飯田高原で主に見られる季節
通年
アオサギ
アオサギ(サギ科)
全長は1m近く、日本で見られるサギの中で最も大きい。アオサギと名がついているが、体色はむしろ灰色と言ったほうが正しいような色彩である。河川、湖沼、湿地、水田等に住み、魚類を主食としながらも両生類、爬虫類、小型哺乳類なども捕食する。留鳥。雌雄同色。
キジ(キジ科)
桃太郎でおなじみの日本の国鳥。オスは美しい羽を持つ(写真はオス)が、メスは地味。人里近くに生息し、九重町では目にする機会も多い。地上で草の種子や芽、昆虫等をとり、危険を感じると、飛ぶよりもむしろ走って逃げることが多い。留鳥。
カルガモ(カモ科)
体長約60cmの大型のカモ。日本で見られるカモの仲間の多くが「冬鳥」、「オスがメスよりも派手」の2つの条件に該当する中、留鳥であり、雌雄同色であるという我が道をゆくカモである。漢字では夏留鴨と書くこともあり、特徴をよく捉えていると言えよう。皇居のお堀に引っ越しする親子が有名?
カイツブリ(カイツブリ科)
日本で見られるカイツブリ類中最小で、ムクドリぐらいの大きさ。水草の茎や杭などに水に浮いているように見える巣を作る。足が尻のあたりから生えており、歩くには非常にバランスが悪いが、主に水上で生活し、ほとんど歩くことはない。潜水し、魚類などを捕食する。ヒナは孵化後すぐに泳ぐことができるが、小さいうちはよく親鳥の背に乗っている。留鳥。雌雄同色。
キジバト
キジバト(ハト科)
ヤマバトとも呼ばれる。繁殖期が長く、春から夏にかけての繁殖が多いものの、3月や11月に繁殖する場合もある。ヒナにはピジョンミルクというそのう(エサをためて徐々に消化する器官)の内壁がはがれたものをエサとして与える。留鳥。雌雄同色。
カワウ(ウ科)
名前の通り川に生息する鵜。1970年代には全国で3,000羽以下まで減少したが、近年は個体数の増加が著しく、全国で15万羽以上と推測され、漁業への食害が各地で問題化している。公害規制による河川の水質改善で、餌となる魚が増えたことなどが増加の理由として考えられる。飯田高原では標高の関係か、姿を見ることはまれ。繁殖期には写真のように頭部が白くなる。留鳥。雌雄同色。
ゴイサギ(サギ科)
ずんぐりとしたサギの仲間。カラスぐらいの大きさ。留鳥。雌雄同色。写真は若鳥で、その斑点模様を星に見立て、「ホシゴイ」とも言われる。成鳥になると、体は灰色、頭と背は緑黒色になる。基本的には夜行性で、英名を「night heron(夜サギ)」というが、フクロウのような完全夜行性ではなく、日中に活動することもある。
アオサギ
アオサギ(サギ科)
全長は1m近く、日本で見られるサギの中で最も大きい。アオサギと名がついているが、体色はむしろ灰色と言ったほうが正しいような色彩である。河川、湖沼、湿地、水田等に住み、魚類を主食としながらも両生類、爬虫類、小型哺乳類なども捕食する。留鳥。雌雄同色。
ダイサギ(サギ科)
俗に日本で見られるシラサギと呼ばれる白いサギの中で最も大きく、体長は1m近い。シラサギと呼ばれるサギには他に「コサギ」、「チュウサギ」がいる。留鳥。雌雄同色。水辺に生息し、魚やカエル等をとる。飛翔時は首を曲げる。
バン
バン(クイナ科)
水辺で暮らし、泳ぐことも多いが、足に水かきはない。水面の近くにヨシなどを集めて皿形の巣を作り、九重自然教室「さとばる」の池で繁殖が確認できる年もある。雑食性で、水生昆虫、貝類、甲殻類、オタマジャクシ、植物の種子など、さまざまなものを食べる。ハトぐらいの大きさ。雌雄同色。
イソシギ
イソシギ(シギ科)
ムクドリぐらいの大きさ。イソ(磯)シギという名前から、海の鳥というイメージをしがちだが、河川、湖沼などにも生息するため、内陸の九重町でも観察できる。他のシギ類の多くが日本では渡りの途中にしか見られない旅鳥である中で、本種は季節を問わず見られる留鳥であるため、観察できる機会は比較的多い。雌雄同色。
ミサゴ
ミサゴ(ミサゴ科)
