けんぽなし


その奇妙な形からは想像できないおいしさという話に惹かれ、
一度は食べてみたいと子どもの頃からあこがれていた「ケンポナシ」。
大人になってやっと出会うことが出来ました。
それは沢沿いを歩いていた時のこと。
あちこちに落ちている奇妙な果実は、植物なのか、昆虫なのか、
はたまた動物のフンなのか?と一瞬迷うほどでした。

茶色い部分は枝が肥大化したもの。
果実は先端の丸い部分(タネが入っています)。

ごつごつと曲がった茶色の部分が美味だというのですが、
けして美味しそうには見えません。
恐る恐る割ってみるとみずみずしく鮮やかな緑色の中身が見えました。
果肉と言いたいところですが、この部分は枝が肥大化したものだそうで、
これもまた奇妙である一因です。

梨にそっくりのいい香りが広がります。
昔は子どもにとって山のおやつだったとか。

さてお味はというと、名前の由来のとおり梨のようなさわやかな甘み。
見た目とのギャップもあいまって驚きのおいしさでした。
子どもの頃の記憶が、大人になった今に驚きと感動を与えてくれたのは、
そこに変わらない自然があったからこそ。
現在の子どもたちにも残していきたいと切に願います。(川野)

ケンポナシは高木になる樹木です。
ナシ(バラ科)とは違うクロウメモドキ科の植物です。