゴミや排気ガスなどの問題が生じていることも事実。現在、空き缶は指定捨場を設けており、5合目に集められる膨大な量の空き缶はトラックなどで麓へ運ばれています。しかし缶をはじめお弁当につかったアルミホイルなどの還元性のないゴミが山の至る所に放棄されており、またスカイラインなどの自動車道、富士山麓や青木ヶ原樹海にも紙おむつ、家庭からでた粗大ゴミ、果ては産業廃棄物までが不法投棄されているのです。

「富士山を世界遺産に」と申請した時、視察に来たユネスコ委員はあまりの汚さに落胆のため息をついたとか。80〜100ほどもあるボランティア団体、行政や地元の中学校・高校が、入山シーズンはもとより年間を通じてゴミ拾いや環境保護、保全にいくら力を注いでも、訪れる人々のモラルとマナーが改善されない限りゴミ拾いはイタチごっこのように続くのです。