カラスより一回り大きい魚食性のタカ。「魚鷹(うおたか)」の異名を持ち、河川や湖沼などの水辺で見られる。名の由来としては、「水を探る」が転じたという説や、水中の獲物をとる際の「ビシャ」という水音が転じたという説などがある。白と黒のコントラストが美しい。留鳥。
トビ(タカ科)
カラスより大きい大型のタカ。日本のタカ類の中で、尾羽の中央が凹んでいるのはトビだけであるため、容易に識別できる。上昇気流に乗って輪を描いて飛ぶさまや、「ピーヒョロロ」という鳴き声はお馴染みで、日本で最も身近な猛禽類と言えるだろう。留鳥。雌雄同色。
ノスリ
ノスリ(タカ科)
カラスぐらいの大きさのタカ。留鳥。獲物は小型哺乳類、両生類、爬虫類、昆虫等、多岐にわたる。農耕地などにも生息し、トビに次いでよく見かけるタカ。止まっているとずんぐりと丸っこい印象を受ける。
フクロウ(フクロウ科)
留鳥。雌雄同色。カラスぐらいの大きさ。夜行性の鳥の代表格。営巣できる洞のある大木と主食となるネズミがそろったところであれば、人里近くでもひっそりと暮らしている。写真は巣立ったばかりのヒナ。(超望遠撮影)
カワセミ
カワセミ(カワセミ科)
留鳥。雌雄ほぼ同色だが、オスは嘴の全体が黒い一方、メスは嘴の下側が赤く、この点で識別できる(写真はメス)。日本で見られるカワセミ類中最小で、スズメより一回り大きい程度。水面上に張り出した枝などに止まり、水中の魚を狙ってダイビングする。非常に美しい姿で、「川の宝石」の異名を持つ人気者。
ヤマセミ(カワセミ科)
日本で見られるカワセミ類中最大で、ハトよりも大きい。留鳥。白黒の鹿の子模様が美しい。オスはあごと胸の部分に褐色が混じる一方、メスはこれらの部位には褐色が混じらず、翼の裏側に褐色部がある(写真はオス)。水面に張り出した枝などからダイビングして魚などを捕るが、カワセミの倍以上の体格のため、その狩りは豪快そのもの。山間部の清流が良く似合う。
コゲラ(キツツキ科)
スズメぐらいの大きさの小型のキツツキ。留鳥。オスは後頭の両側がわずかに赤いが、野外ではこの赤はほとんど見えず、雌雄の色彩の違いはないに等しい。ちょっとした緑地があれば、住宅地でも見られる。近所の公園にキツツキが住んでいるとなるとちょっとうれしい?
オオアカゲラ(キツツキ科)
ハトぐらいの大きさのキツツキ。留鳥。オスは頭頂部が赤いが、メスは黒い。山地の林に住み、枯れ木に穴を掘って営巣することが多いが、まれに木の電柱に営巣することもある。また、掘った巣穴が翌年は別の鳥に利用されることもある。主食は昆虫類。
アオゲラ
アオゲラ(キツツキ科)
ハトぐらいの大きさのキツツキ。留鳥。頭頂部の赤色がオスのほうが大きいことを除けば、ほぼ雌雄同色。繁殖期には「ピョーピョーピョー」と口笛のような声で鳴く。アリなどの昆虫を食べることが多いが、木の実や果実も食べる。世界中で本州以南の日本にしか生息していない日本固有種。
サンショウクイ
サンショウクイ(サンショウクイ科)
日本には亜種サンショウクイと亜種リュウキュウサンショウクイの2亜種が分布し、亜種サンショウクイが夏鳥であるのに対し、亜種リュウキュウサンショウクイ(写真)は留鳥である。近年、亜種サンショウクイの生息数が減っていると言われる一方、亜種リュウキュウサンショウクイは分布域を拡大しており、四国や紀伊半島でも確認されるようになった。ムクドリぐらいの大きさ。雌雄同色。
モズ(モズ科)
スズメより一回り大きい。留鳥。漢字で「百舌(もず)」と書き、文字通りいろいろな鳥の声をまねる。捕らえた昆虫などの獲物を小枝やとげにさす習性があり、これを「モズのはやにえ」という。
カケス(カラス科)
ハトぐらいの大きさ。カラスの仲間だが、色合いは見ての通りなかなか美しい。留鳥。雌雄同色。雑食性だが、特にドングリを好み、地面に埋め込んで蓄える習性がある。しかし、それらを全て後から食べるかと言うとそうでもなく、忘れ去られるものもしばしばあるようだ。忘れられたドングリはそのまま発芽し、林が広がっていく。
