セブン-イレブン みどりの基金 一般財団法人セブン-イレブン記念財団

※こちらはアーカイブ記事です。

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Let's ボランティア


日本の国立公園
光と風と水を浴びて輝く・水と森の島 屋久島国立公園
ページ|1234
「人2万、猿2万、鹿2万」

ヤクザル ヤクシカ
   
ヤクザルによる食害が問題になっている 道路には「動物注意」の標識が目を引く
   
屋久島の山岳地形や黒潮に育まれた多彩な植生は、豊かな動物相の維持に貢献しています。県道や人里近くでよく見かけられるのは、大型ほ乳類のヤクザルとヤクシカです。島には、現在約4,000〜6,000頭のヤクザル、そして約3,000〜6,000頭のヤクシカが生息しているといわれ、古くから島の人々と島の植物連鎖の頂点を分かち合ってきた野生動物です。また、本土では見られない国の天然記念物のカラスバトが生息するなど、孤島固有の鳥類も観察できます。さらに、屋久島は昆虫類の宝庫としても名高く、ヤクシマエゾゼミなどの固有種や、ヤクシマトゲオトンボ、ヤクシマオニクワガタなどの固有亜種を含む約3,000種が生息しています。その大部分は、九州本島との共通種で、かつ南限種を含み、屋久島と奄美大島の間に存在する目に見えない生物分布の境界線ワンポイント 「渡瀬線」を境に、奄美諸島の昆虫相とは鮮やかな違いを呈しています。

 

「屋久杉」以外の屋久島
巨大な切り株「ウィルソン株」屋久島=樹齢1000年を超える「屋久杉」という印象があまりにも強く、屋久島と訪れる年間14万人ともいわれる観光客のほとんどが、短期間で自然休養林であるヤクスギランドや白谷雲水峡の散策、縄文杉登山をこなして帰っていくといわれています。しかし、屋久島には「屋久杉」の他にも、様々な生命が関わりあって創り上げる緻密な生態系を構成する欠くことのできない自然が満ち溢れています。そして、その貴重な屋久島の自然を次世代に引継ぐために、環境市民ボランティアの方々が地道な活動を続けています。

 

産卵を終えて海へ帰るウミガメ島の北西に位置する永田のいなか浜は、日本有数のアカウミガメの産卵地です。ウミガメは、昭和40年代まで日本各地で甲羅や卵などが乱獲され装飾品や食糧として販売されたり、その後も漁業による混獲、ビニール等ゴミの誤食、海洋汚染、事故等様々な理由で絶滅の危機にさらされてきました。そのような中、特定非営利活動法人屋久島うみがめ館(屋久島ウミガメ研究会)は、上陸シーズン中の上陸頭数、産卵数や子ガメの孵化状況などの生態観察、並びに県内外に向けての情報発信を続けています。

 

いなか浜の清掃活動のあとまた、全国から来島するボランティアと協力して、砂浜の監視(見学者への説明・指導)、清掃、マツなど遮光林の植樹、さらにウミガメ並びにウミガメが上陸する環境の保護を広く啓発するために調査研究結果や関連資料等を展示する「屋久島うみがめ館」の運営などを行っています。

 

ヤクダネゴヨウの稚幼樹またアスファルト舗装された西部林道(車道)が世界遺産登録地を貫く島の西部では、種子島と屋久島だけに分布する、マツ科の日本固有変種であるヤクタネゴヨウが生息しています。かつて、大径で、しかも材が腐朽に強いという木材としての優れた特性が人間の目にとまり、沿岸の漁業や交通のための丸木舟の材料として大量に伐採されました。その後も、マツクイムシなどの被害により個体数を減らし、現在わずかな固体が、幹ほどもある太い根を絡ませて、急峻な断崖にしがみ付いています。

 

ヤッタネ!調査隊のボランティア活動屋久島・ヤクタネゴヨウマツ調査隊は、この絶滅危惧種であるヤクタネゴヨウの絶滅回避と保全に向けて、地元住民を中心とするボランティアとともに、毎月1回ヤクタネゴヨウの正確な位置の特定、直径・樹高・樹勢等の調査を実施しています。そして、その基礎データを基に民・官・学の力を結集して、保護・保全方法の確立、並びに法的保護の確立を含めた早急な対策を目指しています。「屋久島といえば屋久杉が有名だけど、(他にも保護するべき)ヤクタネゴヨウのような絶滅が危惧されている種もたくさんある。自然の多様性が屋久島の魅力ですよ。まずは、正確な現状を知ることが大切です。」という手塚代表の言葉が印象的でした。


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