飯田高原で主に見られる季節
ニッポンヒゲナガハナバチ
ニッポンヒゲナガハナバチ(ミツバチ科)
春季にのみ現れるハナバチの仲間でオスの長い触角が特徴、なおメスの触角は長くない。体には黄褐色の毛がたくさん生えている。ドウダンツツジやくじゅう連山に咲くミヤマキリシマで花粉を集めている姿を見かけることがある。巣は地中に作る。
トラマルハナバチ
トラマルハナバチ(ミツバチ科)
全体的に黄褐色の毛に覆われたマルハナバチ。春から秋にかけて様々な花を訪れる。女王バチは土の中で越冬し、春になると営巣を開始する。土中のノネズミが作った穴を巣として利用するが、家屋の床下や壁の隙間を利用することもある。ふさふさの毛がなんとも可愛らしい。
クロマルハナバチ
クロマルハナバチ(ミツバチ科)
丸っこくて大きなマルハナバチ。働きバチや女王バチはおしりの先の毛が黄色いことが特徴。春はミヤマキリシマなどのツツジ類、夏はクサフジで花粉を集めている様子をよく見かける。似た種にコマルハナバチがいるがクロマルハナバチの方がひとまわり大きい。
キアゲハ
キアゲハ(アゲハチョウ科)
アゲハ(ナミアゲハ)と間違えられがちなチョウ。前翅の付け根が黒いか、筋が入るかで見分けることができる。黒→キアゲハ、筋入り→アゲハ。幼虫は黄緑色に黒やオレンジ色の模様が入った独特な見た目。幼虫の食草はニンジンなどのセリ科で、九重ではハナウドを食べている様子を見かける。
トゲヒゲトラカミキリ
トゲヒゲトラカミキリ(カミキリムシ科)
春から夏にかけて現れる小さめで細身のカミキリムシ。特徴がトゲなのか、ヒゲなのか、トラなのか分かりにくいが見分けるポイントは背中の模様。とはいえ、似た模様をもつカミキリムシが他に数種類いるので見つけた際は注意深く観察したい。成虫はカエデやクリなどの花に集まる。
マメゲンゴロウ
マメゲンゴロウ(ゲンゴロウ科)
自然学校の田んぼにも生息する小型のゲンゴロウ。頭部・胸部は黒色、前翅は褐色という見た目が特徴。田んぼで生きものさがしをすると、たくさん捕れたヒメゲンゴロウの中にこっそり数匹混じっている。池や水田などの水の浅い場所に棲み、主にユスリカの幼虫などを食べている。
ヒメシロチョウ
ヒメシロチョウ(シロチョウ科)
モンシロチョウよりひと回り小さく、純白で透明感のある美しい姿をしている。九重の草原を代表するチョウで、優雅にひらひら飛ぶ姿から「草原の舞姫」とも呼ばれる。幼虫は草原などに生えるツルフジバカマ(マメ科)しか食べない。近年は草原の減少などで同植物が姿を消しつつあり、ヒメシロチョウも絶滅に瀕している。
ケラ(ケラ科)
童謡にも登場する有名な昆虫。その姿は、コオロギのようだが前脚(まえあし)はモグラのような形をしており、土の中で穴を掘って生活している。田んぼでもよく見られる。意外と泳ぎは上手で、水を入れた田んぼの中を泳ぐ姿をよく見かける。翅(はね)は小さいが、外灯にも飛んで来ることもある。
ミズカマキリ(タイコウチ科)
「カマキリ」の名前が付いているが、実はカメムシの仲間。お尻の先の長い管を水面上に出して呼吸する。肉食で、他の昆虫や小魚などを前あしのカマで捕まえ、針状の口から消化液を出し、肉を溶かしながら食べる。体は細く、ジッとしていると枯葉や枯れ枝のように見える。農薬などには比較的強い。飛んで水辺を渡り歩くので、プールで一緒に泳いだという経験がある方もいるのでは。
コオイムシ(コオイムシ科)
子負虫。メスがオスの背中に卵を産み付け、その背負っている様が名の由来。卵が孵化するまでの間、オスは飛べずに水面近くで卵を空気にさらしたり、水に浸けたりしながら、おしりを水中から外へ出して呼吸し生活する。水生昆虫界のイクメン。
ヒメオサムシ(オサムシ科)
飛べない昆虫。長い脚で地面を素早く動き回る。体全体が黒っぽいその姿は、ゴキブリを彷彿とさせる。オサムシの仲間は飛べない性質のため、大きな川や山があるだけでそれぞれ独自の進化を遂げている。一見、同じように見えても、別の種類であることが多い。
