体験プログラム

1月14日(土)「草原自然観察会 ふゆの回」を実施しました

2023年1月27日(金)

春、夏、秋と続いた草原自然観察会もいよいよ最終回となるふゆの回となりました。
物静かな冬の草原にも、生きものたちはしっかりと息づいています。
ふゆの回はそんな生きものたちの残した痕跡にも目を向けてみました。

最初に出迎えてくれたのは、バードフィーダーにやってきていた小鳥たち。
シジュウカラ、ヤマガラ、ゴジュウカラが入れ替わりで
ヒマワリの種を食べにやって来ました。

ヒマワリの種を持っていくゴジュウカラ

さらにシジュウカラが春に営巣した巣箱の中を観察。
使い終わった巣箱にはシジュウカラの巣がそのまま残されていました。
コケを主な材料として、ふわふわの巣を器用に作っていることがわかりました。
巣箱はこのまま掃除をして、来春また営巣してくれるよう、掛けなおしておきました。

シジュウカラの巣を取り出して観察

散策路ではタマバチによるものと思われる虫こぶ、
イノシシが地面を掘り起こした跡、
モグラがトンネル掘りで余った土を地表に押し上げたモグラ塚など、
あちらこちらで生きものの痕跡が見つかります。
テンのものと思われる糞からは、含まれていた種から
この季節のテンがマユミの実を食べているらしいこともわかりました。

糞の中身から何を食べているかわかります

観察会の最後は、モグラ塚を手掛かりにモグラのトンネルの探索に挑戦。
地表からあまり掘り進まなくてもトンネルは見つかりました。
モグラのトンネルは意外に浅いところにあるようです。

地表から15㎝程度の深さにトンネルを発見

生きものの中には冬眠するものも多く、
冬はどうしても生きものを見かける頻度は下がりますが、
視界が開けた冬の草原は生きものの痕跡を見つけるにはうってつけです。
冬だからこそ見つかる身近な自然に目を向けてみてください。

体験プログラム

「自然で遊ぼう!おやとこ~田んぼの巻~
しめ飾りとミニ門松づくり」を実施しました

2022年12月10日(土)

今年の「自然で遊ぼう!おやとこ~田んぼの巻~」もこれで締めくくり!
収穫した稲わらや竹などを使って、お正月飾りを作り、新年を迎える準備をしました。

しめ飾りや門松は、新しい年の神様(年神様)を家に迎え入れるためのものです。そのため、竹や松、梅などの材料は、縁起が良いとされるものがたくさん使われます。
その中でも稲わらは、昔からしめ縄だけでなく、牛馬の手綱やわらじ、米俵など暮らしの中で活用されてきました。使った後は燃やして灰にし、それを田んぼにまくことで土に還り、また実り多きお米となって収穫される。その絶え間ない循環によって、わらは「永遠の命」の象徴として考えられてきました。
自然学校のわらは、お米も生きものも育む、自然との共生を目指す田んぼでとれたもの。自然への感謝と、よい年になりますようにと願いを込めて、まずはしめ飾り用のしめ縄を綯いました。

しめ縄用のわらを選びます
家族で協力しながら、立派な縄が綯えました

しめ縄作りの後は、飾りつけの素材を野外に探しに出かけます。
マツの葉やまつぼっくり、ナンテンなどの縁起物の他にも、色鮮やかな木の実などを採集しました。

お目当ての木の実。どれにしようかな~
出来上がりを想像しながら採るのが楽しい!