ハシボソガラス
ハシボソガラス(カラス科)
よく見かけるカラスの1種。主に農耕地や河川敷などに分布し、都市部ではあまり見かけない。知能が高く、クルミなどの堅果を車にひかせて割り、中身を食べる個体もいる。「ガーガー」と濁った声で鳴く。留鳥。雌雄同色。
ハシブトガラス
ハシブトガラス(カラス科)
ハシボソガラスと並んでよく見かけるカラス。ハシボソガラスに比べて嘴が太く、額が盛り上がっているのが特徴。本来は森林に生息するカラスだったが、都市部に進出し、個体数を増やした。「カーカー」と澄んだ声で鳴く。留鳥。雌雄同色。
コガラ(シジュウカラ科)
スズメよりひと回り小さい。留鳥。雌雄同色。カラ類(シジュウカラ、ヒガラ、コガラ)を見分けるポイントは、胸の黒い模様。シジュウカラの模様が「ネクタイ」、ヒガラの模様が「よだれかけ」と表されるのに対し、コガラの模様は「蝶ネクタイ」と言われる。また、ベレー帽をかぶっているという表現もされるおしゃれな鳥。
ヤマガラ(シジュウカラ科)
スズメぐらいの大きさ。留鳥。雌雄同色。シジュウカラよりゆったりとした声でさえずり、「ニーニー」という濁った鼻声も出す。秋から冬にかけて、木の実を越冬中のエサとして土中や樹皮のすき間に貯蔵する習性がある。木の実を両足で挟んでついばむ様子はなんともかわいらしい。
ヒガラ(シジュウカラ科)
スズメより一回り小さく、カラの仲間の中で最も小さい。留鳥。雌雄同色。シジュウカラの胸の黒い模様がネクタイをしているように見えるのに対し、ヒガラの胸の黒い模様はよだれかけをしているように見える。
シジュウカラ(シジュウカラ科)
スズメぐらいの大きさ。留鳥。雌雄同色。ネクタイのように見える胸の黒い帯模様が特徴。メスはオスに比べてこの帯模様が細い。樹洞に営巣し、巣箱もよく利用する。注意深く探していれば住宅地でも見つけられる。
ヒバリ
ヒバリ(ヒバリ科)
スズメより一回り大きい。留鳥。雌雄同色。近年は世界的に減少傾向にあり、日本でも例外ではない。理由としては、土地の開発や農業の衰退などによって、主な生息環境である丈の低い草地が減少したことが考えられる。九重町では野焼きなどによってヒバリが好む草原環境が保全されており、今も多くのヒバリが観察できる。
イワツバメ(ツバメ科)
ツバメより一回り小さく、スズメと同じくらいの大きさ。腰が白いのが特徴。雌雄同色。山地や海岸の崖などに集団で営巣するが、近年は橋桁などへの営巣も目立つ。前年の古巣が残っていれば、それを利用し、1シーズンに2回繁殖できることもある。
ヒヨドリ(ヒヨドリ科)
ちょっとした街路樹などがあれば、都市部でも見られる身近な野鳥の一つ。「ヒーヨ、ヒーヨ」と騒がしい声で鳴く。全国的に留鳥であるが、秋には国内の暖地に移動する個体も多く、国内を渡る群れが見られることがある。果実や花の蜜を好んで食べる。雌雄同色。
ウグイス(ウグイス科)
スズメぐらいの大きさ。「ホーホケキョ」というさえずりはあまりにも有名。一方、開けた環境にはあまり出てこないため、姿を見ることは意外に少ない。冬にはその美声が聞こえない為、夏鳥だと勘違いする人もいるが、1年中日本で暮らす留鳥である(「ホーホケキョ」はオスが繁殖期にのみ発声するさえずり)。日本三鳴鳥の一つ。雌雄同色。
エナガ
エナガ(エナガ科)
体長はスズメぐらいだが、その体長の約半分を尾羽が占めており、尾羽を除いた体はスズメよりずいぶん小さい。長い尾羽を柄杓の柄に例え、「柄が長い」→「エナガ」と名がついた。自慢の尾羽とピンポン玉のような小さな体が愛らしい。留鳥、雌雄同色。
メジロ
メジロ(メジロ科)
大分県の県鳥。目の周りの白い模様から、目白(メジロ)と名がついているわかりやすい鳥。スズメより一回り小さい。留鳥。雌雄同色。雑食であるが、花の蜜や果汁を好む甘党。古くからウグイスと共に、春を告げる身近な鳥として親しまれたためか、ウグイスと混同されがち。ウグイス色といえば、メジロの色?