ヒメゲンゴロウ(ゲンゴロウ科)
田んぼや大きな水たまりでも見られるゲンゴロウの仲間。1cmほどの大きさで、ボートのオールのような後ろ足を使って水の中を素早く上手に泳ぐ。肉食で、死んだ魚などを食べる。ゲンゴロウの仲間は、背面(ハネがある方)、腹面(脚がある方)ともに膨らんでおり、横から見ると流線型をしている。
ナナホシテントウ(テントウムシ科)
最も有名な昆虫の一つ。植物の天敵であるアブラムシを捕食するため、益虫としても有名。その食べる姿はかなり激しく、華やかな外見からは想像できないすごさである。この種の仲間の中には成虫のまま集団で越冬するものもいるため、家の中で見つけて驚いた人も多いのでは。
ハラアカコブカミキリ(カミキリムシ科)
背中に毛の生えたコブを2つ持つカミキリムシ。クヌギの木につくため、シイタケの産地でホダ木(原木)にクヌギの木を使っている九重では一般的に見られる。背中に毛が生えたコブを持つようなカミキリは大変珍しい。
イネクビボソハムシ(ハムシ科)
稲の害虫として有名な昆虫だが、カエルのエサにもなる立派な田んぼの構成員の一人。「イネドロオイムシ」の異名の通り、幼虫は泥に身を包んでいるように見えるが、実は泥ではなくフン。成虫の体長は4mmほどしかなく、成虫も幼虫も稲の葉を削るように食べる。薄い稲の葉を“削る”のは正に芸術。
ヤマトシリアゲ(シリアゲムシ科)
サソリのようにお尻を持ち上げる姿が印象的な昆虫。サソリのようだが、毒は持っていない。大昔から形が変わっておらず、今と変わらない姿で化石でも発見されている。成虫は昆虫の死骸や果実などを食べる。交尾をする際、オスがメスにプレゼントをするロマンチックな習性を持つ。
ミヤマカラスアゲハ(アゲハチョウ科)
緑色や青色の光沢があるとても綺麗な翅(はね)を持つアゲハチョウの仲間。北海道など寒い地方で多く見られ、温暖な九州では少なく、比較的冷涼な飯田高原でも目にするのは珍しい。近似種のカラスアゲハと混同しがちだが、翅の裏面の模様などで判別できる。とても綺麗な翅を持っているため、姿を見かけると、見入ってしまうことも。
ベニシジミ(シジミチョウ科)
道端や空き地などどこででも見られる、オレンジ色の翅(はね)が綺麗なシジミチョウ。幼虫はスイバやギシギシなどのタデ科植物を食べる。シジミチョウの仲間は幼虫の間、アリと共生関係にあり、外敵などからアリに守ってもらうものが多いが、本種はアリと共生関係にない硬派(?)なチョウ。
ツバメシジミ(シジミチョウ科)
「ツバメ」の名の通り、後ろの翅(はね)にツバメのような突起がある。似たチョウもいるが、翅(はね)の裏のツバメのような突起の根本にオレンジ色の模様があるのが特徴。幼虫はシロツメクサなどのマメ科植物を食べて成長する。
ヒメジャノメ(タテハチョウ科)
地味な色なため、ガのようにも見えるチョウの仲間。ハネには名前の通り、「蛇の目」模様が目立つ。ピョンピョンと飛び跳ねるように飛ぶ。幼虫はススキやササなどの植物の葉を食べる。
クロオオアリ(アリ科)
一言にアリといっても、国内には200を超える種類がいる。本種はその中でも最大級の大きさ。飯田高原では、毎年5月の田植え時期に女王アリが結婚飛行し(※)、1.5cmほどもある巨大な女王が地面を歩いている姿を目撃する。 (※)結婚飛行:新たに生まれた女王アリ(翅アリ)と雄アリが交尾のために、一斉に巣から飛び立つこと。
シマゲンゴロウ
シマゲンゴロウ(ゲンゴロウ科)
ため池や水田を生息地とする黄色のしま模様が特徴的なゲンゴロウ。体長は12.5~14mmとヒメゲンゴロウよりひと回り大きい。生息環境の変化によって全国的に減少している。
コシマゲンゴロウ
コシマゲンゴロウ(ゲンゴロウ科)