最後の飾りつけはお好みで、趣向を凝らしながらデコレーション。新年を祝う、お気に入りのしめ飾りが完成しました。

しめ飾りは、年神様を迎えることのできる清浄な場所を示す目印になります
しめ飾りとクリスマスリースをリバーシブルで楽しめる、アイデアたっぷりの作品も

さて、しめ飾りづくりの後は、ミニ門松づくりです。
門松は年神様の依り代(よりしろ)になります。年神様が迷わずに家に訪れることができるための道しるべとなる大切なものです。
太いモウソウチクやハチクを切って、組み上げていきます。
皆さん夢中で作業し、気づけばあっという間に90分が経過。
しめ飾りと同様に、個性あふれる門松が完成しました。

硬い竹に苦戦しながらも、ノコギリの使い方が上手になりました
土台に竹を立てて砂を詰めていき、飾りつけ

現代では、お正月飾りを買うことが当たり前になりました。
だからこそ、自分で作ったもので迎える新年は、ひと味違う特別感を味わうことができます。
自然のものに触れ、気持ちを込めて作ることで、自然と向き合い、自然への感謝の気持ちにも気づかされます。

おやとこ~田んぼの巻~では、自然と共生する田んぼづくりを通じて、来年も「自然の恵みへの感謝」や「生きものの棲みかとしての田んぼの大切さ」を伝えていきたいと思います。
今年もご参加いただき、ありがとうございました!

2023年、皆さんのおうちに福が舞い込みますように☆彡
体験プログラム

「自然で遊ぼう!おやとこ~田んぼの巻~
新米を食べよう!収穫祭!」を実施しました

2022年11月3日(木・祝)

6月の田植えから始まった「おやとこシリーズ」も10月の稲刈りを経て、今回で第3回目。

今回の活動では「稲」が食べられる「お米」になるまでの工程の体験や田んぼの生きものしらべを行いました。

 

もちろん使用する稲は参加者の皆さんと育ててきた自然共生型田んぼ産です。

まずは稲から「籾」を外す脱穀を体験。

今回は、割り箸や牛乳パックを使った方法で行いました。

割り箸で挟んで脱穀。
こちらは牛乳パック。
きれいに外れると気持ちがいい~!

次は脱穀した籾から籾殻を外す籾摺りを体験。

すり鉢と野球ボール、木板を使って行いました。

器用に野球ボールでこすり、籾摺り。
籾殻は息を吹きかけて飛ばします。

籾摺りを終えると稲は「玄米」となりました。

このあと玄米を「白米」にする精米という工程がありますが、この作業はとても時間が掛かるため今回は省略。

事前に用意していた白米を用いて飯ごう炊さんを行いました。

火種となる杉の枯れ葉を集める様子。
親子で協力して火起こし。

「なかなか火がつかない」、「中の様子はどうだろう…」など様々な声が飛び交っていましたが、最後はどの家族もホクホクのお米が炊けていました。

 

また今回の活動では、農機具の体験も行いました。

先ほどまで少しずつ脱穀していた籾も足踏み脱穀機を使えばあっという間!

息を吹きかけ飛ばしていた籾殻やワラくずは、唐箕がいっぺんに飛ばします。

巧みに脱穀や籾の選別をする仕組みに感心し、農機具の便利さを実感する体験となりました。

足踏み脱穀機の体験。手と足のタイミングを合わせるのが難しい。
唐箕の体験。見慣れない農機具に興味津々。

後半は、恒例の田んぼで生きものしらべ。

思い思いの場所や方法で、ミズカマキリ、ガムシ、コガタノゲンゴロウ、タカハヤ、コオイムシなどを捕まえました。

友達と協力して生きもの採取。
隠れていそうな場所をガサガサ。
スタッフより捕まえ方を伝授。
生きものはケースに入れて観察しました。

収穫祭を終え、田んぼでの活動も一区切り。

今年も田んぼは、美味しいお米と共に多種多様な生きものを育んでくれました。

九重ふるさと自然学校では「自然の恵みへの感謝」や「生きものの棲みかとしての田んぼの大切さ」を今後も伝えられるように活動していきたいと思います。

 

次回の自然で遊ぼう!おやとこシリーズの活動は「しめ飾りづくりとミニ門松づくり」です。

収穫したワラを利用し、正月飾りをつくります。お楽しみに!

