野焼き進行中


「春は黒」と表現される九重。
冬枯れの景色から衣替えを行う、野焼きのシーズンを迎えました。
野焼きは枯野に火を入れる行事です。野焼きによって森林への環境変化が止まり、草原の環境を維持できます。
草資源の活用や草原をすみかとする生物や景観を守り、また地下水の涵養、害虫の駆除など、草原がもたらす恵みは様々あります。

先日、自然学校をはじめとする飯田高原内の3か所、そして日本百名山・九重山をおりなす名峰に囲まれた坊ガツル湿原で野焼きが行われました。

伝統的な火入れは「火をつける」のではなく、火種となる草の束を使い「火を引く」手法で行われてきました。今ではこのような風景もあまり見られなくなっています

どちらも開催日前に小雪に見舞われましたが、当日はパチパチと乾いた音を奏でながら、時折、ゴォーーーーー!っと勢いよく燃え上がりました。
焼け終えた黒い大地から立ち上る香りは、すこ~し甘いようで香ばしく、個人的には気持ちがいい匂いです。

防火帯へ延焼する火やくすぶった火は、はたき棒や水で鎮火
野焼き後の坊ガツル湿原。奥にそびえるのは、雪を冠した大船山

毎年、すべての野焼きが終わると、無事に終了したことへの安堵と、新しい季節のスイッチが入る感じがして胸が躍ります。
地域の皆さんといつもと変わらない春を迎えるのが楽しみであり、いつまでもそうであって欲しいと願っています。(指原)