セブン-イレブン みどりの基金 一般財団法人セブン-イレブン記念財団

※こちらはアーカイブ記事です。

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日本の国立公園
耳を澄ませば聞こえてくる生命のざわめき 知床国立公園
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国内で最も原生的な自然が残る場所
光沢のある葉が美しい「チングルマ」 面積38,633haの狭く細長い半島は、約900万年前に始まる太古の火山活動が生んだ独特な姿を呈し、海から直接山が誕生したような険しく複雑な地形を成しています。そして、海抜0メートル〜標高1,500メートルクラスの山岳地帯まで草原、渓流、森林、湿原、湖沼など、モザイク状にぎっしりとつまった多種多様な自然環境が、実にコンパクトに収まっています。海岸地域から山岳地域へと連続した植物相、動物相が見られるのは、日本では他に屋久島などに見られますが、大変希少です。狭い知床半島には、非常に多様な自然のエネルギーの循環が生まれているのです。

羅臼岳の雄姿 雪のヴェールをまとった知床連山 また、日本で最も寒いところに位置する国立公園であるという特徴から、日本各地と比較して一段と低い標高(1,000〜1,200メートル、ときに500〜700メートル)でとどまって森林限界を成しています。また、本来北アルプスの山々のような3,000m級の山でしか見られないような高山植物が、海岸地域でもみられるのが特色です。その他にも、海浜植物、森林植物、湿原植物と、さまざまなタイプの植物群落が発達しています。また、シレトコスミレなどのように知床半島にのみ分布が限られている固有種もあります。


野生の王国、知床
知床国立公園内を散策すると、さまざまな生き物の足跡や糞を発見することができます。野生の王国知床に一歩足を踏み入れたという心地よい緊張感と共生感に満たされる瞬間です。今の時期真っ白な雪原上に見られるものは、エゾシカ、キタキツネ、エゾリス、イタチの仲間(エゾクロテン、オコジョ、イイズナ)、ネズミ、鳥そして人間の足跡です。

オオワシ オジロワシ
オオセグロカモメ キタキツネ

知床の動物相の特徴としては、食物連鎖の頂点に立つ大型動物(食肉類や猛禽類)がさまざまな環境に生息していることが挙げられます。森林や草原にはエゾヒグマやエゾシカ、渓流にはシマフクロウ、海岸や沿岸海域にはオジロワシやオオワシ、そして流氷期によく見られるトドやアザラシなどの海獣類などが自然本来の姿で生息しています。このことは知床の自然がいかに原生的な状態で維持されているかを示しています。また、オジロワシ、オオワシ、クマゲラ、シマフクロウなどの鳥類は、ワンポイント 絶滅危惧種(日本版レッドリスト 環境庁 1998年(平成10年))であり、同時に文化財保護法により国のワンポイント 天然記念物にも指定されている希少種です。

エゾシカ(メス) エゾヒグマ
シマリス ゴマフアザラシとオオセグロカモメ

全てが凍りつき、山も海も動物もみんな眠ってしまったかのように見える知床ですが、恐怖感を抱くほどしんと静まり返った大自然の中で、全身の神経を研ぎ澄ませ耳を澄ませば、生命のざわめきや野生動物のかすかな気配に、思わずハッとさせられます。


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