ゴジュウカラ
ゴジュウカラ(ゴジュウカラ科)
シジュウカラの親戚のような名前だが、実はシジュウカラ科の鳥ではない。頭を下に向けて木の幹に縦に止まり、そのままの体勢で幹を下りることができる日本で唯一の鳥である。樹洞やキツツキの古巣などに営巣し、入り口が大きい場合は泥などで固めて小さくする。スズメぐらいの大きさ。留鳥。雌雄同色。
ミソサザイ(ミソサザイ科)
ミソサザエではなくミソサザイ。スズメより小さく、日本で見られる鳥の中では最小クラスのものの一つ。しかし体に反して鳴き声は大きく、さえずりはかなり遠くまで響き渡る。沢沿いの登山道などで見かけることが多い。留鳥。雌雄同色。
ムクドリ(ムクドリ科)
留鳥。雌はオスに比べて全体的に淡色。昆虫類や木の実などを食べる。市街地や農耕地に多く、群れで行動するものが多い。特に夕方はねぐらに入る前の群れが電線等に集まっているのを良く見かける。
カワガラス(カワガラス科)
ムクドリぐらいの大きさ。留鳥。雌雄同色。カラスと名がついているが、カラスの仲間ではない。渓流や湖畔にすみ、水にもぐって水生昆虫等をとり、岩のくぼみや滝の裏などに巣を作る。九重町内の河川で見られる。
トラツグミ(ヒタキ科)
ハトぐらいの大きさ。夜間に「ヒー、ヒョー」といった物悲しい声でさえずり、その正体に見当がつかなかった場合は、何とも不気味である(知っていればむしろしみじみと聞いてしまうのだが・・・)。古来その声は「ぬえ」のものであるとされてきた。留鳥。雌雄同色。
スズメ(スズメ科)
ご存知スズメ。留鳥。雌雄同色。どこにでもいるように思われるが、人家のない環境にはいない。逆に言えば、スズメがいるということは近くに人家があるということなので、山で遭難してもスズメを見つければ助かる。
キセキレイ(セキレイ科)
スマートな清流の貴婦人。スズメと同じぐらいの大きさだが、尾が長い。留鳥(日本で1年中見られる)。雌雄同色。チチンチチンと金属的な声で鳴く。九重町内の河川で見られる(上流部ほど多い傾向が見られる)
ハクセキレイ
ハクセキレイ(セキレイ科)
日本で普通に見られるセキレイ(キセキレイ、セグロセキレイ、ハクセキレイ)の中で、地域によっては最も多くみられると言ってもよいが、主に河川の下流域に分布する種であるため、九重町で見かけるのは稀。埋立地や住宅街などでも見られ、都市環境に適応した種であるとも言える。留鳥。雌雄同色。
セグロセキレイ(セキレイ科)
日本で普通に見られるセキレイ(キセキレイ、セグロセキレイ、ハクセキレイ)のうち、河川の中流域を好む。海外で見られる地域は限られており、日本固有種に近い。キセキレイ、ハクセキレイに比べて濁った声で鳴く。留鳥。雌雄同色。
カワラヒワ(アトリ科)
スズメぐらいの大きさ。留鳥。オスは頭部の黄緑色味が強い一方で、メスは灰色味がかっているが、全体的な配色は雌雄同じ。雌雄ともに翼の黄色が特徴的で飛翔時は特に目立つ。「キリリコロロ」という鈴を転がしたような声がかわいらしい。主に植物の種子を好んで食べる。
イカル
イカル(アトリ科)
ムクドリぐらいの大きさ。さえずりはゆったりとしていて、口笛を吹いているように聞こえる。聞いているこちらもついのんびりとした気分に・・・ 山野から草地の広範囲で見られ、彼らのさえずりを聞くと、いよいよ春だと感じる。留鳥。雌雄同色。
ホオジロ(ホオジロ科)