体験プログラム

「自然で遊ぼう!おやとこ~田んぼの巻~
稲刈りと秋の生きものしらべ」を実施しました

2022年10月10日(月・祝)

自然共生型田んぼも田植えから4か月が過ぎ、
今年もたくさんの生きものたちと共に稲が成長しました。
稲穂が重そうに頭を垂れていた10月10日、稲刈りを行いました。
稲刈り用の鎌を使って、1株ずつ手作業で刈っていきます。
刈り進むうちにどんどん上達し、
スムーズに刈り終えることができました。

みんなで一斉に稲刈り。素早く刈り終えました。

刈った稲は根元をワラひもで縛り、竹竿に干していきます。
逆さに干して日光でじっくり乾燥させることで、
葉や茎に残った栄養分が穂に行き渡り、
お米が一層美味しくなると言われています。
2週間ほど晴天が続けば、いよいよ新米が食べられます。

ワラで縛るのはコツがいる作業でした。
竹竿に干します。美味しいお米になりますように。

稲刈りの後はビオトープで生きもの採集。
稲刈りの為に田んぼの水を抜いた分、
生きものたちはビオトープに集まっていたのか、
ゲンゴロウの仲間やヤゴを中心に
たくさんの水生昆虫が見つかりました。
もちろんサワガニ、カエル、ドジョウなどの
他の生きものも健在。
自然共生型田んぼはこの時期も生きもの豊富でした。

ゲンゴロウが大漁でした。

この後、田んぼは掛け干しが終わり次第
田植え前まで水を張る「冬期湛水」に入ります。
冬に水を張り続けることで、
イトミミズなどの土壌生物が活発に活動し、
豊かな土を作ってくれます。
またそれらの生きものをエサとする
カモなどの水鳥も飛来し、
冬の田んぼは一味違う景色を見せてくれることでしょう。
自然共生型田んぼにお休みはありません。
近くにいらした際はぜひお立ち寄りください。

体験プログラム

10月16日(日)「草原自然観察会 あきの回」を実施しました

2022年10月23日(日)

前回の夏の観察会から約2か月たち、青々していた草原は白銀色に衣替えしました。
そんなススキの穂が風になびく飯田高原らしい秋の日和に、草原観察会を実施しました。

出発前、思いがけない珍客が姿を見せてくれました。
ジムグリというヘビです。漢字では「地潜」。地面や石の下にもぐる習性があります。

赤褐色の鮮やかな体は子どもの証。大人になると黒いまだら模様に変化します
無毒ですが、驚かさないようにそっと観察

さて、草原に行ってみると夏には見られなかったリンドウやウメバチソウ、ヤマラッキョウなどの秋の草花が多く咲いていました。
足元に咲く色とりどりの花を見つけながら、散策を楽しみました。

ススキの穂が光っていてとてもキレイでした
ウメバチソウ

子どもたちには虫捕り網で昆虫採集の係をお願いしました。
花に集まるキチョウやウラナミシジミ、ウラギンヒョウモンといったチョウをはじめ、コオロギやイナゴ類、赤トンボ類のナツアカネやノシメトンボなどを観察することができました。

キチョウをゲット!
エンマコオロギを発見もなかなか鳴かないので、鳴き声グッズでコロコロコロ♪

また、草原の味を感じてもらおうと、九重で食用にされてきた野草の味見コーナーも。
地元で通称アオタデ(タデ科、ヤナギタデのこと)と呼ばれ、香辛料にもなる葉などをかじって味わってみました。

この顔!さぁ、どんな味だったでしょうか!?
アオタデ
ススキのテントにもはいったよ~

今回、観察した生きものたちは、どれも草原の環境が好きで、草原がないと生きていけないものばかりです。
九重の草原は代々、野焼きや放牧など人間の営みによって維持されてきました。
しかし、草原は時代とともに日本から次々と姿を消しています。

日本の気候は温暖で雨が多いため、手を入れなければほとんどの場所で最終的に森になる

人間の関わりによって長い年月をかけて育まれてきた草原の生態系。
手を入れることで守られる自然、生きものをこの先も楽しみたいですね。