セブン-イレブン みどりの基金 一般財団法人セブン-イレブン記念財団

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環境ボランティアリーダー海外研修

2004年(平成16年)第6回環境ボランティアリーダー海外研修レポート

海外研修レポート 感想その2


日程表 感想 その1 その2
  【7】 ブント、マインツ市支部について
マインツ市近郊には、アルテ・ツィーゲライという空間がある。敷地面積は18ha。そこは、1971年まではレンガ工場として使用されていたが、工場が閉鎖されることになり取り壊しの案が持ち上がった。しかし、文化的な視点からしても非常に価値の高い建造物であったので、保存に向けた市民活動がおき、その区間は保存されることになり、それ以降、市民の憩いの場となっている。現在では、マインツ市が所有する工業文化遺産に指定され、シアターや環境保全団体の事務所、難民の受け入れ場所として活用されている。
ブント、マインツ市支部もアルテ・ツィーゲライに事務所を構えている。マインツ市支部では、そのアルテ・ツィーゲライ内にある伝統的な果樹園の管理(ビオトープとしての価値が高い)や、子どもたちを受け入れての環境教育を行っている。このアルテ・ツィーゲライは、一般的な環境保全センターとは異なって都市部にあるので、多くの市民が気軽にこのセンターを利用でき、その意味で、非常に重要な役割を果たしている。
その他、ブント、マインツ市支部では、企業との協力による植林事業(木の苗自体を寄付してもらう)、再生可能なエネルギーの普及に関する事業等も行っている。
ヒアリング後、アルテ・ツィーゲライ内を散策した。文化的に価値の高い建造物も興味深かったし、何より印象的だったのは、伝統的果樹園の下草として生える色とりどりの花々である。荒れ地にみえる空間もドイツでは乾燥草地ビオトープとして適切に管理されており、色とりどりの雑草がその根拠なのである。(佐藤さん)
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  【8】 環境ボランティア研修制度(F_J)
  研修担当者:ヨハン・フライ事務局長(州環境ボランティア研修制度運営事務局)
お話をしてくださったフライ事務局長は大学で環境景観について学んだ後、大学に勤め多くの学生と接してきたそうです。8年前から州の担当となり、現在は学術的研究ではなく教育的意義をもって研修制度を展開しているとのことでした。
この制度は16〜26才の青年が対象で、中学、高校を卒業した者、休学している学生、何らかの形で社会活動したい若者が参加しています。
参加者の一人が実験的に作った一年間の具体的な活動紹介をパワーポイントで見た後、制度の仕組みについてうかがうことができました。
「環境ボランティア研修制度」は1989年に2つの州で行った実験の学術的研究に基き'93年に連邦の法律で制定され、各州は1996年までに自主的に確立させなければならなかったそうです。'94年ラインランド・ファルツ州は連邦の中で最後にこの制度を確立しました。そのために他州の研究もできたので、他州にはない、自分たちの意志で共同体を結束することや自由と自主性を保つことに成功しているそうです。現在6つの環境団体でこの制度を運営しています。
この制度は環境保護団体にとって、環境保護活動に「若者が参加する」という目的のひとつを達成できること、そしてこの制度がなっかったら若者が環境保護活動に関わらなかっただろう、という言葉が印象的でした。(本間さん)
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  【9】 ドイツ自然保護連盟(NABU)
'75年からNABUに関わってきたフラウ・シュフ氏は'88年から州代表を務め、6年前から州支部のスタッフとして働き、ボランティアで代表を務めているということです。
NABUの前身は1899年に女性が野鳥保護団体として設立したもので、現在は「自然保護を通じて人々を社会的な活動の中でときめかせ、関心を引寄せることにあり、これからの世代に生物多様性、豊かな自然、自然資源を枯渇させない価値観を持たせること」を目的とし活動しているそうです。
およそ百年前から現在に及ぶこの団体の歴史、今日の組織の成り立ち、州の中での具体的活動についてパワーポイントを見ながらお話をうかがいました。州レベルの活動では、空港や道路、橋などの大型建設事業に際し計画の段階から意見などもするそうです。
会員のうち、報酬を顧みず自主的に進んで継続的に活動するのは5%ほど(といっても2万人!ですが)で残る95%の会員はお金(会費や寄付)を払うにとどまっているという現状を知り、日本と同じだなという思いを強くしました。
古い農地を買取って環境保全型農業を行なう農家に売ることや、国土が有限だからこそ今後十年間は新住宅0%拡大キャンペーンなど、もっと詳しく聞きたい大変興味深い取り組みもありました。
アンドレア・ルーカス青年部連邦代表兼州代表は法律を勉強している学生で、ボランティアとして参加しているそうです。
NAJA(NABU青年部)にはドイツ全体で8万人、この州では3300人の青年が属しているそうです。環境教育と自然体験を中心に、自然環境に関心のある人ばかりでなくそうでない若者にも関わってもらおうと、コンサートやキャンプも行っていました。子どもたちの環境に対する自主性を養わせ、青年部の存在を知らせるために大がかりなイベントにも協力しているようです。
若い人たちの興味を引くよう、パンフレットのレイアウトや色合いにこだっわっているというお話には、伝える側も楽しみつつ広報活動をしている様子が伝わってきました。(本間さん)
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  【10】 自然保護センター(NABU)
