セブン-イレブン みどりの基金 一般財団法人セブン-イレブン記念財団

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環境ボランティアリーダー海外研修

2004年(平成16年)第6回環境ボランティアリーダー海外研修レポート

海外研修レポート 感想その1


日程表 感想 その1 その2
  【1】カッペンベルク森の学校(1)
ドイツの森は日本と比べて鬱蒼とした雰囲気がある。カッペンベルク森の学校はそうした森がフィールドだった。早朝より小学校6年生の森での学習を見学した。森の学校の講師が子どもたちを先導して森の中に入っていく。今回のプログラムは地面をテーマにしたもので次の7段階で進んでいった。[1]森の約束事:まず森でしてはいけないことを確認する。講師とやりとりしながら確認していく。[2]ゲーム:子どもたちが身体を動かしてコウモリの生態について覚えるゲーム。[3]植物講義・動物観察:植物や動物をみせながら教える。[4]ボーリング:実際に地面を子どもたちとボーリングし、地層を説明する。[5]図表を広げて地層に住んでいる虫を説明。子ども達がそれぞれ自由に虫を捕りにいく。[6]集合・総括講義。[7]目隠しをして森の入り口へ。遊びと専門的な講義と組み合わせた楽しく集中できるプログラムだった。(出川さん)
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  【2】ノルトライン・ヴェストファーレン州立自然保護アカデミー(1日目午後)
カッペンベルクから車で約30分、州が運営している自然保護アカデミーに到着した。ドイツは連邦制なので州が大きな権限を持っている。環境政策に関しても同様だ。ここは州とNGOの窓口となっている。NGOへの支援のコーディネート、環境保護のための職業訓練、レンジャーの養成、2台の実験車による野外での実験や環境教育、環境保全ための啓発キャンペーン、ビオステーションの活動を行っている。ビオステーションとは州内に20カ所ほどの地域に依託・連携して自然保護や実験をしている州の環境保全拠点である。レクチャーの後、実際に、住民やNGO、子どもたちと協働で調査をする実験車両に乗り込んでみた。「ランブリコス」というミミズが描かれたカラフルなバスである。車内は実験器具の収納兼机・椅子ビデオ機材、水質調査機材が置かれている。このような専門車両が州レベルで2台もあるのはうらやましく思った。(出川さん)
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  【3】 カッペンベルク森の学校(2)
カッペンベルクの森の管理人さんの話を聞いた。若い方だが、いかにも森の番人という風貌で、それまで遊び回っていた子ども達も彼の一言で集合整列!である。さて、彼は1050haに及ぶカッペンベルクの森を1人で管理している。カッペンベルクの森は私有地である。そこで森林管理における彼のスタンスは、経済としての林業と自然保護のふたつが折り合うところを見つけて経営を行っていくことだという。経済効果としては木を切り出して材として売ることであり、自然保護としては森を好ましい状態で育てていくこと、そして森の学校のような環境教育も重要だと話す。森の維持のために動物の数の調整も大切で、狩りも制限的に行われているという。森は人間の時間とは違う長いスパンで考えなければならない。彼の口からも100年、200年という言葉が出る。そのようにじっくり森とつきあいつつ、人と森のほどよい折り合い点を探りながら、カッペンベルクの森は維持されているのである。(出川さん)
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  【4】カッペンベルク森の学校(3)
カッペンベルクの森の一角にあるかつての狩りの使用人のための建物、この趣のある建物が森の学校の事務所となっていた。ここで森の学校の組織・運営・プログラムの概要をお聞きした。ここは生物学と芸術を専攻するシュミットイデンさんによって経営されている。以前、失業者対策として職場を与えるということで行政からの補助があったが現在はなく、6年前から近隣の三市町村で構成する組合(その中には民間の団体や個人も入っている)によって支えられている。当初は年約100回のプログラムだったのが今は500回まで増えている。保育園、小学校、中学校、そして一般までさまざまなプログラムが用意されている。一日2、3の学校を受け入れることもあるということで、ほぼ毎日プログラムが動いている。まったく日本では考えられない盛況ぶりだ。地道な設立以来の経営努力と専門性と楽しさを兼ね備えたプログラムの運営がこのように実を結んでいるのだと感じた。(出川さん)
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  【5】BUND(ブント)、ラインラント・ファルツ州支部について
ブント。ドイツ最大とも言える環境NPOは、わが国でのNPO活動に慣れ親しんだ私にとっては想像も出来ない規模であった。連邦全体での会員数は2004年9月現在で39万人、2003年度の予算は13,329,872ユーロ(約18億円、1ユーロ=140円で換算)。連邦レベルの下に、16の各州に州事務局がある。ラインラント・ファルツ州の会員数は15,000人、2003年度の予算は531,200ユーロ(7,400万円)。州事務局の下には、市町村単位のグループやさらに小さな地域グループもある。
ブント、ラインラント・ファルツ州支部での主な活動は、[1]自然保護活動、[2]水の保全活動、[3]行政による大規模な自然開発事業に対する意見声明、[4]環境教育活動、[5]エクスカーション・学術活動、[6]広報活動、[7]再生可能なエネルギーの普及に関する活動、[8]電磁波の弊害に関しての活動、[9]持続可能な開発についての活動、である。
特筆すべきは[3]である。行政による大規模な自然開発事業に対しては、環境NPOは意見声明する権利が与えられており、年間1,000の意見書を作成している。実際に、事業が中止となった事例もある。ただし、すべての環境NPOがこうした権利を付与されているわけでなく、一定の条件を満たしたNPOだけが有することの出来る権利である。
こうしたシステム(連邦自然保護法第60条)が成立していること自体もすごいが、それが成立した背景には、環境NPOによるロビー活動の成果があるであろう。自らの力で、自らの権利を獲得していったわけである。
そして忘れてはならないのは、ブントにも誕生と成長の時期があったと言うことであり、その時点での規模はわが国の環境NPOとなんら違いはない。(佐藤さん)
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  【6】 BUND JUGENT(ブント ユーゲント)について
ブントはユーゲントという青年部を設けており、今回、ブント・ユーゲントのラインラント・ファルツ州支部の専従スタッフ(有償)であるマックス(19才)とニナ(19才)から、そのシステムや活動内容等について話を聞いた。
最も特筆すべきは、ユーゲント自体の存在やその位置づけである。ブントがユーゲントを設けているのは、環境保全活動において、将来的には世界を担う存在である青年による活動は非常に重要な意味を持っていると考えているからである。それゆえ、青年層への環境保全活動の普及・啓発活動を重視しているのだ。
そのユーゲントは、経営的、活動的に組織上、ブントから独立している。大人が青年たちにアプローチするよりも、青年が、想像力・創造力をもって、積極的にフットワーク良く、同世代にアプローチする方が有効だと考えるからである。同じように、子どもたちにアプローチする際にも、大人がアプローチするよりは、お兄さん・お姉さんがアプローチした方が、より有効であると考えている。
こんなNPO、わが国にはほとんどない。むしろ、「学生だから…」といって軽んじたりするような雰囲気も一部にはある。確かに組織の規模は違う。しかし、最も学ぶべきはその姿勢だろう。(佐藤さん)
日程表 感想 その1 その2



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