スズメぐらいの大きさで、色合い的にもぱっと見た感じスズメのように見える。留鳥。繁殖期には木の梢、テレビアンテナ等にとまって、胸をそらせてさえずる。そのさえずりは「一筆啓上つかまつり候」などと聞きなされる。 ※聞きなしとは鳥のさえずりを意味のある人の言葉や文章で表現して憶えやすくしたもの。
春~夏
ホトトギス(カッコウ科)
ムクドリぐらいの大きさ。夏鳥として渡来する。鳴き声は「ホトトギス」と聞こえなくもない。自分では巣をつくらず、他の鳥の巣に卵を産み、ヒナを育てさせる「托卵」という習性を持つ。
カッコウ(カッコウ科)
夏鳥として、草原や明るい林になどに渡来する。カッコウ、カッコウ・・・というお馴染みの鳴き声が名の由来。その牧歌的な鳴き声と文学的な親しみから、九重の草原に最も適した鳥であるとして、九重町の鳥に指定されている。オオヨシキリ、モズ、ホオジロなど、いろいろな鳥に托卵する。ハトぐらいの大きさ。雌雄同色。
オオジシギ
オオジシギ(シギ科)
ハトぐらいの大きさ。雌雄同色。夏鳥としてタデ原湿原に渡来するが個体数は少ない。日本における主な繁殖地は本州中部以北であり、阿蘇くじゅう地域は繁殖地の南限にあたる。上空を飛びながら「ジュビャーク、ジュビャーク」という特徴的な声で鳴く。冬には越冬のためオーストラリアまで南下する。
サシバ
サシバ(タカ科)
夏鳥として渡来し、里山で暮らすタカの仲間。ヘビ、トカゲ、カエルなどが獲物で、水田や畑で狩りをし、里山の林で営巣する。サシバが繁殖できるということは自然豊かな里山であることの証明でもあり、里山の指標種とも言われる。カラスぐらいの大きさ。
ツバメ(ツバメ科)
ご存知ツバメ。夏鳥として全国的に渡来し、人家や建造物に営巣する人間にとって身近な住人。巣は泥や枯れ草に自分の唾液を混ぜてつくり、田んぼで巣材を調達している姿もよく見かける。飛翔が巧みで、飛んでいる昆虫類を捕食する。
オオヨシキリ(ヨシキリ科)
スズメより一回り大きい。雌雄同色。夏鳥としてヨシ原等に渡来し、「ギョギョシ、ギョギョシ…」と濁った大きな声でさえずる。九重自然教室(さとばる)では、入り口付近のヨシ原に特に多く、野焼き後の草原の再生とともに春の訪れを告げる鳥である。
セッカ
セッカ(セッカ科)
スズメより一回り小さい。草地や河川敷などの開けた環境に生息し、昆虫などを食べる。繁殖期には、飛翔しながら「ヒッ、ヒッ、ヒッ、ヒッ・・・」下降しながら「チャッ、チャッ、チャッ、チャッ・・・」と鳴くという特徴的なさえずり飛翔を行い、良く目立つ。雌雄同色。
クロツグミ(ヒタキ科)
ムクドリぐらいの大きさ。夏鳥として主に山林に渡来する。名前通りのシックな姿(写真はオス。メスは黒ではなく、茶褐色が主体)と朗らかな美声が魅力。九重の夏を彩る主役の一角。彼らの声をBGMに夏の登山道を歩くのは非常に心地よい。
コサメビタキ(ヒタキ科)
スズメぐらいの大きさ。夏鳥として落葉広葉樹林に渡来する。繁殖期を除いて単独生活をするものが多い。木の枝の上にコケなどを用いて皿形の巣を作る。主食は昆虫類で、飛んでいる昆虫を空中で捕える器用さを持つ。黒い大きな目がチャームポイント? 雌雄同色。
キビタキ(ヒタキ科)
スズメぐらいの大きさ。夏鳥として広葉樹林に渡来し、九重では九重連山の森が主な生息場所となる。オスは鮮やかな姿(写真はオス)だが、森の中ではこの色が案外景色に溶け込んで目立たない。鳴き声も美しく、天が二物を与えた鳥と言える。
オオルリ
オオルリ(ヒタキ科)