このセンターはビンゲン市のライン川沿いに位置しています。マティアス・ウーラさん(兵役義務免除のための社会奉仕活動として勤務)からこの地域の地理的特長である定期的な洪水、地下水の上昇、ライン川の中洲について、パワーポイントを見ながら説明を受けました。川の畔に生えているヤナギの話、この辺りで見ることができる野鳥の紹介もあり、初めて訪れた土地を理解するのに充分な手助けとなる興味深いものでした。
お話の後、各自双眼鏡をお借りし、ウーラさん、ザーラ・ルーマンさん(環境ボランティア研修制度を利用し2004年8月から勤務)とライン川の畔を散策しました。
昨夏の猛暑と少雨により、川底が見えるほどになったライン川に川中の毒物濃縮や運搬船の荷積みの制限など悪影響もでましたが、コチドリにとっては巣が作りやすい環境となったという良い面を聞くことができ、自然の頼もしさを再認識しました。(本間さん)
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  【11】 ファンドレージング・アカデミーについて
ファンドレージングとは、NPOの資金調達を意味する。ファンドレージング・アカデミーとは、NPOの資金調達を学術的に研究する専門の機関であり、そのノウハウをNPO関係者に提供する専門の私的な教育機関である。そんなファンドレージング・アカデミーが存在すること自体驚きであるが、さらに特筆すべきは、ファンドレージングに関する教育が事業として成立し、単年度で黒字をだしているということだ。
アカデミーでレクチャーを受けたドイツのファンドレージングの現状に関する内容も非常に興味深いが、その紹介は他の機会に譲るとして、ここでは、ファンドレージング・アカデミー自体について簡単に紹介しよう。
ファンドレージング・アカデミーは、ある有力なNPO団体がその必要性を認識し、ある学術研究機関の協力を得て、さらに、あるNPOの出資や寄付によって設立資金を集め設立した。現在、講師を務めるのは、有力なNPOのファンドレージングを担うスタッフ等、30名。一般的なコースは2年間で、その受講料は8,000ユーロ。コースは基本的には通信制で、適宜、集中的なセミナーがある。また、コンサルティング(相談)、課題と実践等もコースの中で重視されている。
ファンドレージングが学術研究対象となっていること自体、アカデミーで提供される教育のコンテンツとなっていること自体、また、それが事業として成立していること自体、ドイツのボランティア活動の先進性を証明している。しかも、ファンドレージング・アカデミーの受講者が、地域のNPOでその力を発揮し、小さなNPOもより多くの活動資金を集めつつあるということだ。
わが国が、このレベルに達するのはいつだろうか。というよりは、私にとって、是非、実現してみたい事業アイデアのひとつとなった。(佐藤さん)
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  【12】 自然環境教育連盟
ドイツ研修の最終日となった10月2日(土)は、フランクフルト郊外にある環境保護センターを訪れ、自然環境教育連盟と同センターの活動について研修しました。
午前に行われた自然環境教育連盟(ANU)の説明は、連邦代表のAnnette Dieckmannさんが行ってくれました。
自然環境教育連盟(ANU)は、ドイツにおける環境教育を地域で担っている環境センターのつながりから14年前に設立されたネットワーク団体で、国内に14の支部を持ち、環境教育の教師や専門家等で構成され、3000人の常勤スタッフがいるそうです。
環境教育は、多岐にわたりやることが多く、また、州により教育制度が異なるなど、その質的な管理に苦労されているようですが、企業の環境教育や職能教育まで手がけていることには驚かされました。(岡さん)
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  【13】 環境保護センター
午後からは、研修会場となった環境保護センターの職員であるMartina Teipelさんに同センターの建設経緯や運営についての説明を受け、センター敷地内で行われている小学生向けの代表的なプログラムコースを案内してもらい、実際に歩いてみました。
同センターの敷地内には、露天掘りで砂利を掘った窪地がゴミ捨て場になっていて、


火災等の発生を押さえるために被覆土しているところ、そのまま放置されていたために自然が回復して自然保護区に指定されたところ、現在でも露天掘りで砂利を掘っているところ、農場が営まれているところなどで構成されています。
印象的だったのは、環境保護センターになった時の自然の状態を保つように努力されていることと、砂利採取から出る利益の一部や敷地内からでる再生資源(堆肥等)の販売利益などが運営費にあてられていることでした。(岡さん)
日程表 感想 その1 その2


事務局より
今回の研修は新しくドイツを訪問しました。前半はドイツ・リューネンの森を通じて環境教育を行っている現場に行き、ドイツの環境に対する取り組みや考え方を学びました。後半はラインランド・ファルツ州マインツに移り、ドイツ全土で環境活動を展開する2大団体BUND(ブント)とNABU(ナブ)を訪問。環境団体が政策提言を行える地位を持つ、ドイツの環境を取り巻く社会には感銘を受けました。そして、その2団体に共通して独立した青年部があるということに、ドイツの自立性を重視した一貫した人材育成のシステムのすばらしさと、学生のレベルの高さを感じました。正にこれが日本の環境団体が将来、目指すところではないでしょうか。



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