今年初めて行うプログラム「夜の昆虫観察会~ライトトラップで虫集め~」を実施しました。
ライトトラップとは昆虫が光に集まる性質を利用した光で虫を集めるワナのことです。
このブログラムは普段の生活ではなかなか見ることができない夜に活動する昆虫たちをライトトラップやナイトハイクで観察し、園内で見られた昆虫と周辺環境の関係性について皆さんと一緒に考えることを目的に実施しております。
雑木林や草原、田んぼ、畑など色々な環境がとなりあう自然学校のフィールドで、どんな昆虫たちの姿を見ることができたのでしょうか?
当日は台風の影響で風が強く、時折雨が降る不安定な天候のため、少人数での実施となりました。
まずはスタッフが活動の内容と注意する生きものについて説明をし、日が暮れたタイミングでライトを点灯!どんな虫たちが姿を見せてくれるでしょうか。

ワクワクドキドキ

ライトトラップに虫が集まるまで少し時間があったことから、初めにガ(蛾)が大好きなスタッフ「がっちゃん」によるスライドトークを行いました。題して、「実はおもしろいガのはなし」。


大変マニアックな内容でしたが、ガの擬態(ぎたい)クイズはとても盛り上がりました。
スライドトークが終わったころにはいつのまにか外は真っ暗に。さて、ライトトラップには何か飛んできているでしょうか??


まず目につくのはたくさんのコガネムシたち。ほとんど同じ種ですが、よく見ると複数種類が集まっていることに気が付きます。オオスジコガネやサクラコガネ、ヒメコガネ・・・。
日没直後にはコガネムシが集まることが多いです。他には数多くのガの仲間やヘビトンボなどの水生昆虫が次から次に飛んできます。

がっちゃん、一人だけ大喜び

クルマスズメ
雨が弱まってきたタイミングで少しの間ナイトハイクに出発。夜の自然学校のフィールドを歩いてみました。


闇夜の生きものたちを探します
まず見つかったのは羽化の最中のヒグラシ。脱皮途中のセミはまだ体がやわらかく真っ白です。羽化の最中に天敵に襲われることも多いよう。見慣れない虫たちの姿に皆で大興奮。 他にも次から次へと色々な生きものが見つかります。



アケビコノハ

雑木林の中に入り、クヌギの木を照らしてみると時折パッとガが飛び立ちます。ガが止まっていた箇所をみると樹液が出ています。下翅(したばね)がピンクで美しいベニシタバがあちらこちらに。

ガの中では人気があるカトカラの仲間

樹液に集まる虫を狙っていたのでしょうか?
さて、生きもの探しに熱中すると時間が経つのはあっという間です。室内に戻ってからはスタッフによる標本づくりの実演。昼間に採取したチョウを実際に標本にし、標本の作り方についてレクチャーしました。

数をこなすのが上手になる秘訣

標本の出来上がりです
最後は本日のまとめ。
ライトトラップとナイトハイクで集まった昆虫を見ると周辺の環境と深く関係していることが分かります。例えば、シロテンコウモリの幼虫はサトイモを食べることが知られますが、自然学校の敷地には畑があり、サトイモも植えられています。ヘビトンボは清流にすむ虫ですが、学校の裏には水の澄んだ小川が流れています。樹液に来ていたベニシタバは幼虫がヤナギ類の葉を食べ、成虫はクヌギ等の樹液に集まりますが、自然学校の敷地内にはどちらの木も豊富にあります。このように地域の虫を観察することで虫たちが周辺の環境について色々なことを教えてくれます。今身近にいる虫たちも何年後かには環境の変化でいなくなってしまうこともあります。皆さんも身近にいる虫たちに少しでも目を向けて一緒に考えてもらえたらうれしいです。


これにて夜の昆虫観察会はおしまい。
もうすぐ夏も終わり。皆さんも自然の中で虫たちを愛でてみるのはいかがでしょうか。
またぜひ、自然学校のフィールドでお会いしましょう!