前翅の黒色と黄褐色のしま模様が特徴のゲンゴロウで、大きさはヒメゲンゴロウと同じくらい。池や沼、水田などに生息する。自然学校の田んぼでも見かけることが多々ある。光に集まる習性があるため、夏の夜に灯火調査をするとどこからか飛んで来る。
オオセンチコガネ
オオセンチコガネ(センチコガネ科)
糞虫(フンチュウ)の一種で、動物のフンを食べる分解者。似た種にセンチコガネがいるが、頭の先端の形で見分けられる。体色には様々なバリエーションがあり、自然学校周辺では赤緑系の個体をよく見かける。夏の晴れた日に草原を歩くと、エサを探し飛んでいる姿を見られるかも。
コアシナガバチ
コアシナガバチ(スズメバチ科)
小型のアシナガバチで、民家の近くや草むらなど色々なところに巣を作る。巣には反り返ったものが多いという特徴がある。成虫にはアオムシを狩り、団子状にして幼虫に与える習性がある。そのため、畑で見かけることがある。刺激を与えると刺してくるので要注意。
ゴマダラカミキリ
ゴマダラカミキリ(カミキリムシ科)
黒色に白色の斑点模様が特徴のカミキリムシ、触覚や脚は青みがかっている。カミキリムシと聞くと、このゴマダラカミキリを思い浮かべる人も多いのではないだろうか。アゴの力は木の皮を砕いてしまうほどに強力。捕まえると頭と胸の間を伸び縮みさせて、ギィギィと音を出す。
ヒグラシ
ヒグラシ(セミ科)
山地の薄暗い林の中に多く、早朝や夕方によく鳴く。その特徴からか鳴き声は耳にしても、見かける機会はあまりない。夕暮れ時の「カナカナカナカナ...」という鳴き声は、どこか哀愁を感じさせる。飯田高原では「ヒグラシが鳴きだすと梅雨が明ける」と言われている。
クロヒカゲ
クロヒカゲ(タテハチョウ科)
黒褐色の翅に蛇の目模様をもつタテハチョウの仲間。雑木林や林縁で見られ、クヌギの樹液に集まっている様子を見かける。薄暗い場所が好きなようで、日なたではあまり見かけない。幼虫はアズマネザサやクマザサなどを食草とする。
キマダラモドキ
キマダラモドキ(タテハチョウ科)
蛇の目と美しい網目模様の翅をもつ。火山性草原や採草地など、木がまばらに生える疎林(そりん)環境が好みで、幼虫はススキやヒカゲスゲなどのイネ科、カヤツリグサ科の植物を食べる。クヌギなどの樹液や野生動物のふん、腐った果実に集まる。
オオウラギンスジヒョウモン
オオウラギンスジヒョウモン(タテハチョウ科)
森林や草原で見られるヒョウモンチョウの仲間。ウラギンヒョウモンなどとアザミの花で吸蜜する姿を見かけるが、翅の表面ですぐ区別するのは難しい。後翅の裏面にある1本の白い帯と、紫褐色の帯が特徴なので、翅を閉じたときに観察すると分かりやすい。
ミドリシジミ
ミドリシジミ(シジミチョウ科)
エメラルドグリーンに輝く前翅が特徴的なシジミチョウの一種。幼虫は水辺や湿地に生えるハンノキ(カバノキ科)の葉を食べ、樹上やその周辺で暮らす。年1回、7月頃に成虫になり繁殖するが、オスは縄ばりに入ってきたライバルに対して、円を描くように上昇下降しながら追尾する。卍巴(まんじともえ)飛翔と呼ばれる。
オトシブミ
オトシブミ(オトシブミ科)
ナミオトシブミとも呼ばれ、前翅の赤色が特徴。初夏になるとクリやクヌギ、ハンノキの葉の上でよく出会う。成虫が作る木の葉を巻いたゆりかご(揺籃)が落ちている様子を、「落とし文」に例えたことが名前の由来と言われている。彼らを見つけるときは、木の下に落ちているゆりかごを探すのがポイント。
クロコノマチョウ
クロコノマチョウ(タテハチョウ科)
雑木林などの薄暗い林床でよく出会う。羽が茶色で枯葉に似ているので、地上にとまると見つけるのが難しい。幼虫はススキやヨシなどを食草とする。1度、畑で育てているトウモロコシの葉の上で発見した。幼虫の頭には黒い一対の突起があり、ウサギの耳のようで可愛らしい。
オニヤンマ(オニヤンマ科)
日本最大のトンボとして有名。和名の由来は成虫の恐ろしい顔つきと黒と黄色の体色が鬼のふんどしを連想させるためについた。九重町では比較的よく見ることが出来るトンボ。