スズメより一回り大きい。オスは美しい青色だが、メスは地味な色合いをしている。夏鳥として渡来し、渓流沿いの林を好む。ゆっくりとした美声でさえずり、日本の三鳴鳥のひとつに数えられている(オオルリ、ウグイス、コマドリが日本の三鳴鳥)。
ホオアカ(ホオジロ科)
ホオジロの頬が赤いからホオアカ? スズメぐらいの大きさ。全国的にホオジロに比べると数は少ないが、タデ原湿原では普通に見られ、観察できる頻度はホオジロより多く、繁殖シーズン(5月、6月)には必ず見られるといってよい。
秋~冬
オシドリ(カモ科)
カモの仲間だが、大きな洞に巣を作る。オスの羽は非常に美しい(写真はオス)。オシドリ夫婦という言葉があるが、本当のオシドリはつがいの相手を一生変えないというわけでもなく、オスは子育てに協力すらしないらしい。冬に見られることが多いが留鳥として日本で繁殖しているものもいる。
ヒドリガモ(カモ科)
中型のカモで、体長は50cmほど。オスは額から頭頂が黄色なのが特徴。メスは全体的に地味な色合いをしている(これは多くのカモに共通して言えることだが)。冬鳥として渡来し、湖、川等にすむ。九重町でも湖沼で見ることができる。
マガモ(カモ科)
カモの仲間の中では大型で、体長約60cm。オス(写真左)の頭部は光沢のある緑色で、光の角度によっては青紫色に見えることもある。メス(写真右)は他のカモ類同様、全体的に地味な色合い。冬鳥として渡来し、池、川等で見られる。アヒルやアイガモの原種で、アイガモの中にはマガモと見分けがつきにくいものもいる。
オナガカモ
オナガガモ(カモ科)
名前の通り、オスの長い尾羽が特徴(写真はオス)。首も他のカモに比べて長く、全体的にスマートな印象を受ける。冬鳥として全国的に渡来し、大群が見られる場所もあるが、飯田高原では多くない。狩猟鳥でもあり、肉は食用とされるが、マガモなどに比べて味はいまいちなんだとか…
トモエガモ
トモエガモ(カモ科)
オスの顔が黒、緑、黄色、白の巴状の模様になっているのが名の由来(写真はオス)。体長は約40㎝で、カモの中では小型。冬鳥として全国的に渡来するが、日本海側に多い。カモの中では個体数が少ない種だが、ここ数年は増加傾向にある。自然学校では、みいれが池で2019年12月に1羽のみ確認された。
コガモ(カモ科)
名前の通り小型のカモで、ハトよりも一回り大きい程度。中部地方以北の高原や北海道ではごく少数が繁殖しているが、基本的には冬鳥である。オス(写真左)は頭部が茶褐色と緑色で塗り分けられており、類似のカモはいない為、見間違えることは少ない。メス(写真右)は他のカモのメスと似た色合いだが、体が小さいことからコガモとわかることが多い。
キンクロハジロ(カモ科)
冬鳥として渡来。体長は45cm前後。淡水ガモのカルガモやマガモなどとは少し異なる海ガモ(潜水ガモ)の仲間。淡水ガモが水面に逆立ちしてエサを採るのに対し、海ガモは水中に完全に潜ってエサを採る。また、淡水ガモがヘリコプターのように水面から直接飛び立てるのに対し、こちらは飛び立つ際に水面をけってジェット機のように助走する。写真の右がオスで左がメス。
オオバン
オオバン(クイナ科)
ハトより一回り大きい。雌雄同色。大分県は繁殖の南限であるが、県内の繁殖地は局地的で、九重町では冬鳥。近年は増加傾向にある種なので、いずれ町内での繁殖も確認されるかもしれない。黒い体に嘴と額の白が目立つ。足には指が木の葉状に広がった水かき(弁足)があり、バンより泳ぎがうまい(バンには水かきがない)。
