やちぼうず


漢字で書くと「谷内坊主」。人の頭のような姿から坊主と名がつきました。
釧路湿原など寒い地域の湿地でちょっと有名な存在です。

野焼きに向けて、短くヘアーカットした姿

飯田高原では背の高いヨシなどに隠れて目立ちませんが、
冬から初夏までの間、その姿を見ることが出来ます。
一見、切株のようにも見えますが、
スゲ(草本)の株が年数を重ねて盛り上がったもので、
50㎝の高さになるには数十年かかるとか。

ハンノキの林に彼らはいます

不思議な存在感は、悠久の時を超えてきたからこそかもしれません。
大切にしたいと思います。(川野)

旅支度


ここ数日、事務所前のみいれが池にコガモが飛来しています。
時折写真左のように水中に顔を突っ込んで
逆立ちしている様子が見られますが、
これはエサを探している動作です。
冬鳥である彼らは北国に帰り始めるころ合い。
長旅に備えて体力をつけているのでしょうか?(阿部)

みいれが池のコガモ

天蚕


先日、事務所の前にあるコナラの木で黄色いまゆを発見しました。

コナラの枝にぶら下がるまゆ

このまゆを作った昆虫は「ヤママユ」という大型のガです。

ヤママユは春に卵から孵化し、幼虫はクリやコナラなどの葉を食べ成長、大きく育った幼虫は初夏の頃まゆを作り、8~9月頃に羽化します。

時期になると灯りに飛んできた立派な成虫を見かけます。

体色には黄色、黄褐色、赤褐色など変異がある。
写真は黄色味の強い個体。

そんなヤママユには「天蚕(てんさん)」という別名があります。

ヤママユが作る糸は「天蚕糸」と呼ばれ、カイコが作る絹よりも柔らかく、しなやかで高級品とされています。

長野県安曇野市では、伝統工芸として天蚕の飼育、繰糸、機織りの技術が受け継がれているそうです。

 

ヤママユは平地から山地に生息しています。

皆さんも木々が葉を落とした雑木林や公園で、天蚕が作った鮮やかなまゆを探してみてはいかがでしょうか。(宮本)

みのむし


子どもの頃、自宅の庭や軒先でみのむしをよく見つけました。
冬の寒風にさらされながらも、貼り絵のように上手に着飾ったいでたちを見ると、何とも愛しいような、ほわっと気持ちがあったかくなるような感覚があります。
最近、あまり見かけないなぁと思っていたら、自然学校の散策路沿いで見つけました。

みのむしの正体は、ミノガと呼ばれる蛾の仲間の幼虫の姿です。
寝袋のようなみのの中で、幼虫が冬眠しています。
枯葉や木の枝、草などを吐き出した糸でつなぎ合わせて、みのを作ります。
吐き出す糸の強度は高く、なんとナイロンの4倍の強さもあるそう!
頑丈なみのに包まれて、外敵から身を守っているんですね。

散策路で見かけたみのを観察してみると、草の茎を何本も繋ぎ合わせて作っていました。
ずいぶん苦労して、時間もかかったでしょう。
でもその出来はアートのように素晴らしいものです。
冬の自然さんぽでぜひ探してみてください。(指原)

気分は探偵


雪が降った次の日の朝は、生きものの足あと探しに出かけましょう。
夜から早朝にかけていろいろな動物が活動しているのを垣間見ることが出来ます。

「びっくり顔」のように見える 二ホンノウサギの足あと
ひずめのあとがくっきり ニホンジカの足あと
小さな肉球の足あとはイタチでしょうか
この足あとの主は木のところまで来て、ガサゴソしたあと、
方向を変えて立ち去ったようです。
縄張りのパトロールでしょうか。
ウサギ(赤矢印)とテン(青矢印)の足あと。
テンの足あとに気付いたウサギはいったん止まり、
見つかってはまずいと、進む方向を変えたようです。

足あとの主がここで何を考えて何をしたのか、
想像を巡らせるのも楽しいものです。
気分はまるで探偵です。(川野)