セブン-イレブン みどりの基金 一般財団法人セブン-イレブン記念財団

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日本の国立公園
生命を育む水の大地“釧路湿原” 釧路湿原国立公園
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白銀の世界に身を包まれ周囲を見渡そうとすると、目を細めずにはいられないくらい眩しいその景観は、言葉や写真では伝えられないほど大地や空が果てしなく広がっているかのように見えます。張り詰めた空気の中で、その静寂を破るように時折響くタンチョウの鳴声や、脈々と蛇行して流れる川の姿は、より一層その景観の広大さを際立たせます。

かつて人間が不毛の地として顧みなかったこの湿原は今、水を蓄え、生命を育む大地としてその価値を新たに見出され、人間と共に生きる時を刻み始めています。

平面的な景観をもった国立公園
かつては“岬”だった宮島岬からの一望 釧路湿原は現存する日本の湿原の中でも18,290ヘクタールと最大で、日本の湿原(ワンポイント 泥炭地)の総面積の約6割を占めるといわれます。北海道東部の太平洋側に位置し、北から南までの距離は、埼玉県大宮市から東京都品川区までの距離に匹敵し、都心をすっぽり覆う広さがあります。

釧路湿原国立公園は、湖沼を含んだ湿原が公園の面積の約80%を占めるかたちで、1987年(昭和62年)国立公園に指定され、日本で最も新しく、また、湿原がメインの国立公園としては国内最初で唯一のものとなりました。

基礎データ
地図
指定日
:1987年 (昭和62年) 7月31日
面積
:28,788ha (2014年3月31日現在)
年間利用者数
:46万人(2012年度)
所在地
:北海道
掲載記事は2002年 (平成14年) 1月取材当時のものです
もくじ
アッキー博士
このワンポイントマークのついてる言葉は、ワシのワンポイント講座を見るのじゃよ。

湿原の中大きく蛇行し交差する川 釧路湿原は平坦で標高が2〜10メートルと低く、南側が海に開けている他は、周囲を低い丘陵や大地に囲まれています。北方には、湿原の水源である阿寒国立公園の山々が望め、屈斜路湖から流れる釧路川は、雪裡川(せつりがわ)や久著呂川(くちょろがわ)など、丘陵地に降った雨をたたえた無数の川と合流しながら湿原東部を流れ、太平洋に注いでいます。(阿寒国立公園の詳細はこちら)湿原は10キロの幅に対して、東にわずか数メートルしか傾いていないため、全ての川はゆっくり静かに蛇行しながら湿原を潤し養分を供給しています。

湿原ができたわけ
釧路湿原の起源は氷河時代にまで遡ります。湿原で見られる貝の化石やシラルトロ湖や塘路湖(とうろこ)、達古武湖(たっこぶこ)などの湖は湿原の起源の様子を物語っています。

釧路湿原の成り立ち
(1)約2万年前 この時期は寒冷な時期で、海が今よりも沖に後退し、釧路・根室の広大な土地が広がっていた。(2)約1万〜6000年前 気候が温暖になり、海面が上昇して、内陸に海が進入したため、現在の湿原のほぼ全域が海(内湾)だった。(3)約6000〜4000年前 徐々に海水が引き始め、海岸線に砂丘が発達して、閉じられた内湾に土砂や泥炭が堆積し、湿原ができ始めた。(4)現在 3000年前ごろに、ほぼ現在のような湿原の姿となった。

霧のベールに包まれた湿原風景 こうしてできた湿原風景を維持してきた要因には、大小の川で維持されている、冠水するほどの高い水位や、夏の低温と日照不足があげられます。春から夏にかけて「海霧」と呼ばれる霧に連日包まれるこの地域では、日照率が30%まで下がり、上昇するはずの気温も20度程度までしか上がりません。年平均気温が5.7度と非常に低い冷涼な気候が、枯れた植物の分解を抑え、湿原を形づくる泥炭層の発達を支えているのです。標高が低いにも関わらず高山植物が群生して見られるのも、これら冷涼・多湿な気候からだといえます。


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