セブン-イレブン みどりの基金 一般財団法人セブン-イレブン記念財団

※こちらはアーカイブ記事です。

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日本の国立公園
複雑で勇壮な「海のアルプス」 三陸復興国立公園
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陸中海岸の海鳥と生きものたち
猫のような鳴き声のウミネコ 公園内の無数の岩礁と人が近づけない海食崖は、海鳥たちの格好の繁殖地となっています。
ウミネコは、田老(たろう)の佐賀部(さかべ)をはじめ各地で繁殖しています。餌付けされたウミネコは、遊覧船のまわりに群れ飛び、観光客が手にしたエサのパンをくわえて飛んでいくほど慣れています。
宮古の日出島は西太平洋で唯一のクロコシジロウミツバメの繁殖地であり、国の天然記念物に指定されています。クロコシジロウミツバメは、体全体が黒く腰のあたりが白いのが特徴です。


西太平洋で唯一のクロコシジロウミツバメ 昼間は沖合いにいるオオミズナギドリ ハヤブサの幼鳥

また、オオミズナギドリは、日本のほとんどの地域に生息していますが、釜石の三貫島(さんがんじま)は、集団繁殖地として国の天然記念物に指定されています。オオミズナギドリは、昼間ははるか沖合いでエサを求め、夕方になると島に帰ってきます。
鵜ノ巣断崖の中腹にはウミウ(海鵜)の巣があります。ウミウは魚類だけを捕食し、繁殖期には断崖や岩礁の上に集まって巣を作ります。

ウグイを捕るミサゴ オオワシ ペアのオジロワシ

ハヤブサ、ミサゴなども鵜ノ巣断崖や佐賀部海岸を繁殖地として高密度に生息しています。また、冬になるとオオワシやオジロワシなどもサケを狙って飛来します。哺乳類では、ニホンカモシカ、ニホンリス、キツネなどが生息し、海にはオットセイ、アザラシ、トドなどもやってきます。


植物の南限・北限 陸中海岸
海岸林のアカマツ 陸中海岸の海岸林はアカマツを主体としています。他地域では潮風に強いクロマツが海岸に、内陸部にはアカマツのパターンが多いのですが、陸中海岸ではアカマツが生育し、景観を特徴づけています。海岸の断崖などには、ハマギク、スカシユリなどの海岸植物群落がみられ、北山崎には海岸では珍しい県指定天然記念物のシロバナシャクナゲ(ハクサンシャクナゲ)が白い花を咲かせます。


海岸の崖に多いスカシユリ 海浜植物の代表 ハマナスとハマエンドウ 海岸の岩場でよくみられるエゾネギ

もうひとつの大きな植物の特徴は、太平洋岸で暖流(黒潮)と寒流(親潮)がぶつかる影響から、南方系植物が暖流の影響で北上する北限種と、北方系植物が寒流の影響で太平洋岸を北から南下する南限種が混在して複雑で豊富な植生を作っていることです。宮古市近辺ではとくに顕著に見られ、通常の海岸植物にとどまらず、関東地方の標高700mくらいの山にあるクルマユリ・マイヅルソウ・エンレイソウなどの植物を見ることもできます。マイヅルソウは葉の形が鶴が舞っているような形を連想させるので名付けられたとされています。

宮古市の花 ハマギク 岩場特有のラセイタソウ 砂浜の植物 スナビキソウ

太平洋側では大船渡のモミが北限種とされ、山田町船越のタブノキ、大船渡のヤブツバキも南方系の北限種です。また、シロバナシャクナゲ(ハクサンシャクナゲ)は涼しい山地性の植物でありながら、海岸に生育することで希少とされています。このように、陸中海岸国立公園は、植物の分布上大変貴重な地域であるといえます。



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