伝統野菜・伝統食・行事食

はんだベジたべる~食べよう!伝統野菜~(ムタトウキビ編)

2019年9月4日(水)

大分県九重町の伝統野菜をもっと地域の人に知ってもらいたいという想いで、九重町教育委員会(飯田公民館)と共催で実施しているこの活動。

今回は、夏の主役野菜!とうきびがテーマです。
ここ九重町の飯田高原では、昔から食用として、また家畜の餌として昔ながらのとうきびが栽培されてきました。その名を「ムタトウキビ」と言います。


ジューシーなスイートコーンとは違って甘みは少なく、モチっとした弾力感のある歯ごたえ。そして、焼くと香ばしさがクセになる昔懐かしいとうきびです。
スーパーには出回らない、ご当地でなければ食べられないもの。それが昔から細々と種を受け継ぎ栽培され、残されてきた伝統野菜の現状の一つです。

当日は、地元の方を中心に15名の参加があり、当校の畑で栽培しているムタトウ キビを収獲し、炭火焼きで味わう試食会を実施しました。

畑までは田んぼや草原をお散歩
畑で収穫体験

ムタトウキビは、実が熟し始めるとすぐに硬くなってしまいます。
このように若い実を食べられる期間はごくわずかです。

薄黄色の若い実は、加熱すると鮮やかな黄色に
懐かしい~!子どもの頃の思い出の味。 醤油をぬって仕上げ。辺りに食欲をそそる香りが立ち込めました

完熟したムタトウキビは、家の軒下などに吊るして水分を飛ばした後、製粉して保存食として活用されてきました。飯田高原の郷土食「とうきび餅」がその一つです。
現在はスイートコーンが主流となり、栽培者も少なくなりましたが、この日ご参加いただいた方で栽培してみたい方に種をプレゼントしました。
これからも伝統野菜のよさを伝え、この土地の風土に根付いた“生きもの”としての野菜を地域で大切にしていきたいものです。

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はんだベジたべる~食べよう!伝統野菜~(料理体験会)

2018年8月1日(水)、11月29日(木)

 
 伝統野菜とは、「その土地の気候、風土に適応しながら、何世代にもわたり栽培、種採りがされてきた野菜」のこと。九重ふるさと自然学校ではおおむね昭和以前から利用されてきたものを「伝統野菜」と定義しています。個性的な形と豊かな香り、味わいが特徴的ですが、栽培する人が減り、見たり食べたりすることが少なくなりました。

そんな九重町の伝統野菜をもっと地域の人に知ってもらいたいという想いで、九重町教育委員会(飯田公民館)と共催で料理会を開催しました。

8月1日(水)「地ギュウリ料理」
 まるでウリみたいに大きくて、つるっとした見た目の「地ギュウリ」。地元の方はお漬物や酢の物にすることが多いそうですが、歯ごたえを活かした料理に挑戦しました。地ギュウリは火を通してもおいしく、お肉との相性もGOOD。地ギュウリは夏に大分県内のスーパーでも見かける食材です。来年の夏はぜひお試しあれ♪

参加者同士わきあいあいと
地ギュウリごろごろ・汁なし担担麺、ボリューミーでオシャレな肉詰め、煮込んでとろとろ・中華風スープ

11月29日(木)「ムタトウキビ粉とマタグロ料理」
 乾燥したムタトウキビ(トウモロコシの一種)を粉にしたものと、寒くなってからが収穫時期のマタグロ(里芋)を使った料理づくり。九重町ではムタトウキビ料理といえば「とうきび餅」が定番ですが、今回はおやきやトルティーヤを作りました。また、マタグロはスーパー等でよく見かける「白芽」という里芋と食べ比べをすることで、食感や味の違いを味わいました。

ムタトウキビ粉のおやき
2種の里芋コロッケを食べ比べ

 まずは伝統野菜を「食べて、知ってもらう」と始めたこの活動ですが、いろいろな食べ方ができることに、私たちも目からウロコでした。これを機に、また食べたい、育ててみたいという人が増えると嬉しいです。

※今回取り上げた「伝統野菜」は下記のリンクで紹介しています。
ご参照ください。

https://www.7midori.org/kokonoe/book/vegetables.html

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はんだベジたべる~食べよう!伝統野菜~(講演会)

2018年2月7日(水)


九重ふるさと自然学校では、地域に残る伝統野菜を普及し継承していくため、九重町の飯田公民館と共催で、「はんだベジたべる」という料理体験会を行っています。 
 2017年度の第3回は、大分県の地元ゆかりの野菜について造詣が深い大分県豊肥振興局の奈良絵美さんをお招きし、講演会を実施しました。

大分県内ではカチャをぼうぶらと呼ぶ

 奈良さんからは、大分の戦国キリシタン大名・大友宗麟がポルトガル船から献上を受けた日本最初のカボチャ「宗麟南瓜(そうりんかぼちゃ)」の里帰りプロジェクトを中心に、大分県で古くから作り続けられてきた地元ゆかりの野菜、果樹等の保護プロジェクトや県内の食文化と共に残されてきた野菜のお話などをいただきました。

宗麟南瓜

 地元ゆかりの野菜は、地域単位で現在も食文化と密接につながっているものがある一方で、社会の変化や現代の改良された品種の登場で栽培されなくなり、絶滅寸前になっているものなど、その状況は様々です。将来にわたって保存・継承するには、やはり消費者がいることが重要で、食べること、食べ続けることが食文化の保護や栽培の普及にもつながります。

 講演後、九重・飯田高原ゆかりの里芋である“マタグロ”と一般的な里芋とで味比べや、昔から伝わる“むたとうきび”のお茶を飲みながら、飯田の伝統野菜について情報交流を行いました。

交流会。むたとうきびを粉にして作る飯田の伝統食「とうきび餅」が話題に

 参加者の皆さんからは、「いろいろな野菜に物語があるのだと思った」「昔から地域にある野菜の奥深さを知り、なくしてはならないと思った」という感想をいただき、今後の普及・継承活動に向けた実のある時間となりました。