ヤツガシラ
ヤツガシラ(ヤツガシラ科)
ハトぐらいの大きさ。雌雄同色。日本では数少ない旅鳥もしくは冬鳥。全国的に記録はあるが、非常に稀。一部の地域(長野県など)では繁殖記録もある。頭の冠羽を扇状に広げることがある。2021年度の冬に自然学校周辺で1羽が越冬した。
ハヤブサ
ハヤブサ(ハヤブサ科)
県内でも繁殖しているが、飯田高原には冬鳥として渡来する。オスよりメスの方が大きく、メスはカラスぐらいの大きさ。雌雄同色。主にスズメ、ヒヨドリ、ハトなどの鳥類を捕食する。狩りの際に翼をたたんで急降下することがあり、この時の時速は400㎞に迫ると言われる。この時速400㎞は地球上の生物の中で最も早い。
シロハラ(ヒタキ科)
ムクドリぐらいの大きさ。灰褐色を基調としながら、名前の通り腹部が白っぽい。雌雄ほぼ同色だが、メスは全体的にオスより淡色な傾向がある。また、雌雄ともに濃淡に個体変異がある。冬鳥として渡来し、薄暗い林の地上で採食していることが多いが、公園や家の庭などに姿を現すこともある。
ツグミ(ヒタキ科)
ムクドリぐらいの大きさ。冬鳥として全国的に渡来する。越冬中は基本的に単独行動するが、食べ物の多い場所やねぐらなどには複数個体が集まることがある。色や模様が個体によって微妙に異なるため、じっくり観察すると個体識別ができることもある。庭に現れるツグミを区別できるようになるとおもしろい。雌雄同色。
ジョウビタキ(ヒタキ科)
冬鳥として渡来するヒタキの仲間。スズメぐらいの大きさ。オスは見事な白髪をしている(写真はオス)。畑の杭のてっぺんなどに止まり、ミミズや昆虫などを狙っていたりする。人家の庭を縄張りとして越冬することもあるなど、意外に身近な鳥である。この鳥の飛来に冬の訪れを感じるという方も多いのではないだろうか。
タヒバリ
タヒバリ(セキレイ科)
冬鳥として渡来し、河川や農耕地などで見られる。スズメと同じぐらいの大きさだが、尾が長い分、スズメより一回り大きな印象を受ける。漢字で書くと「田雲雀」。確かにヒバリによく似ており、草地ではなく田んぼにすむヒバリと言えるかもしれない。雌雄同色。
アトリ(アトリ科)
スズメぐらいの大きさ。冬鳥として渡来する。渡来数は年によって変動があり、多い年には何万羽という大群を見かけることもある。閑散とした冬の山や農耕地において、この鳥の鮮やかなオレンジ色はちょっとしたアクセント。見つけると、妙にうれしい気分になったりする。
カシラダカ(ホオジロ科)
スズメぐらいの大きさ。オスは夏羽時は頭部が黒く、メスと見分けがつきやすいが、冬鳥であるため、オスの夏羽を見る機会は少ない(冬羽時はメスとほとんど同じに見える)。興奮すると頭頂部の羽を立たせるのが名前の由来。
ミヤマホオジロ(ホオジロ科)
冬鳥として渡来する。深山(ミヤマ)ホオジロと名がついてはいるが、深山に多いと言うよりは、西日本に多いホオジロの仲間。雌雄ともに冠羽が目立つが、メスは頭部の色彩が淡い(写真はオス)。
春、秋(渡りの途中)
エゾビタキ(ヒタキ科)
シベリア、樺太、カムチャッカ半島などで繁殖し、東南アジアなどで越冬する。日本では春と秋の渡りの途中にだけ見られる旅鳥。胸と脇腹の縦斑が特徴。食性は昆虫類を主とする動物食だが、秋の渡りの時期にはミズキなどの木の実も食べる。スズメぐらいの大きさ。雌雄同色。