コオニヤンマ(サナエトンボ科)
名前の通りオニヤンマに似ていて、一回り小さい。名前も体の模様もそっくりだが、両種はあまり近い仲間ではない。両目が頭の上でくっ付いているか離れているかなどで見分けることができる。幼虫(ヤゴ)は川の水草が茂るところにすんでおり、生きているのか不思議になるくらい真っ平らな体をしている。
トノサマバッタ(バッタ科)
言わずと知れたバッタの王様。標高800m前後の飯田高原ではあまり見ることはできないが、運よく見つけることができた。この個体は緑色だが、場所によっては褐色になることもあり、生息している状況のよって体色を変化させている。このバッタを捕まえるために野原を駆け回った大人も多いのではないだろうか。
アカスジカメムシ(カメムシ科)
赤と黒のストライプが鮮やかなカメムシ。セリ科植物の実や茎から汁を吸う。飯田高原でもシシウドなどの花や実でよく見られる。
ニイニイゼミ(セミ科)
梅雨が終わりかける頃から成虫になるセミ。一般的に、夏に鳴くセミの仲間では一番早く目に耳にすることができる。幼虫は土の中で植物の根などから汁を吸って生活する。幼虫の期間は長く、本種は4〜5年と言われている。「セミは短命」と言われがちだが、1サイクル(成虫→卵→幼虫→成虫)で考えると、意外と長寿な昆虫。
アブラゼミ(セミ科)
誰もが一度は捕ったことがあるセミではないだろうか。まさに夏を代表するセミ。鳴き声は「ジーーー」と長く鳴く印象があるが、複雑に鳴くこともある。「セミの命は一週間」と言われることがあるが、実際は2〜3週間ほど生きているらしい。生態はまだよく分かっていないことが多い。
ヘビトンボ(ヘビトンボ科)
気性が荒く、捕まえようとすると大あごで噛み付いてくる。幼虫はきれいな川にしか生息できないため、この虫がいるということは、きれいな川が近くにある証拠。九重町では比較的よく見ることが出来る。
コガタノゲンゴロウ(ゲンゴロウ科)
知名度が非常に高い昆虫の一つ。名前の由来は、ゲンゴロウにそっくりで一回り小さいため“コガタノゲンゴロウ”とそのまま。ゲンゴロウよりも低地を好むため農薬などの被害を受けやすく、一時は激減したと言われている。近年少しずつではあるが全国的に増えているようで、飯田高原でも時折見かけることがある。
ミヤマクワガタ(クワガタムシ科)
子どもから大人まで大人気の昆虫。大きくなればなるほど、大クワが立派になり小型のものと比べると、まるで別の虫かと思ってしまうこともある。クヌギの樹液が好物で夜集まってくるため、昼間のうちに虫が集まりそうな樹を見つけておき、夜採りに行くのがよい。
ガムシ(ガムシ科)
3〜4cmほどの大型の水生昆虫で、ゲンゴロウに間違われることが多い。背面(ハネがある方)は膨らんでいるが、腹面(脚がある方)が平らで、体の中心に長い針のような長い突起がある。泳ぎは下手で、何かにつかまっていないと落ち着きがない。基本的に草食で水草を食べ、与えればキュウリなども食べる。
ゲンジボタル(ホタル科)
夏の風物詩として知らない人はいないほど有名。“湧水のようなきれいな水でないと見られない”と思われがちだが、幼虫のエサとなる巻貝(カワニナなど)がすめる、ある程度の汚れ(有機物)がある河川でなければ見られない。また本種は、強さの強弱はあるが卵、幼虫、サナギ、成虫すべてが光る。
ウラギンヒョウモン(タテハチョウ科)
草原に生息する代表的なチョウ。飛ぶスピードは速く、アザミ類やオカトラノオなどの花によく訪れる。全国的に見ると数が少なくなっている地域もあるが、飯田高原ではよく目にする。卵や産まれたばかりの幼虫で寒い冬を越し、春になるとスミレ類の葉を食べて成長する。
コミスジ(タテハチョウ科)
黒っぽい地色に白い3本の筋が入っているチョウ。羽ばたきと滑空をくり返すように飛び、止まる時はハネを開いていることが多い。幼虫はフジやクズの葉を食べる。
ルリモンハナバチ(ミツバチ科)
滅多に出会えないことと模様の綺麗さから、阿蘇地方では「幸せの青い蜂」と呼ばれている。飯田高原では数年に一度、夏から秋の草原で目にすることがある。見つけた時はきっと「幸せ」になれるはず。人を襲って刺すことは、まずない。
ウスタビガ
ウスタビガ(ヤママユガ科)
大型のガでメスは黄色みが強く、オスは暗い色合いの個体が多い。4つの翅にはそれぞれ半透明の紋がある。卵で越冬し、春に孵化、幼虫はクヌギやサクラなどの葉を食べて成長し、秋に成虫となる。まゆは黄緑色で独特の形をしており、「ヤマカマス」と呼ばれる。
ヒメヤママユ
ヒメヤママユ(ヤママユガ科)
ヤママユガ科に属する大型のガ。飯田高原では、晩秋の10月~11月にかけて見られる。写真では隠れているが、4枚の羽ひとつずつに眼状紋(目玉模様)をもつ。幼虫はクリやクヌギ、サクラ、ナシなど様々な樹木の葉を食べる。成虫は口が退化しており、エサは食べない。
ミヤマアカネ(トンボ科)
飯田高原ではよく見かけるが、全国的に数が減っている赤トンボの仲間。ハネの模様が特徴的で、同じ模様の赤トンボは日本にはいない。幼虫(ヤゴ)は田んぼの脇の水路など流れのある水中で見られ、田んぼなどの止水域で生活する赤トンボの仲間の中では珍しい。
アキアカネ(トンボ科)
「赤トンボ」としてよく知られているトンボ。田んぼなど水辺の多様な環境に生息し、どこでも見られる。低地で羽化(うか)した成虫は、真夏に高地で避暑をする。秋になると、また田んぼなどに戻ってくる。見た目がそっくりな「ナツアカネ」というトンボもいるが、胸の模様で見分けることができる。
コバネイナゴ(バッタ科)
飯田高原では、どこでも見られるバッタの仲間。ハネが短く、おなかの方が長いため、バッタの幼虫のような体つきをしている。飯田高原では、稀におなかよりもハネが長いものも見かける。土中に産み付けられた卵で冬を乗り切る。
カンタン(マツムシ科)
秋に成虫になる鳴く虫で、コオロギの仲間。本種は「ルルルルル・・・」と小さな声で鳴き、「鳴く虫の女王」と言われるが、鳴くのはオスだけ。鳴き声に人気がある理由は、鳴く時の音が人間に聞こえやすい音をしているためと言われている。
オオカマキリ(カマキリ科)
日本のカマキリの中で最も大きくなるカマキリ。外見がそっくりなチョウセンカマキリもいるが、後翅(こうし:翅を開くと出てくる後ろの翅)の色などで見分けることができる。動いているものには何でもエサと認識する習性がある。捕まえようとして胸部をつまむと同時に、思わぬ角度から前脚(まえあし)の鎌で引っかかれた人は多いはず。
センチコガネ(センチコガネ科)
主に動物のフンを食べる自然界のお掃除屋さん。金属光沢があり、綺麗な色をしている。草原など開けた場所でも見られるが、林の中の方がよく見かける。九重町では、くすんだ赤〜紫色のものが多い。動物のフンを見かけたら、ひっくり返してみると出会えるかも。
ウラナミシジミ(シジミチョウ科)
秋に豆畑やクズが繁茂する荒地でよく見られるシジミチョウ。毎年温暖な南方から北上しては霜が下りる頃には死滅するといった生活を繰り返している。飯田高原では、見られる年と見られない年がある。幼虫は、インゲンなどマメ科植物の蕾や若い実を食べるため、害虫としても有名。
アサギマダラ(タテハチョウ科)
「旅をするチョウ」として有名。北は北海道から南は台湾までを移動しており、春に北上、秋に南下する。山麓の林などで見られ、白っぽい花を好む。この習性から、本種の近くで白いタオルの端を持ってぐるぐる振り回すと寄ってくるらしい。
ホソミオツネントンボ(アオイトトンボ科)
名前の通り成虫で越年(越冬)するアオイトトンボの仲間。(越冬している)冬の間は枯草にそっくりな褐色の体色だが、春になると鮮やかなブルーに変わる。九重でも田んぼなどの水辺で観察できる。